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スペシャルインタビュー
2022.06.10
独自のコア技術を活かして 粘着テープに関する課題を解決
〜様々な生産プロセスや製品の改善、新製品の開発に貢献〜
株式会社 コスモテック
代表取締役社長 高見澤 友伸 氏

■御社の高分子技術を活かした製品と事業展開についてお聞かせください

 

高見澤:当社の高分子技術を活かした機能性フィルムは、“COSMOTAC(コスモタック)”というオリジナルブランドで製品展開を行っています(写真4)。基本的には、お客様のニーズから原反フィルムを開発し、加工はお客様サイドで行うこともあるので原反フィルムのまま提供したり、加工まで当社が対応して提供するような一品一様での製品ラインアップになり、それらすべてが“COSMOTAC”の製品名で、それぞれに型番を付けています。

写真4 “COSMOTAC”ブランドの原反製品一例

 

我々のビジネスモデルは、どちらかというとソリューション指向が強く、お客様が求めている潜在的もしくは顕在的なニーズを拾い上げ、その解決策のために粘着テープを開発しています。そのため、単に粘着テープを売ることが目的ではなく、その粘着テープによりお客様の生産プロセスや製品が改善できるか、または新製品の開発が上手くいくかということを目的にしています。

原反フィルムの販売だけでなく、加工品の販売を行う理由はここにあり、加工部門ではお客様が新製品を設計する時に、他社の既存テープを加工すれば間に合うケースが多くあるため、そのような提案を行っています。当社は、大手テープメーカーや機能性フィルムメーカーとの繋がりが色々とあるのでこのようなことができ、どこにもマッチするような既存テープがないようなら、我々で開発を行っています。

当社では、このような上流から下流までの一貫したソリューション型のビジネスモデルを展開し、大手テープメーカーや機能性フィルムメーカーからみると我々は加工屋というイメージがあるので、競合することもなく協力関係を築くことが可能であり、他社が手掛けないような分野に関しては独自に事業展開しています。

 

■では、加工技術を活かした事業展開についてお聞かせください

 

高見澤:基本的には、ディスプレイ関連や電子部品関連の産業分野を中心に展開していますが、産業分野以外でも幅広い分野に視野を向け、魅力ある活気溢れる市場に色々とチャレンジしています。

例えば、肌用転写シールもその1つになります(写真5)。この製品は、水を使わずに簡単に貼れて水や摩擦などでは容易に剥がれず、一度貼ると10日ほど貼った状態を保てます。勿論、お風呂で擦っても容易に剥がれませんが、剥がしたい時は専用のリムーバなどを使用せず、簡単に剥がすことができます。また、人体に安全なので安心して使用でき、デザインや色、大きさも自由に設定できます。

写真5 肌用転写シールの一例

 

この肌用転写シール事業は、当社のグループ会社である株式会社フェイスラボで行っており、このビジネスを展開するために同社を設立しました。現状では、タトゥーシールといったファッションアイテム、イベント向けグッズ、キャラクターグッズなど、色々な用途に展開しています。

それから、このような新しいビジネスへの取り組みは、我々だけではある程度の限界が見えてしまうので、色々な外部機関や外部企業と連携しながら行っており、最近では東京都と連携して行うケースが多くなっています。例えば、東京都が主催する「東京ビジネスデザインアワード」に応募したのもその一環になります。

この「東京ビジネスデザインアワード」は、東京都内のものづくり中小企業と優れた課題解決力/提案力を併せもつデザイナーとが協働することを目的とした、企業参加型のデザイン/事業提案コンペティションで、最終的には事業化が目標になっています。ただ、実際に事業化までたどり着くのは、受賞した中の約2割程度のようです。

当社は、肌用転写シールの技術で応募し、あるデザイン会社と知り合ったことで、「肌に貼れるシールがあるなら、それをメモ帳代わりに使ってみればよいのでは」というアイデアを頂き、技術的には簡単につくれるものだったので、それを提案して優秀賞を受賞しました。そして、ここからが本題の事業化にどう繋げていくかになるのですが、我々は引き続きアイデアを頂いたデザイン会社と1年間のコンサルタント的な契約を結び、まず事業化に向けた製品の改良を行いました。それは、シールのように貼るものではなく、「シリコンバンドを使って身につけるメモはどうだろう」というコンセプトでスタートし、腕に巻き付けるようなシリコンバンドは以前からあったので、そのような形状のシリコンバンドをメモとして使えるように、ペンなどで文字が書ける製品の開発を進めました。

そして、バンド型の身につけるメモ帳『wemo』が誕生しました(写真6)。この製品には、当社の肌用転写シールを応用した印刷技術とコーティング技術など独自の表面処理が使われています。主な特徴としては、①油性ボールペンで書けて消しゴムで消すことも可能なので何度でも使用できる、②水に濡れても消えないので装着したまま手洗いや水中での作業も可能、③現場での記憶に対するストレスを軽減し、業務への集中に貢献、などが挙げられます。

写真6 バンド型のメモ帳『wemo バンドタイプ』

 

この製品は、幅広い分野で活用できると考えており、スタンダードの「バンドタイプ」以外に、「パッドタイプ」、「ケースタイプ」などバリエーションを増やしています。

また、当社の技術を活かして、他社のビジネスをフォローしていくような取り組みも行っています。例えば、異業種のイベントで知り合ったセキュリティ関連の会社からの依頼で、同社の製品を使用して、ユニークで特殊なセキュリティラベルの開発に協力しており、ようやく製品化へのメドが立ち販売を開始できる状況です。さらに、もし海外での販売を計画された場合には、我々は中国に拠点があるので色々とネットワークをもっており、中国での展開については販売代理店としてお手伝いできるのではと考えています。

会社名
株式会社 コスモテック
所在地
東京都立川市