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スペシャルインタビュー
2022.07.12
時代のニーズに合わせた無停電電源供給器を提供
〜「環境」や「人手不足」をキーワードに事業展開〜
東京電源株式会社
代表取締役 夏目 昌彦 氏

CATV用無停電電源供給器を柱に事業展開する東京電源株式会社。最近では、「環境」や「人手不足」をキーワードにCATV市場だけでなく、幅広く電源事業を展開するとともに、新たに環境衛生機器事業をスタートさせた同社の概要や事業内容、製品展開などについて、代表取締役 夏目 昌彦 氏にお話しを伺った。

 

■御社の沿革や事業内容などについてお聞かせください

 

夏目 : 当社は、1967年6月に東京都品川区中延で東京電源機器製造所の商号にて私の父が創業しています。元々父は、通信関連メーカーに勤めており、独立する形で当社を立ち上げ、創業当時は主にトランスなどの電源に使用する部品や、それらをアセンブリーした交流定電圧電源装置の設計/製造/販売を行っていました。基本的には、標準品といったラインアップではなく、お客様の仕様に合わせたカスタム品の提供が主流でした。

1972年9月には、法人化に伴い現在の東京電源株式会社に商号を改め、同年12月に本社/工場を東京都足立区舎人に社屋を竣工し、移転しています。そして、国内空港設備用交流安定化電源装置やテレビ共聴用電源供給器などの設計/製造/販売も行っていきました。

1987年8月には、当時の取り引き先であった大手アンテナメーカーの依頼で、大規模双方向CATV施設向けの無停電電源供給器を開発し、供給をスタートさせました。その後、CATVの普及が徐々に進められていく中で、インフラの整備とともに当社への受注も増えていき、会社の規模も少しずつ大きくなっていきました。

そして2001年9月には、業務拡大により、現在の所在地である東京都足立区入谷に3階建ての本社/工場を竣工し、移転しています。

また私は、元々環境/衛生関連の仕事に就いていましたが、2008年4月に当社へ入社し、2016年8月に代表取締役に就任しています。

現在は、電源事業の主力となるCATV市場などに向け電源を供給しながら、新たな取り組みとして環境衛生機器の販売/メンテナンスの事業も行っています。

 

■主力となるCATV市場の概要と、御社の取り組みなどについてお聞かせください

 

夏目 : CATVは、同軸ケーブルで映像/音声信号を送信しますが、送信距離が長くなると、信号は徐々に減衰してきます。そのため、中継増幅器が必要となり、この中継増幅器に電力を供給するのがCATV用の電源供給器になります。市場では、徐々にバックアップ機能を備えた無停電電源供給器が主流になっていきました。

この装置は、通常時には電力会社から送られるAC100VをCATV用の機器に供給するためにAC60Vに降圧し、停電時においては搭載した蓄電池の電力を使ってAC60Vを供給し、常用としても非常用としても機能しています。

当社では、このCATV用無停電電源供給器を中心に事業を展開していますが、CATV設備網は概ね行き渡ったことや送信方式が同軸ケーブルを使った方式から光ケーブルを使った方式へ進化するなど、CATVを取り巻く状況は変わり続けています。

そうなると、当社の主力であるCATV用無停電電源供給器が必要とされるシーンも、減ってくるという現象が起こってきます。それは、光は同軸ケーブルを使用した電気信号より、減衰しにくいとされているため、中継増幅器の必要性が減少します。それにより、中継増幅器に対しての無停電電源供給器の需要も徐々に減ってきています。

ただ、光では無停電電源供給器をまったく使わないかというとそうでもなく、バックアップ機能を備えているため、要所要所では使われています。また、市場の縮小により電源供給器を供給する業者の撤退も見え始めていることから、新たなお客様との取り引きが始まるケースも出てきています。

さらに最近では、太陽光パネルを利用した電源供給システムへの取り組みを進めています。これは、CATVだけでなく他の分野にも当社の製品を活かせるシーンはないかと社内で色々と検討してきた中で、エコをテーマにしたビジネスモデルの展開を模索していました。そこで注目したのが太陽光パネルになります。

当社が今まで行ってきたのは、「電力を貯めておいて使いたい時に使う」といった発想で、その元となる電力をどこから得るかを考えた時に、自然エネルギーを利用できる太陽光パネルが頭に浮かびました。太陽光パネルを活用することにより、商用電源がない場所でも日当たりさえ確保できれば、リアルタイムの発電電力を使用しつつ、余剰となった発電電力はバッテリーに蓄えることが可能になります。

このような発想をきっかけに、新たなビジネスモデルとなる太陽光独立電源供給器の開発を数年前からスタートさせ、2019年に製品化しています。今までは、どちらかというとお客様のニーズを優先した製品の開発を行っていましたが、今回は自分たちで、社会が求めているニーズを想像し、企画したオリジナル製品の第一号になるのかなと思っています。

会社名
東京電源株式会社
所在地
東京都足立区