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テクニカルレポート
2026.02.24
世界の電子回路基板市場を探る
特定非営利活動法人 日本環境技術推進機構
青木 正光

世界の電子回路基板市場は、日本、韓国、台湾、中国、香港、インド、米国、欧州などにある電子回路基板工業会で構成される上部団体に”世界電子回路業界団体協議会 (WECC=Word

Electronic Circuit Council)”があり、ここで電子回路基板の世界市場を取りまとめて毎年、秋頃に公表している。1)

 この統計資料は、日本では日本電子回路工業会から会員に対して公表している。2019年の公表資料を用いて分析した結果を、本誌2021年5月号にて”世界の電子回路基板市場”について分かり易い図で各国の状況を紹介した。2)

 今回、5年後の2024年度の世界の電子回路基板市場が公表されたので、同様な方法で分析して市場を探ってみる。

 

①世界の電子回路基板の市場規模

1950年代に銅張積層板をエッチング加工して生産する“印刷配線板”として登場し、ジャングル配線から脱皮することができ、最初に使用されたのはトランジスタラジオTR-55であった。誤配線を解消できる画期的なものであった(写真1)。

その後、”印刷配線板”は”プリント配線板”と呼称されるようになってきたが、最近では”電子回路基板”と称されるようになり、現在、混在して使用されている。ここでは以降、”電子回路基板”の呼称を使用することにする。

写真1 印刷配線板が使用されたトランジスタラジオ

 

1-1.世界の電子回路基市場の概要

世界の電子回路基板市場の推移を2005年以降から示すと図1のようになる。2015年度は少し減少しているものの概ね世界市場は、リーマンショックの影響を受けた2009年以外は大きな落ち込みはなく、2021年に大きく成長して約890憶ドルの市場規模となった。これは、コロナ禍蔓延で在宅勤務が強いられ、WEB会議に必要なパソコンなどの導入によって急増した。その後、コロナ禍蔓延が続き経済の低迷もあってか電子回路基板の生産額は足踏みをしている状況である。Fortune Business Insightsの予測によると2032年には1,134億ドルが見込まれている。3)

図1 世界の電子回路基板市場推移(WECC/ Research and Markets)

 

 世界規模では、今後、約900億ドルと見込まれている背景には、IoT/5G・Post 5G・Beyond 5G・6G/AIの到来、特に生成AIの登場によってデータ処理を高速に実施する必要があり、各地にデータセンターが設置され、それらにはサーバーやAIサーバーなどが搭載され、サーバー用に新たな電子回路基板が増加し、さらに市場が増加する傾向にある。

2024年度の電子回路基板の生産金額の国別の生産の割合をみていくと図2に示すように2024年は中国(60.8%)>韓国(10.8%)>台湾(9.8%)>日本(5.5%)>他のアジア(5.7%)>北米(4.1%)>欧州(2.2%)>インド(0.7%)の順となっている。中国の割合が増加し、他の国は減少している。これは日本をはじめ各国の企業が中国で生産するようになったことによって、中国での生産が増加したことによる。電子回路基板の製造はアジアに集中し、世界の94.3%が生産されていることになる。

図2 国別電子回路基板生産額割合(WECC)

 

日本の電子回路基板の国内生産金額は2005〜2012年までは世界第2位に位置付けられていたが、台湾、韓国の追い上げもあり、さらに日本は国内生産から海外生産へと比重が移ったことにより、日本の2013年以降の国内生産額は残念ながら世界で第4位の位置付けにある。

2024年度の世界の品種別(WECCの分類による)の生産金額を示すと図3のようになる。標準的な多層電子回路基板が最も多く生産されており(43.4%)、次にビルドアップ電子回路基板(16.4%)、ICサブストレート基板(15.3%)、フレキシブル電子回路基板・リジッドフレキ電子回路基板(14.5%)、片・両面電子回路基板(9.7%)と続く。これは世界全体として金額ベースの割合を算出したものである。国によってこの生産品種は微妙に異なる。これは国別の項で解説する。

図3 世界の品種別電子回路基板生産額割合(WECC)