②電子回路基板を取り巻く最近の業界動向を探る
5G/Post 5G/Beyond 5G/6Gの時代の到来によって電子回路基板にも大きく影響するものと思って樹脂や銅箔などに焦点を当てで開発が実施された。
5G用に割り当てられた周波数は3.7GHz、4.5GHz、28GHzの3波である。28GHzの高周波に移行することから新たな材料開発が実施された。
しかし、5Gで使われる実際の周波数帯は、まだSub 6と言われる帯域の3.7GHz帯/4.5GHz帯での使用が現状で、そのためサブ6GHz帯での展開と言われている。
2-1.高周波側へ移行と高速伝送の課題
使用する周波数があがると電子回路基板では、どんな影響を及ぼすかをみることにする。
6Gになると電波の帯域に空き容量がないために300GHz帯での使用も想定されている。つまり、さらに高周波側に移行することになる。
2022年11月に生成AIのChatGPTが登場し、その有効性に驚くとともに急速に生成AIが普及していった。そのためデータ処理を如何に速く処理するかに重点が置かれ、データセンターでは伝番速度を如何に速くするかに注目されるようになった。データセンターに使用されるサーバー/AIサーバーに使用されるCPU/GPUの世代により、銅張積層板の比誘電率と誘電正接は小さいものが求められる。
そのため電子回路基板で高速で伝送したいとすると伝播速度について検討が必要となった。ここで伝送損失と伝播速度について少し触れておきたい。
表1に示すように周波数が高周波側に移行することによって、伝送損失が大きくなる点である。伝送損失は表1に示す式で現わされ、使用する周波数は固定されるため、周波数が高くなればなるほど伝送損失は大きくなる。

表1 伝送損失と伝搬速度
その対策として、伝送損失を少なくするには“比誘電率”と“誘電正接”を小さくすることがポイントとなる。そのため電子回路基板に使用される材料は、出来る限り“比誘電率”や“誘電正接”は低いのが好ましいことが分かる。
また、伝播速度は“比誘電率”が小さい程、速くなるので、高速伝送の要求を満たすには“比誘電率”の小さい材料が好ましいことが分かる。
5G/Post 5G/Beyond 5G/6Gの到来によって、電子回路基板に使用される銅張積層板も“比誘電率”と”誘電正接”の小さい材料として最近、製品化されて登場してきている。4)
現在、市販されている銅張積層板について、“比誘電率”と“誘電正接”との関係を体系化すると図14のようになる。

図14 比誘電率と誘電正接の関係(測定周波数:10GHz)
これは、世界で市販されている銅張積層板1,042種類の中で、10GHzで測定された783種類の銅張積層板の“比誘電率”と“誘電正接”の関係をプロットして求めたものであり、“比誘電率” 5.0以下、“誘電正接” 0.0200以下の範囲のものを示した図である。広く分布していることが分かる。右上から左下の方に分布の重心が移っていることも読み取ることができる。
“比誘電率”が3.5以下で”誘電正接”が0.0050以下の材料が結構、あることが分かる。5G/Post 5G/Beyond 5G/6G時代の到来を睨んでの対応する材料として登場してきたことになる。
比誘電率は3.5以下で、誘電正接は0.0050以下の範囲にある部分を拡大すると図15のようになる。
拡大図を精査してみると概ね3つの大きなグループに分けることができる。図15で左下のプロットの無い部分が、今後は、“比誘電率”は2.0以下で、“誘電正接”は0.0010以下の材料開発が目標となるのではないかと推察している。
そのために樹脂、ガラスクロス、銅箔の3材料の開発が重要となり、分子設計技術、合成技術、配合技術、難燃剤選択技術、充填剤選択技術、多孔化技術、低誘電率化・低誘電正接化技術、塗布技術、積層技術、表面処理技術など幅広い見地からの開発が重要で、今後の新たな開発が待たれる。5)

図15 比誘電率と誘電正接の関係(Dk3.5以下、Df0.0050以下の範囲)
<参考資料>
1) WECC統計資料[WECC Global PCB Production Report for 2024(2025-10)]
2) 青木正光,” 世界の電子回路基板の最新市場動向”エレクトロニクス実装技術 Vol.37 No.5 pp42〜47(2021)
3) Fortune Business Insights, “Printed Circuit Board Market”(2025)
https://www.fortunebusinessinsights.com/printed-circuit-board-market-104947
4) 青木正光,”電子回路基板業界動向と新たな展開”エレクトロニクス実装技術 Vol.36 No.3 pp14〜23(2020)
5) 青木正光,” 市場分析からみる業界動向<Low Dk/Low Df材料>” エレクトロニクス実装学会 第40回 春季講演大会予稿集(2026)
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