東芝グループの中でパワーエレクトロニクス、メカトロニクス、各種制御システムのエンジニアリング・開発・設計・製造・工事・保守サービスから販売まで幅広い事業領域を展開する東芝ITコントロールシステム株式会社。今回は、同社の事業領域の1つであるX線非破壊検査システムにスポットを当て、事業概要や製品展開などについて、社会インフラ統括部 検査システム営業部 部長 藤田 恒雄 氏、検査システム営業部 検査システム営業第一担当 担当課長 飯塚 晃裕 氏にお話を伺った。
■御社の概要についてお聞かせください
藤田 : 当社は、幅広い技術力の融合と進化を目的として、産業分野の電機制御システムに特化した東芝FAシステムエンジニアリング株式会社(以下、東芝FAシステムエンジニアリング)と、産業および公共分野の計装制御を専門とする東芝情報制御システム株式会社の2社が、2000年10月に統合し設立されました。コンポーネントや装置の開発・設計・エンジニアリング、製品・システム・ソリューションの提供からフィールド業務まで対応する技術屋集団です。現在の事業領域としては「エネルギー」「産業システム」「公共インフラ」「ビル・施設」と4つがあり、それらの中でも主な製品群をご紹介します。
1つは公共・産業用リチウムイオン蓄電システムです。これは長寿命かつ安全性に優れた株式会社東芝(以下、東芝)のリチウムイオン二次電池『SCiB』を使った定置型の蓄電システムで、太陽光など再生可能エネルギーと組み合わせたCO2削減や、災害等による停電時のバックアップ電源として貢献できる製品です。学校や市役所など公共施設での再エネ利活用や防災対策、工場や商業施設のBCP対策など幅広い用途に対応する製品をラインアップしています。
次に監視/制御/情報/セキュリティです。こちらは例えばオフィスやホテル、病院や工場などで、照明や空調の監視制御、入退室のセキュリティを管理するシステム等を提供しています。多様な制御方式に精通した経験豊富なエンジニアが最適なシステムを立案から施工、保守まで一貫して対応しています。再生可能エネルギーの安定供給や効率的な利用を支援するメガソーラー監視システムや、エネルギーマネジメントシステム(EMS)についても同様で、多くの納入実績があります。その他にも上下水道の監視や河川の防災、産業プラントの監視/制御や工場の生産工程管理など、幅広く対応しています。
そして、我々の営業部で取り扱うのが産業用途の非破壊検査システムで、これはX線を使い対象物を壊さずに内部の構造を検査するシステムです。元々は医療分野からスタートしている技術・製品ですが、後に産業分野に展開し、製品の安全/安心をサポートしています。今回はこの非破壊検査システムについて、色々とお話しさせていただきたいと思います。
■では、非破壊検査システム事業の概要と市場動向などについてお聞かせください
飯塚 : 非破壊検査システム事業のコアである東芝のX線検査技術は、医療用として1914年に研究に着手したのが始まりで、工業用として透視検査装置を製品化したのは1950年のことです。その後も様々な開発が進められ、複数の透過データから断層画像を構築する産業用CTスキャナの1号機を1982年に開発しています。1996年に東芝から東芝FAシステムエンジニアリングへ移管され、2000年からは当社で事業を継続しています。
医療用でスタートした当時は、皆さんもご存知のようにフィルムに影を映して確認していましたが、現在はデジタル化されて主にPCの画面などでリアルタイムに確認できるように変化しました。
現在、産業市場の中でこれらの製品がよく使われているのは自動車分野です。この背景として、不良や欠陥が事故に直結するようなエンジン周りやタイヤホイールなどのいわゆる重要保安部品とされるものが、車体軽量化のために従来の鉄製からアルミ製に替わってきたということがあります。鉄やアルミなどの素材部品は鋳造過程で内部に気泡(鋳巣)ができてしまうことがあり、これが漏れや破損の原因になり得ます。
鋳巣を非破壊で検査したいというニーズは昔からあったのですが、鉄は比重が大きいために余程小さな部品でなければX線で透過することはできませんでした。これがアルミになったことで世にあるX線の出力でも十分に透過して検査を行えるようになったのです。
最近では様々な車載ユニットの電子化も進んでいるので、ICや基板などの電子部品やアセンブリ部品、また車載用二次電池なども含めた自動車部品全般の検査で使われるようになってきました。
自動車以外では、航空/宇宙、電気/電子、半導体、二次電池/燃料電池、医療品/食品業界などに広く浸透し、文化財/学術関連、地質調査の研究などにも使われています。
- 会社名
- 東芝ITコントロールシステム株式会社
- 所在地
- 東京都新宿区
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