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テクニカルレポート
2025.09.25
ガラス基板、ガラスコア、Glass PKG実装技術 電子部品への応用
Grand Joint Technology Ltd
大西 哲也 (T. Onishi)

③ガラス材料について

ガラスの種類も色々あるが、Glassパッケージ用途としては、シリコンと同等の熱膨張率をもつ無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、電気特性に優れた石英ガラスなどが評価され、各種電子部品に使われている。表10にECTC2014で発表された論文に掲載されているガラス物性を示す。

表10 ECTC2014の論文中に掲載された、ガラス材料の物性比較

 

ガラス特性としてCTEは非常に明確であるが、Tgポイントや熱に関する物性値が樹脂材料とは異なり、やや不明瞭であり、またガラスメーカーのデータシートで示される項目が異なる。

2022年にはSchottから、高速通信対応特殊ガラス素材特性について発表されているが、特殊用途として注目されている(表11)。

表11 高速通信対応の新規ガラス素材特性について

HPCやAI用途に要求されるGlass PKG用サブストレートやインターポーザとしては、無アルカリないしはホウケイ酸ガラスに、High AR(高アスペクト比)、小径ビア形成、 両面Cu配線形成コア、ガラスコア上の数層の微細配線RDL、背割れなどが発生しない構造を有したものが必要となる。

 

④ガラス基板へのTGVビア形成技術ついて

ガラス基板へのビア形成については、最近はさらに実力をつけて、レーザアシストエッチング法などで、高アスペクト比を実現している。

ドイツ、スイス、日本、台湾、韓国などでもビア形成が確立され、その仕上がりも向上している。ビアだけでは、キャビティなどの3D構造体も精度よく対応できている(図4)。

図4 Glass TGV ミリ波用導波路フィルタ用途例

 

⑤Glass PKGの動向と課題

開発途中技術であることから評価手法もまだ標準化されておらず、さらに新しい提案も進められている。Glassパッケージの実現には、ガラス選定、ビアレイアウト設計、ビア形成方法、ビアの品質、ビア検査方法と検査内容、ガラス洗浄、ガラスコアへのメタライゼ−ション、ビア充填、RDL形成、シングレーションなどとともに、不良解析技術、チッピングの発生しないガラスハンドリングなどが重要な項目となる。ビア内部の洗浄性などは評価も難しく、新しい評価方法も提案されている。

ガラス基板の評価や分析も、従来の樹脂基板と異なり、工夫や改善が必要である。台湾のiST社では、いち早くガラス基板の分析の重要性を認め、ガラス基板の分析対応チームまである(図5)。分析や評価、試作では、ガラスをカットすることが必要であるが、精度よく上手にカットするのも慣れないと難しい。大阪のブリマテックでは、そこに注目し、ドライカット割断サービスを提供している(図6)。

図5 iST社でのビアのX線3D観察事例

図6 Scribing &Breaking(S&B)

 

昔風のガラスカッタではなく、スクライブホイールを使う(図7)。

図7 Scribing & break(Sc&B)用スクライブホイール

 

ガラス基板へのTGVメタライズ技術も重要で、各種手法が提案されているが、江東電機から、PVDや密着層形成を用いない、オールウエットCu直接めっきのGWC工法が提案されている。

 

⑥今後の展望

ガラス基板を用いた電子部品の開発が徐々に進められているが、HPCやAI用途を期待した、反りのないガラスサブストレートやガラスインターポーザ実現に向けて、各社が工法&材料開発を行っている。

その完成・実現には、まだ2〜5年必要だということが学会でのコメントにも出てきているが、各社が、着実に少しずつ、国内外で開発を進めてきている。

これからは、実現への近道を確立させるため、世界中のメインプレーヤが、アライアンスのようなものを組み、実行しているのが状況である。

 

【ワインボトル内面への無電解Cuめっき】

ドイツのフランケン白ワインボトルの内側に、無電解Cuめっきを行ったものを写真2(左)に示す。

ドイツで買ったワインボトル内側にCuめっきを施したものを、ビュルツブルグにあるワイン醸造所に見せたところ気に入ってもらい、今でも、そのショップの奥の壁に置いてもらっている(写真2右)。マネージャが、Cuめっきありの空ワインボトルを受け取った代わりに、この時購入した3本のワインのうち1本が無料となった。日本のNewテクノロジーだと説明した。

写真2 ドイツでの白ワインボトル

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Grand Joint Technology Ltd
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