■御社のロボット開発事業について、始められた経緯や概要などお聞かせください
藤本 : 最初は、相模原市でロボットに関する顧問をされている東京大学の佐藤名誉教授という方が、当時市内の企業で産業用ロボットのSIer(エスアイヤー)を育てるという市の取り組みを進めており、その最初のプロジェクトで双腕ロボットのハンド部分の設計を我々に任されたのが、ロボット開発事業を始めたきっかけになっていると思います。
そこから、新たなネットワークを構築していき、産業用ロボットに関する様々な案件に携わっていきました。その中で、我々の得意としているのはメカや電機ではなくデザインであり、デザインは例えばものをつくった後にただ被せるだけでなく、使い勝手など色々なことを考えながらデザインしていくので、どちらかというと設計と一緒に進めていかなくてはならないと考えています。
それが、我々の強みになっており、これからもそのような提案をしていきたいと思っているので、どちらかというと産業用ロボットよりも、サービスロボットや一般消費者が目にするようなロボットに携わる方が、我々の強みを活かせると思うようになりました。そのため、産業用ロボットもやりつつ、サービスロボットなどに比重を移していき、現在はロボット開発事業のメインになっています。
我々の中で、サービスロボットを始めるきっかけになったのは、株式会社クフウシヤ、株式会社キャロットシステムズとの共同で開発した掃除ロボットでした。それ以前にも、チャレンジしたいという計画はあったのですが、なかなか着手することができなかったところ、3社でやることによって補助金を活用しながらそこに携われたことが、我々の大きなスイッチを押してもらえたプロジェクトになっています。
そして、共同開発した掃除ロボットは室内用で、室内で動作するロボットは世の中に色々とありますが、問題点もいっぱいあることが自ら開発する中で分かってきました。例えば、点字ブロックやフロアマット、レンガ敷きの床などの小さな段差でも、止まってしまうことが多くありました。また、段差による振動や衝撃で内部の電子部品などが破損してしまうことも、少なからずありました。
このような課題を解決するため、我々が取り組んでいるのはオリジナル製品となる『汎用ロボットベース』の開発です(写真1)。『汎用ロボットベース』のコンセントとしては、大手企業などが人や障害物を避けながら狭い場所も自動走行するロボットを開発していますが、基本的にはそれと同じような感じになると思っています。ただ、我々としては大量生産を目指しているわけではなく、大手企業と勝負できるとも考えていません。
我々は、お客様が期待や要望していることに対し、カスタマイズして提供することを得意としているので、大量生産というよりもニッチな部分に合わせた開発を進めることが、我々の存在意義に繋がると思っています。そのため、自動走行するロボットに汎用性をもたせ、本体の上に色々なものを乗せることでカスタマイズし、お客様に提供するというやり方が我々の強みを活かせるビジネススタイルだと思っています。
この『汎用ロボットベース』のメリットとしては、開発期間の短縮や開発コストの削減、段差での衝撃を吸収、狭いスペースでも小回りがきく、などが挙げられます。基本的には、先程もお話したような当社でカスタマイズして完成したものを納品するといった提案を進めますが、単体での提供も行っており、お客様サイドでカスタマイズすることも可能です。
現在は、具体的な汎用性を色々とアピールしながら、ベースとなる製品の開発を順次進めています。
■オリジナル製品となる『汎用ロボットベース』について、現在の開発状況などお聞かせください
藤本 : 『汎用ロボットベース』の開発については、ニーズを見つけてスタートしてからすでに1年半ほど経ちましたが、本年度中には製品化が見える形を目指しています。現状はリモコンで動かしていますが、これをSLAMによる自律制御とライントレースを使った2種類のやり方で考えています。
工場などでは、ライントレースを使って走らせているケースが多いですが、棚を動かしたりレイアウト変更するたびにライントレースを引き直すのは大変なので、最近では自律制御になってきているようです。ただ場所によっては、ライントレースの方がメリットが多いと思っています。
例えば、サービスロボットのライントレースというのはあまり耳にしないと思いますが、自律制御はまだまだ完璧ではないので、もしかしたら環境が合わない場所も出てくると思います。それを解決するのは、ライントレースではないのかなと感じているので、我々はそのようなニッチな環境に提案していくために、ライントレースは大きな1つの選択肢だと捉えています。
そのため、今はSLAMによる自律制御とライントレースの開発を同時に進めている状況です。
また、『汎用ロボットベース』の活用プロダクトとしては、『配膳ロボット』(写真2、3)と『農業支援ロボット』(写真4)での展開を考えています。これ以外にも、ニーズは沢山あるはずなのでそこを発掘していきたいのですが、あまり形をつくってしまうとそこにしか頭がいかなくなるので、現状はこの2つの展開で進めていくつもりです。
そのような中で『配膳ロボット』については、「令和4年度相模原市ロボット産業活性化事業」「サービスロボット関連技術ビジネス化支援事業」に採択されています。これは、相模原市から相模原商工会議所に委託された事業として、当社の『配膳ロボット』が市内飲食店/商業施設/介護施設など、様々な環境で実証実験することにより、新たなニーズの開拓を目指していくもので、今年から新設された補助金制度になります。
さらに、神奈川工科大学の人間機械共生研究室様が開発した『食事支援ロボット』(写真5)に、『汎用ロボットベース』を活用していただきました。こちらのロボットは、自律移動による室内の見守りと食事動作の認識や介護を行っていきます。
このように、補助金制度を上手く活用していきながら、研究開発への支援などでも、『汎用ロボットベース』のニーズを少しずつ見つけていきたいと思っています。
- 会社名
- 株式会社 F-Design
- 所在地
- 相模原市緑区
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