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スペシャルインタビュー
2022.01.15
独自のコア技術による高周波と光の伝送関連製品
〜独創的な技術開発で事業展開〜
スタック電子株式会社
常務取締役 福地 敏 氏

 

写真4 ROF-Link

 

また、光信号を無線信号で強度変調して光ファイバで伝送するROF(Radio Over Fiber)という技術を応用した、電気/光変換器(E/O)と光/電気変換器(O/E)の『ROF-Link』を開発し、好評をいただいています(写真4)。光ファイバは、同軸ケーブルに比べ低損失で広帯域な特性をもっていますので、数kmの遠隔距離の伝送が可能です。ROF技術は、CATV幹線系など限られた分野で採用されていましたが、近年、電気/光変換器として使用するLD(レーザダイオード)の性能改善と低価格化によって、電波不感地帯対策用途を始めとする様々な分野での適用が活発化しています。
同製品は、これらの市場ニーズにジャストフィットする汎用性の高い製品です。公共放送/携帯電話/無線LAN/業務用無線などの無線信号をそのまま光伝送でき、同軸ケーブル伝送と比較して伝送損失が大幅に少ないなどの特徴をもっています。
当社としては、『ROF-Link』だけではなく、前後に必要な装置を含めることで付加価値を付けた一つのシステム『ROF-World』として事業展開しています(写真5)。最近では、地上のデジタル放送/AM放送/FM放送の電波を地下街でも受信できる地下街再放送システム、ゴルフ中継などのハイビジョン放送の電波を中継車に送るROF装置、鉄道連絡無線システム用のROF伝送装置など、幅広い分野のシステム製品を開発しました。

写真5 ROF-Worldの概要

写真6 電気光学効果電界プローブ『LeoProbe』

 

さらに、独立行政法人情報通信研究機構(NICT)の技術供与と共同研究により、小型で高感度な電気光学効果電界プローブ『LeoProbe』(商標登録済)を開発しました(写真6)。同製品の開発と事業化は、当社がコア企業となり、カドミ光学工業株式会社、株式会社タナカ技研との連携で進めており、関東経済産業局から「異分野連携新事業分野開拓事業(新連携)」として認定されています。
同製品はまったく新しい概念のプローブで、一言でいうと電波を目で見ることができる装置です。特徴としては、金属を一切使用していないため、測定対象の電界をほとんど乱すことなく測定ができるので、非常に小さな部分での電界の分布が計測できます。電気的に非接触で測定できるため、対象回路動作に影響を与えないことでも応用範囲が広げられます。最近では、スマートグリット分野からも注目されており、その他にも電子機器EMC測定、アンテナ近傍電界計測、高周波回路開発時の検証、高速高密度電子回路の放射電界計測、超高速半導体の動作解析などの用途を想定しています。

 

■今後の展開についてお聞かせ下さい

 

福地:今までは、メーカーごとにユーザーの仕様にあわせてOEM供給を中心におこなってきましたが、今後は今まで積み上げた実績を活かして、『スタック』というブランドを表に出して事業展開していこうと考えています。
また、今まで中心となっていた情報・通信分野だけでなく、特に光伝送関連分野に力を入れていこうと考えています。計測器に使う高周波帯だけではなく、実際はもう少し低い周波数帯でも需要が結構あります。さらに、「光で電力伝送を行えないか」とか「空港内無線インフラへの応用なども出来ないだろうか」といったニーズも頂いており、新たな市場への展開を見込んでいます。通信関連でも、国の政策で周波数がどんどん高い方にシフトしており、これに伴い今まで信号伝送に使用していた同軸ケーブルでは伝送損失が大きくなるため使用範囲が狭くなるので、高い周波数でも伝送損失の少ない光伝送に変えることで広範囲に使用することができるようになります。
このようなニーズに対して、『ROF-Link』を使った『ROF-World』と新連携で進めている『LeoProbe』といった製品を中心に事業展開していく予定です。
今後も、国内生産にこだわり日本のものづくり文化を守っていくために、会社一丸となって取り組んでいきたいと考えています。

 

本日はお忙しい中ありがとうございました。

会社名
スタック電子株式会社
所在地