■御社の非破壊検査システムとして展開されている製品についてお聞かせください
飯塚 : 非破壊検査システムは、主にX線を発生させる発生器とそれを受けてデジタル信号に変換・可視化する検出器で構成されています。
撮影方式で分類すると、X線透過した画像をそのまま表示する透視装置と、被検査物を回転させながら全周方向からデータ収集して断層画像を生成・表示するCTスキャナの2種類があります。CTスキャナは連続した複数の断層画像を3次元画像として表示することもできます。
また検査できる細かさによってマイクロフォーカスとミリフォーカスという領域があり、被検査物の透過できる厚さにより高エネルギーから低エネルギーまでありますが、当社ではそれぞれに対応した製品をラインアップしています(図表1)。X線透視検査装置は、特に二次電池のインライン検査を含めた製造現場でよく使われており、CTスキャナは研究開発や品質保証部門などで使われています。
最近では新しい技術として高速度X線イメージングシステムが注目されるようになってきています。時間応答性の高いX線検出器に高速度カメラを組み合わせることで、短時間に起こる高速の変化や動きを捉えるものです。例えば携帯電話を落下させて着地した瞬間に、内部の部品や構造がどう動くのかを動画で撮影して確認することができます。従来にはなかった、内部の動きを観察・検査できるこのシステムにより、秒間数千〜数万コマの高コントラストで高解像度の動画を撮影でき、また各種センサと組み合わせて解析するシステムも実現しています。この高速度X線イメージングシステムによる新しい領域が、当社のセールスポイントの1つになっています。
次に、当社の最新鋭システムとなる新製品についても、ここで紹介させていただきます。
まずは、マイクロフォーカスX線CTスキャナ『TXScanner』です(写真1)。
この製品は、従来のマイクロフォーカスX線CTスキャナをフルモデルチェンジした製品で、大きな特徴となる新しい機能がいくつか追加されています。その1つが、新開発の画像鮮鋭化機能「TXCorrection」です。この機能は、X線特有のノイズや偽像(アーティファクト)を独自の画像処理技術で補正することで、より実態に近い鮮明な画像を実現します。透過が厳しい被検査物やCT撮影が難しい複合材料などに特に効果を発揮します(写真2)。
X線発生器は最大管電圧300kVと230kVから選択することができます。検出器についても今回のモデルから新しいFPD(Flat Panel Detector)を採用しており、従来のコントラストの高いタイプに加え、解像度の高い新しいタイプもラインアップに追加しています。
また操作画面は使用者の好みによって、簡単に操作できるスマートモードと、詳細な設定が行えるエキスパートモードの2種類を自由に切り替えて使うことができます。スマートモードは煩雑なパラメータ設定がなく、位置決め/X線条件/スキャン条件の3ステップで簡単に撮影することができます(写真3)。エキスパートモードはFPD積分時間/積分枚数/ビュー数/スライスピッチ/スライス幅など、各種パラメータを個別で設定することができます(写真4)。その他にも、従来機能のいくつかはさらに改良されており、非常に使いやすいモデルになっています。
最後に、二次電池のインライン検査向けに性能をアップした新製品の円筒型リチウムイオン二次電池向けX線検査装置『X’s-BT150』を紹介させていただきます(写真5)。
この製品は生産ラインに組み込んで使用するタイプで、負極と正極の巻きずれや缶壁との距離など複数の検査項目を全自動で測定し、良否判定します。一般的には、検査対象物を一度停止させて撮影する手法が主流となっていますが、当社は検査対象物の動きに追従しながら撮影する技術を採用しています。本製品ではその機能をさらに強化することにより、当社従来製品と比較して処理速度を14%アップし、1分間に400個の検査を実現しています。
- 会社名
- 東芝ITコントロールシステム株式会社
- 所在地
- 東京都新宿区
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