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スペシャルインタビュー
2023.02.15
全固体電池評価試験の新たな取り組みとして試作サービスを開始
〜研究開発用途に対応する全固体電池を試作〜
株式会社 ケミトックス
代表取締役 最高経営責任者 中山 紘一 氏

■全固体電池の試作サービスについて、概要などお聞かせください

 

中山 : そもそもこのサービスを始めたのは、当時市場に「全固体電池」という製品がまだほとんどなかったため、製品が市場に出回ってから評価試験や火災試験などを行っていたのでは、また後発になる恐れがあったので、いっそのこと我々でつくってしまおうと考えたのがきっかけです。安全かどうか判断したくとも、製品がなければ評価試験や火災試験もできないので、それを確認するためにもお客様に使用してもらえる試作品をつくろうという意図で始めました。

基本的なサービスとしては、お客様が開発した材料で試作条件を検証するほか、液系電池で使用していた部材を全固体電池で試すなど、お客様が希望する材料/部材を組み合わせて、圧粉方式で全固体電池を試作します。その後、試作した電池は、当社の試験設備や分析装置を用いて、ワンストップで電池の性能評価や不良解析を行うことが可能です。

試験測定としては、充放電容量の測定や500〜1000サイクルを超える充放電サイクル試験を行い、容量と長期サイクル耐性を評価します。これらの測定は、環境温度や充放電レートを変えることができ、望みの特性評価が可能です。また、安全性が高いとされる全固体電池に対して、過充電/過放電試験、釘刺し/圧壊試験、環境試験、燃焼性試験等安全性を実際に評価する体制を整えています。国際規格として知られているIEC規格に基づくニードルフレーム燃焼試験を行ったところ、硫化物系全固体電池では引火する様子が確認され、全固体電池を使用する場合にも、適切な安全対策が求められることがわかりました。

またこのサービスは、研究開発チームを本格的に立ち上げ、東京の本社と山梨県北杜市にある山梨試験センターの2拠点で実施しています(写真1)。東京と山梨で、どちらがより性能の良いものをつくるか、競争させていきたいという考えから同時にスタートさせており、そのため設備投資も倍になっています(表1)。基本的に東京では硫化物系または塩化物系全固体電池の試作サービスを行っており(写真2)、山梨では酸化物系全固体電池の試作・評価サービスを行っています(写真3)。

写真1 山梨試験センターの外観

 

表1 試作サービスの設備内容

 

写真2 東京本社での作業風景と研究開発チームのスタッフ

 

写真3 山梨試験センター内の設備風景

 

現状では、東京2名、山梨3名の優秀な人材によりチームを編成しており、それなりの成果も出てきている状況です。

会社名
株式会社 ケミトックス
所在地
東京都大田区