ビジネスコミュニケーションを加速する
BtoB ニュース専門サイト | ビジコムポスト

スペシャルインタビュー
2023.08.15
ユーザーニーズに寄り添ったより良い設備/装置づくりを目指す
〜製造業と機械工具商の併設でロボット事業を展開〜
株式会社 テーエムシー
代表取締役  大貫 康裕 氏

■御社の製品について導入実績などをお聞かせください

 

大貫 : これまで納入させていただいた設備の種類は、多岐にわたります。多関節ロボットを搭載したアーク・スポット溶接設備やハンドリングを伴う搬送設備のほかにも、バリ取り装置や各種試験装置、測定装置などの依頼も多くいただいています。その中で代表的な設備を紹介させていただきます。

まずは、スポットセル自動化設備を紹介します(写真1)。この設備は、治具段替え機構を備え、通常ではサブ工程などで行うボルト/ナット溶接も同設備一連の工程内で完結できるのが特徴です。治具は、ステージごとにロボットで搬送し、固定Cガンだけでなく、Xガンの機能(持ち替え)も保有する工程集約型の設備です。

写真1 スポットセル設備

 

次に、ハンドリング組立設備を紹介します(写真2)。この設備は、多関節と直交ロボットを組み合せた自動車部品の自動組立設備です。

写真2 ハンドリング組立設備

 

従来、作業者が手に持って5人ほどで行っていた組立作業を省力化でき、オペレータ1人で対応可能な設備となり、省人化だけでなく生産効率アップにも繋がる効果が得られます。

最後に、溶接治具を紹介します(写真3)。この設備は、多関節ロボットを使用した全自動の溶接治具設備です。CO2、TIG、スポット、ろう付け溶接などに使用することが可能です。

写真3 溶接治具

 

これら以外でも、最近の設備/装置においては、画像の性能や安定性が向上してきたこともあり、各種装置にカメラを用いた判定を導入することが増えてきました。排出やパレタイジング時などに人が確認していたOK/NGの判定作業を、カメラにその役割をもたせます。また、ワークを投入する際に品種確認の判定をしたり、在籍確認のためのセンサの代替として使用したりと、用途も様々です。

安全対策についてもこれまで以上に、より安全性を高める要望が増えてきています。作業者の誤侵入を防ぐ安全柵やエリアセンサなどで対応するだけではなく、幅広い範囲で常時監視できるようなレーザスキャナなどを導入することも増えてきました。いかに、人が安全な環境で作業できるかということは、良い設備の導入を目指すことと同じように重要な位置づけだと認識しています。

さらに、品質管理においても変化が見受けられます。1つの製品(部品)ができ上がるまでには、当該装置だけで完結するのではなく、そこから別のラインに流れたり、もしくは別の会社まで運ばれ継続する場合もあります。

そこで、重要になってくるのが管理システムになります。QRコードを利用したトレーサビリティを用いた品質管理などが、主な事例として挙げられます。このシステムには、どこで、どのような状況でつくり上げられたのかが、一目で分かるような履歴を保有させることができます。最終的には、使用されるお客様が安心して使うことのできる品質の安全性を確立します。

私たちが製品をつくり上げていく中で、大事にしている項目の1つに、設備に使用する機器類の選定があります。機械工具商の経験と知識を活かし、お客様のニーズに合ったより良いアイテムの選定を心がけています。納入後のメンテナンス性、ランニングコスト、入手のしやすさなども大切です。使用機器類が装置に、いかにマッチングしているかということだけではなく、受け取ったお客様が安心して使用できるような設備となるよう注意を払い、検証を重ねることを大切に考えています。

また、装置が納入されるライン前後や、工場全体像の把握も大切にしている1つです。省力化/自動化の推進は重要ですが、装置単体が稼働すればそれですぐに、お客様が望むような良い製品が効率よく生まれる訳ではありません。

導入する際には、正確な装置精度が保たれるように設置場所フロアの基礎工事が必要となる場合もあると思いますし、稼働までにはコンプレッサやチラーなどのユーテリティを備えなければならない場合もあります。さらに、製品を搭載するのにクレーンやホイストなどの搬送設備がなくてはならなかったり、装置上流には前工程でNC加工機や圧入機などの機械/装置が、ライン下流では後工程で検査機や測定装置が必要になるかもしれません。同時に集塵機や空調機など、作業者の環境にも配慮しなければなりません。

ロボットを搭載した自動化装置は、確かに効率化が図れますし、品質の向上にも期待ができます。ただし、稼働させるのは人であることを忘れてはいけないと思っています。人の経験/感性/知恵などでつくり上げた装置を、ロボットが繰り返しや精密な動作などで補う「人とロボットが共に活きる」、そこから何か新しい発想や何倍もの効果が生まれるような、そんな設備/装置づくりを目指しています。

近年は、人工知能AIの発展も目覚ましく、最近では「Chat GPT」などのAIの名前を良く耳にします。私たちが知りたい事項を即座にチョイスして、多くの選択肢を瞬時に提示してくれます。

しかしながら、今のところそれはあくまで選択肢の1つであり、最終的な答えやどう解決していくのかは、私たちで決定し行動しなければなりません。そこに私たちの個性や想いを反映することで、より良い製品づくりに結び付けられるのではないかと考えています。

AIが導き出す膨大なデータを利用/活用しながら時間の効率化を図り、私たちが培ってきた経験値や感性を研ぎ澄ませ共に連携し、ものづくりに活かすことが重要なのではないかと思っています。

 

 

会社名
株式会社 テーエムシー
所在地
神奈川県相模原市緑区