プラスチック成形用設備やシステム機器に特化した事業を展開する株式会社 松井製作所。今回は、同社が提唱する「豊かさを2倍にし、資源消費を半分にすることで、資源生産性を4倍にする」という“factor4”への取り組みの中で取り扱いを開始した金型交換装置にスポットを当て、ソリューション事業カンパニー ソリューション本部 営業技術部 マネジャー 川口 亮 氏と、開発/製造元のニチエツ株式会社 代表取締役 中村 高志 氏にお話しを伺った。
■御社の事業展開についてお聞かせください
川口 : 当社では、2014年からカンパニー制を導入しており、現在は標準品事業カンパニーとソリューション事業カンパニーの2カンパニーで事業を展開しています。
標準品事業カンパニーでは業務の効率化を追求するのに対して、ソリューション事業カンパニーでは効率よりもお客様の満足度を追求しています。以前は、効率とお客様の満足度を同列に追いかけていたので、ある時は標準仕様で推進していたとしても、別の場面ではカスタマイズが必要になる装置もあり、混沌とした状態でした。そのため、2つのカンパニーに分けることで、標準品事業はカタログ製品を「早く」、「安く」、「うまく」をモットーにファーストフードのように取り扱い、ソリューション事業は三ツ星レストランのようにお客様をもてなしていくようなカスタマイズを主とした事業形態をとっています。
それから当社では、“成形工場のfactor4”を実現するという取り組みを推進しています。“factor4”とは、エイモリー・B・ロビンスらによる報告書で広く紹介された環境効率の指標の1つで、「資源やエネルギーの浪費を半減し、生産性を倍にする事で、資源生産性を4倍に高め、これにより豊かさと地球環境のバランスを回復できる」とする考え方です。
当社は、この“factor4”で提唱されている「資源消費半分、豊かさ2倍」という考え方に賛同し、プラスチック成形工場の“factor4”を実現することを使命とし、事業活動に取り組んでいます。これは、標準品事業とソリューション事業の両方に関連しており、その中で標準品事業では「世界で売れているものに対して、すべての面でそれを上回るようなものを作り売上に貢献する」ことを目標にし、ソリューション事業では「お客様の課題解決に寄り添いながら、信頼を勝ち取っていく」ことで売上に貢献していきたいと考えています。
また、“factor4”実現のために取り組むべき内容を「消費資源CUT」、「生産量UP」、「付加価値UP」という3つのカテゴリーに分類し、それぞれ12のソリューションに絞り込んで解決に導くための提案を行っています。
さらに、当社だけでは提案の幅が狭くなるため、“factor4”の取り組みに賛同していただける企業を募り、2011年に「グリーン・モールディング・ソリューション協会」を設立しています。この協会は、国内外の企業15社で構成され、当社と一緒に12のソリューションを解消するために色々な提案を行っており、現在もご賛同いただける企業を募っております。
最近では、世の中の働き方改革への要望に対する提案として「段取り時間の短縮」を実現するアイテムとなる、金型交換装置の取り扱いに力を入れているところです。
■金型交換装置の協業に至った経緯や市場の概要などをお聞かせください
川口 : ソリューション事業の大きなミッションは、新規顧客の開拓と市場の拡大を目指すことですが、そのためには取り扱うアイテムの数を増していくことも重要になってきます。
昨今、プラスチック成形工場を取り巻く環境は、品質向上/短納期化/低コスト化など厳しい条件の中で、「働き方改革」への対応といった問題に対する取り組みが求められています。働き方改革については大手の企業ではすでに取り組まれているようですが、新型コロナウイルスの影響がなければ中小企業も今年の4月から制度が施行される予定でした。
当社は、この「働き方改革」にターゲットを絞り、我々が比較的得意としている小型のプラスチック射出成形機向けの市場を見据え、関連するアイテムを色々と探していました。
このような取り組みの中で、金型交換装置の開発/設計/製造を行うニチエツ株式会社と協業をスタートさせています。実は同社の中村社長とは、同氏が以前に他の会社に勤めていた際、同氏が発案したある生産システムの開発にあたって弊社と協力したことがあり、それが縁で今回の協業に繋がっています。
また当社は、先程お話しした“factor4”に貢献できる技術を市場で見つけて協業を提案し、自社技術と併せてソリューション活動を行ってきました。今回のニチエツ社製の金型交換装置も、開発の段階から我々の要望を踏まえて中村社長と議論を重ねていき、製品化を実現してきた経緯があります。
市場の概要などについては、中村社長からもご説明していただきたいと思います。
中村 : 弊社は成形工場関連のロボットを開発/製造する企業として、創業3年目をむかえるメーカーです。
ご存じの通り、プラスチック射出成形機は金型を交換することで、様々な部品(成形品)を生産することが可能です。身の回りのさまざまな製品に成形品が使用されており、成形品の品質やコストは、製品の品質や機能、価格に直結するため、成形工場では顧客や経営層から常に高いレベルの品質/コスト/納期を実現することが求められています。
しかし、グローバル化に伴う大ロット生産の海外移転や、消費者ニーズの多様化により、多品種少量生産の流れが加速され、成形工場での生産は複雑化し、顧客満足を高めることは容易ではありません。また、日本国内のみならず新興国においても人材不足は加速しているため、働き方改革と生産性向上を同時に実現させる必要があります。
ところで、私達が考える理想的なプラスチック成形工場は、「無理のない働き方で、成形工場が効率的に運営されている」、「成形機が高い稼働率を維持している」、「生産上の課題に対して改善が絶え間なく進められている」という3つのポイントを達成している必要があると考えています。
しかし、成形工場では生産そのものは成形機と取り出しロボットが行っているものの、その他の業務はあまり自動化されていないため、作業者の方は仕事に追われ、生産は止まりがちとなり、大きな問題には取り組む一方で、地道な改善活動が進んでいない成形工場が多いのではないかと考えています。
作業者の方にとって特に負担となるのは、プラスチック射出成形機に取り付けられた金型を交換する作業、いわゆる段取り替え作業です。
一般的に金型交換は床上クレーンなどを使用して行いますが、金型は重量物であるため作業には時間がかかり、重労働で危険も伴います。当然、この金型交換作業中には生産が止まりますが、現場が多忙なために、金型交換待ちで成形機を長時間止めたままにしておくことや、成形機への指示出しが遅れて、成形品を多く作り過ぎてしまうことがあります。
段取り替えには手間がかかる上、金型交換時に金型が成形機に精度良く取り付けられていないと、不良発生の原因にもなるため、一般的に工場では段取り替えをあまりせず、できる限り生産ロットを大きくしがちですが、これは近年の多品種少量生産の流れに相容れません。
このような成形工場の課題に対し、当社の開発した金型交換装置を導入していただくことにより、金型交換に必要な工数を半減し、段取り替え時間を短縮することで、生産量を向上することが可能になります。
- 会社名
- 株式会社 松井製作所
- 所在地
- 大阪市中央区
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