4.最後に
このたび、本誌掲載に際して、春先の中国における現状を整理していて思うことがあった。
以前にも本誌で書いたことがあるのだが、やはり、まだまだ『情報の質』に対しての認識度と理解度が不足しているという実情が存在している。圧倒的な情報の量に誰もが閉口していることは理解できるのだが、そもそもの情報の入手ルートを、今一度見直していただきたい。
中国進出を目論む中小企業に関しては、参入する最適地についての課題が最優先されるはずである。もちろん、決定要素の中に利潤という項目が入るのは企業として仕方のないことであるが、目先の利益を追いかけるあまり、周囲の情報に振り回されている中小企業の経営者を目にする機会が増えてきている。『○○から得た情報では、最適地はインドネシアになる』といった情報に過敏に反応したり、『(一度訪問しただけで)○○は自社の製品市場として最適だ』などと考えてしまうのは危険である、と提唱しておきたい。前者は第三者の意見を借りてきただけの情報であり、後者は目先に捕らわれすぎた偏ったものの見方に相違ない。中小企業として、経営者として大事なことは、『いかに俯瞰して物事を考えられるか』になるのではないだろうか。
さらに、中国で新しく生まれつつある企業や事業、ことに手はんだ付け作業の自動化については、有象無象の情報や製品が山ほど存在している。これらを一つ一つすべて見きわめているほど、企業人(特に経営者)は時間がないはずである。これについても同様に偏った情報に捕らわれすぎないようにしていただきたい。当社に寄せられる多くの相談には、初動の段階で偏った判断をしたため、いわば自らが生み出した課題が起因になっていることが少なくない。専門的分野に関する判断は、必ず評論家ではなく専門家に相談して欲しいと考えている。
そして、現在保有している情報の入手ルートについても今一度の見直しをお奨めしたい。前述のように、第三者の言葉や情報を引用した情報はすべて聞く耳をもたない方がよく、そのような情報をもってくるものとの距離はできる限り遠く保った方が無難である。それが経営判断に繋がることであればなおさらで、そのような情報を信じる時点で企業の致命傷にもなりかねない。情報の出所を確実に見きわめて、できうれば、情報の出所との接点を多くもって欲しいと思う。
昨今、中国やASEAN諸国で、『生産材の現地調達』という言葉を頻繁に耳にする。企業姿勢としてはあたりまえの動きだということに反論はないのであるが、こと取り組み姿勢については、懸念を抱いてしまうことが少なくない。経営者であれば、現地調達の動きはご自身で行うべきである。現地調達すべき市場は実際に成熟しているのか。調達先の情報は本当に調べつくしているのか。現地調達の最終決定は計画的に行われたのか。導入前にはそのような最低限の懸念事項だけはクリアした上で行って欲しいと願っている。
中小企業の動きの中で、当社が少しでもお役に立てることがあれば全力でサポートさせていただく。ぜひ気軽にご相談をいただきたいと思う。
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- セラコート工業(株)
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