ユニークな社員教育をされているとお聞きしましたが、内容についてお聞かせ下さい
中村:創造性豊かな社員育成のため、入社試験の段階から独自の試験を行っております。内容は、筆記試験のほかに昔工作で経験したような模型飛行機キットの制作と、A4の用紙に電球の描写をして頂きます。制限時間は8時間でほぼ一日を要するため、昼食も社外で私と一緒に取ってもらうようにしています。また、試験の内容は事前にお知らせし、受験の意思を確認した上で、試験当日までに練習するなど取り組む姿勢も含めて入社試験の対象としております。
模型飛行機キットの製作や電球の描写を行う意図は、ものづくり現場に必要とされる器用さや洞察力、ものづくりに対する思いなどを見極めるために実施しておりますが、同時に入社後の配属部署適性も見極めております。昼食時も基本的には魚定食を食べて頂き、面接では垣間見る事のできない私生活の一部も参考にしております。もちろん、食べ物の好き嫌いもありますので、無理に勧めたりはしません。できる範囲の中で、どのように挑戦していくのかを参考にしています。
また、入社後の社員教育として、仕事を教えてもらうのではなく、先輩社員の仕事を見て覚えてもらうような体制をとっています。教えてしまったら学ぼうという意識が消えてしまい、ものづくりで必要とされる創造性も奪ってしまいます。先輩社員の仕事を見て、「同じようにするにはどうしたらいいのか」ということを常に考えながら、創意工夫を繰り返していくことで、自分のスキルアップに繋げていくような社員教育を進めています。
今後の展開についてお聞かせ下さい
中村:先ほども少しお話しさせて頂きましたが、今後は太陽エネルギー分野に力を入れていきます。当社は、10年ほど前から同分野の研究開発を進めており、コンピュータを使用することなく太陽の光を一定に集める技術を確立していますので、この技術を活かした事業を展開していこうと考えています。
現在当社が進めていきたいと考えているのは、太陽光発電や太陽熱発電といったものではなく、地域分散型の太陽熱蓄熱発電に関する研究開発です。具体的な内容としては、高い温度を利用して新しいエネルギーを作る『ビームダウン式太陽熱集光装置』(写真6)と、80℃程度の低い温度を利用して重油の代替エネルギーを目指す環境に優しいビニールハウス用の『太陽熱蓄熱システム』の研究開発です。
写真6 太陽熱集光装置原理図
写真7 温室ハウス冷暖房用太陽熱蓄熱システム
ビームダウン式太陽熱集光装置は、以前よりNEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)に提案してまいりました。その結果当社の提案が今年採択され、長野県諏訪郡富士見町の中学校跡地を借りて研究を進めていくことになりました。太陽蓄熱システムは、すでに宮崎県の総合農業試験場に『温室ハウス冷暖房用太陽熱蓄熱システム』(写真7)を設置し様々な実験を行っております。
地域分散型の太陽熱蓄熱発電にこだわる理由として、現在の雇用問題を解消すると共に、安定した電力供給に繋がると考えたからです。例えば、100メガワットのシステムを設置してほしいといわれても、当社は5メガワット級のシステムを20台設置することを提案いたします。コストが高くなるという問題はありますが、大型システムを設置して一部の地域のみが潤うのではなく、いくつかシステムに分散して設置することにより、それぞれの地域が潤うことで地域の活性化にも繋がると考えております。たとえ1システムが故障しても近隣のシステムより電力を送ることもできるため、大規模な停電を避けることが可能だと考えております。
当社は、このような取り組みをそれぞれの地域の方々と共に進めていき、より安心して生活できる町づくりに貢献したいと考えております。
本日はお忙しい中ありがとうございました。
- 会社名
- 三鷹光器株式会社
- 所在地
- 東京都三鷹市
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