コネクティッドバッテリー『MaBeeeシリーズ』を基軸に、クラウド基盤まで含めたトータルサポートで事業を展開するノバルス株式会社。今回は、同社を設立した経緯と事業内容、製品展開しているコネクティッドバッテリー『MaBeeeシリーズ』の概要や特徴などについて、代表取締役 岡部 顕宏 氏にお話を伺った。
■御社を設立された経緯や事業内容などについてお聞かせください
岡部 : 当社は2015年に設立しています。私は以前、時計やシステムソリューションなどを手掛けるエレクトロニクス関連メーカーに勤務しており、新事業に関する仕事に従事していました。
スマートウォッチなど今ではかなり普及していますが、時計業界はそのようなハードウエアをスマート化する動きが比較的早く、それ以外の業界でも同じような動きが当然のように広がってくるであろうという気運が高まっていました。また、当時私が勤務していた会社では、無線技術やクラウドサービスなど、それぞれの専門部署が社内にあったので、何か新しい事業を始めようとする時には、自社で横断プロジェクトができる環境にありました。
その一方で、幅広い様々な製品を鑑みた時に、決して社内にそのような専門部署が存在する会社ばかりではないと思っていました。そこで、トータルソリューションを含め何かお手伝いできることがあるのではと考えていました。
また、物にもよりますが、従来の通信モジュールを組み込んで開発しようとすると、かなり巨大なプロジェクトになってしまう傾向にありました。それをパッケージ化して簡略化していくことで、ハードウエアのネットワーク対応も簡略化し、その先にあるクラウドやアプリケーション周りもパッケージ化していくことで、様々な製造業の会社がネットワークに繋がった製品やサービスを展開していく時に、クイックでスタートできる環境を提供できればと考えていました。
このような考えから、独立を決断して当社を起業しています。
そして創業当初は、補助金やベンチャーキャピタルなどから出資を受けて、まずはハードウエアの開発から行いました。実際には、起業前から構想をもっており、私自身エンジニアではないのでデバイスをどう実現させるかを考え、開発については当初フリーランスのエンジニアに協力していただきました。また、試作開発を繰り返す中で様々な方々に参画いただき、原理試作の開発まで行いました。
起業後は、デバイスの開発とともにアプリの開発も進めていきました。そしてデバイスとしては、電池形状で電源兼通信モジュールの機能をもつコネクティッドバッテリーを開発し、それに対応するスマートフォンのアプリも一緒に開発することで、事業をスタートさせています。
元々この事業は、私が前職の時に開催されたワールドカフェ方式のワークショップで、色々な会社の方が参加してそこから出てきた新規事業に関するアイデアの種の1つでした。しかし、そのアイデアは当時の社内では具現化に至らず、このまま埋もれてしまうのは非常に惜しいと思い、これも独立して起業する背景になっています。
現在は、製品化したコネクティッドバッテリーを基軸に、クラウド基盤まで含めたトータルサポートを提供するDXソリューションカンパニーとして、事業を展開しています。
■御社のコネクティッドバッテリーについて、概要や特徴などお聞かせください
岡部 : 今回、我々が開発したコネクティッドバッテリーは、『MaBeee(マビー)シリーズ』という製品になります(写真1)。モデルとしては数種類用意していますが、大別すると「モニタするタイプ」と、「コントロールするタイプ」の2つに分けられます。
当初は、クラウドファンディングを利用した製品展開を進め、最初は「コントロールするタイプ」の製品からスタートしています。その中心になっているのが、『MaBeee コントロールモデル』になります。こちらの製品は、スマートフォンアプリなどの上位システムから電池に対して、出力を100%、10%、offなど指示をBluetooth経由で送ることで、その通りに電池の出力をコントロールする電池型のIoT製品です。
例えば、乾電池を使用するミニ四駆といった玩具を動かしたり、懐中電灯の明かりを点けたり消したりすることができます(写真2)。最近では、教材メーカーが自社の乾電池を使う教材において、プログラミング教材としてスマート化を展開する時などに採用していただいています。
そして「モニタするタイプ」は、状態をモニタする電池型のIoT製品です。その中心になっているのが、『MaBeee モニタリングモデル』になります。こちらの製品は、既存のテレビリモコンなどに装着していただき、リモコンのボタンを押すと電流が流れるので、その電流が流れたことを本製品が検知し、上位システムにBluetooth経由で通知する仕組みになっています(写真3)。
テレビリモコン以外にも、乾電池を使用するエアコン/照明/トイレのリモコンに使用することができます。最近では、高齢者の方の生活リズムモニタなどに採用していただいています。
さらに「モニタするタイプ」の製品には、Bluetooth以外にもLTE-Mを採用した『MaBeee LTE-M型モデル』もラインアップしています(写真4)。こちらの製品には、通信キャリアのSIMカードが入っており、回路に電流が流れたことを通知するのに加えて、回路から電源線に独自の信号フォーマットで本製品に装置側の信号を送るような仕組みが付いています。
それにより、単純に電流が流れた流れていないといった情報だけでなく、例えば装置側に3つのセンサがあった場合、1番目が反応しているとか、2番目が反応しているといったセンサの情報も、独自のインタフェースで本製品に送ってクラウドに上げられるようになっています。
これら製品の生産拠点としては、Bluetoothを採用したモデルは国内で量産化を展開しており、LTE-Mを採用したLTE-M型モデルについては現状中国での量産を展開しています。当社は、基本的にファブレス企業なので、設計やラインの検査治具などを自社で開発し、それらを各生産拠点にお渡ししている状況です。
また、Bluetoothを採用したモデルはどちらかというとBtoCまたはBtoBtoCを対象にしており、LTE-M型モデルはBtoGやBtoBを対象にビジネスを展開しています。その中で、最近ではLTE-M型モデルを採用した「冠水通知システム」を開発し、製品展開を進めています。
- 会社名
- ノバルス株式会社
- 所在地
- 東京都千代田区
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