■それでは、まず『おもてなしサイネージ』について、開発された背景や製品の概要などお聞かせください
田口 : 『おもてなしサイネージ』は、今までにありそうでなかったRFIDとデジタルサイネージを組み合わせ、サービス受給者の言語で案内を行う新しい多言語対応サービスです(写真1)。
こちらのビジネスモデルは、中国に行った時に滞在したホテルで、基本的に案内を表示する館内案内のパネルは中国語と英語表示の併記表示でしたが、場所によっては英語表示がなくなるところもあり、また日本人スタッフがいるということでしたが、定時になるといなくなってしまい、その後は英語もほとんど通じないような状況で非常に苦労した経験から生まれたサービスになります。これは、外国の方も日本に来て同じように苦しんでいると思い、RFIDを活かしたビジネスモデルとして開発し、これがすんなりと特許も取得できたので製品化を進めました。
通常、アメリカ/中国/韓国/日本といった4言語に対応したタッチ式のデジタルサイネージは様々な施設で見かけますが、さらに言語数を増やすために表示画面で国旗や自国語を並べてみても、一目では見づらく探しにくいと思います。そこで、多言語だけど母国語だけが非接触且つ自動で表示されるスマートな仕組みができないかと考えました。特に最近は、コロナ禍以降タッチ式より非接触式の方が好まれると思うので、そこで当社のコア技術となるRFIDを活用しています。
特徴としては、鍵やチケットにRFIDタグを付け、アンテナ付きのデジタルサイネージがタグに登録した言語を読み取り、近づくだけで言語が替わります。また、このシステムは道案内用のエリア情報を入力でき、位置情報による案内表示が可能で、さらに動画にも対応しています。例えば、ホテルの鍵にRFIDタグを付けると、フロントで母国の言語登録をすることで、通常は日本語で表示されている案内画面が、鍵を持っている方が近づくと自動で母国語に替わる仕組みになっています(図1)。ホテルの施設内で自分の居場所が分からなくなっても、近づくだけで位置情報により自分の部屋までの順路案内が表示されます。また、ホテルでの入浴のマナーなどを母国語で動画を流すこともできます。
今まで、私の知る限りこのようなRFIDの使い方はなく、さらに現状は22言語に対応しています。22言語にしたのは、観光庁の2019年のデータベースを参考にインバウンド者の97〜98%位の言語には対応したいと考え、22言語でカバーできたことからその設定にさせていただきました。
さらに、従来のアメリカ/中国/韓国の4言語の全言語比率がどんどん下がってきていることも理由の1つになっています。2010年頃は90%位あったこの比率が、2019年には70%弱になっているような状況で、30%強にまでその他の言語を使用するインバウンドの方たちが増えてきています。この比率は今後も増えていくと予想されるので、先を見据えた取り組みとして考えています。
このビジネスモデルは、言語データベースを活用しているため、言語毎の画面を作成する必要をなくし、またAI技術を導入するようなことがないので、安価に導入することができるのも大きなポイントになっています。最近では、インバウンド者の数も好調に伸びを見せているようで、今後も増加傾向は続くと予想されているので、当社としてもさらなるサービスの向上に努めていきたいと考えています。
■次に、『エリア検知センサー』について、開発された背景や製品の概要などお聞かせください
田口 : 『エリア検知センサー』は、新しいエリアセキュリティを提案する目的で考えたビジネスモデルです。
従来の警備システムは、部屋や建物全体の侵入検知は得意なのですが、エリアを対象にした警戒/検知システムはなく、ゲートを設置するなどをして部屋の状態をつくるなどでは、対応できない部分が出てきました。特に警備システムは、約半世紀前にできた仕組みのままでDX化が進んでおらず、また警備業界の人手不足も深刻な問題で、従来システムの機能アップが求められるような状況でした。
私自身、エリアを対象とした警戒/検知システムができればこの問題は解決できるのではと思い、そこでRFIDと人感センサに注目し、この2つの技術を組み合わせるアイデアを考えました。そして開発したのが『エリア検知センサー』になります。
こちらのビジネスモデルには、2つの大きな特徴があります。1つは、人感センサとRFIDが対象のエリア内で関係者か否かを検知/判断できる機能的な部分です。
これは、機能面が特許にもなっているのですが、関係者か否かを人感センサとRFID所有者の確認で行うと共に、対象エリア内への侵入/退出をもって、対象エリアの警戒状態をセットと解除できることです(図2)。従来から機械警備の世界で行っていたセット/解除の操作が、検知確認で可能になります。
また、対象エリアに侵入した時には、関係者と一緒でない場合に異常と判断ができるため、ゲートなどを設けずにタグ無し者を検知する初めてのセンサとなります(図3)。さらに、福祉施設では入所者が何も付けて無いままの徘徊検知にも利用できますし(図4)、マンションにある駐輪場やカーポートでの車両盗難など、様々な盗難防止対応にも大きく貢献できると期待しております(図5)。
そして2つ目の特徴は、日本製ではなかなか見ない、アンテナ/リーダライタが一体化のRFID製品な点です。日本製のRFIDアンテナ関連製品は、ハンディ型とは別の固定設置型の場合、物流利用を目的としたリーダライタ1台にアンテナ複数台の同軸ケーブル接続がほとんどで、高速/複数タグの検知が可能な1個所複数台検知型でした。
それに対して当社のビジネスモデルは、人を相手にした民生利用を目的としているため、高速演算処理よりも到達距離と低価格が選択基準であり、今までの1セットの価格から半額以下となる販売価格の設定を考えています。
また、配線方式も人筆書きの配線でお馴染みの火災検知器と同じRS-485を利用しているので、複数台設置時の配線工事も、従来型のLANケーブル利用のスター型ではなく、ルート毎の配線にでき、配線路を確保する手間も軽減できます。
このビジネスモデルは、様々なシーンのエリア検知に対応できるだけでなく、警備システムの1部としての利用や、移動履歴や所在把握などデータの2次利用も可能なので、幅広い分野に提案できる商材だと考えています。
- 会社名
- 株式会社 C-t-i
- 所在地
- 東京都千代田区
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