①はじめに
2020年から2022年までの電子機器市場は、新型コロナウィルス感染症拡大下、巣ごもり需要を受けPCやタブレットなどの生産量が増大し、またSNSの活発化などに伴いスマートフォンの生産量も拡大したが、2023年に入り需要が一旦落ち着き、価格も大幅に低下したことで生産調整が続いている状況となった。
一方で、データセンター向けサーバにおいては、新CPUのリリースや「ChatGPT」をはじめとした生成AIの活用が拡大し、2024年には、新規導入や入れ替え投資で前年度比30%増加する見込みであり、大容量の情報を高速に処理できる高密度実装大型基板の生産量は増え続ける。
また、さらに2025年〜2026年は、AR(拡張現実)/VR(仮想現実)/MR(複合現実)、EV(電気自動車)や自動運転などの本格化に伴い、先端半導体パッケージでは、高性能化、高出力密度化の実現に向けて、次世代の接合技術が次々に開発・実装される見込みである。BGAの生産量も著しく拡大していくことが確実となっている。
また、日本では、人口減少・高齢化とともに労働力不足が懸念されており、効率的なものづくりを重視している中国などだけではなく、国内においても自動化やロボット化は、人から機械への代替ではなく、「人間の可能性の拡張」という位置づけで、今後、いよいよ生産工程に取り入れられていくことになる。
そこで、当社が取り組んでいる今後の実装技術の課題「高品質を担保するリワーク・リボール工程の自動化と搭載技術」を以下の項目に分けてここに記述する。
(1) 進化した自動部品搭載(ビジュアルムーブ)機能
(2) 自動クリーニング機能
(3) 検査装置との連結によるリワークの省力ライン化
②進化した自動部品搭載(ビジュアルムーブ)機能
リワーク作業において最も重要な要素は、
1.基板にダメージを与えない最適かつ高効率な加熱方式
2.高精度で簡単な温度プロファイル作成・管理になるが、作業を行う上でもっとも難易度の高い工程が、基板に部品を再搭載する際の、
3.パターンマッチング作業
である。
リワークは、同一の対象部品を大量に作業する(不良部品の一斉差し替え対応の)ケースは多くなく、生産工程においてランダムに発生する実装不良を修正したり、基板設計時の搭載部品の検証・実験、調達難である高付加価値部品の再利用などに貢献することが多いため、マウンタのように、一定の時間を使い基板・部品情報を入力して(読み込んで)行う自動搭載機能(フルオート)のみでは、単一部品を作業する上で非常に作業効率性が低い。当社はカメラが捉えている部品バンプ側と基板パターン側の2画像の合わせたいポイントをマウスクリックすることで装置が自動搭載する「ビジュアルムーブ」機能(セミオート)が画期的な機能としてユーザーから高評価を得て導入実績を増やしているが、今般、搭載カメラを刷新し、自動部品搭載プログラムのバージョンアップを図ったことにより、より微細な部品を鮮明に捉えることができるようになり、さらに合わせたいポイントをクリックする際に微細なピッチでポインティングできるターゲットスコープが表示されるようになったため、超微細部品の自動搭載までが可能になった(図1)。
当社は2023年11月出荷装置から0201部品の高精度自動搭載も機能として装備する予定であり、だれもが簡単にできる高精度自動部品搭載リワークの対象部品を拡大してスタンダード化し、今後、さらに基板への搭載点数が増加されていく新種のパッケージやチップ部品の搭載技術を支えていく。
- 会社名
- メイショウ(株)
- 所在地
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