日々、スマートフォンで動画を視聴し、クラウドに写真を保存し、オンラインで買い物や仕事を行っている。近年では生成AIの普及により、文章作成や画像生成までもがネットワークを通じて瞬時に行われるようになった。便利な時代が到来した。
こうした便利なサービスの裏側には、膨大なデータを処理・保存し続ける巨大な基盤が存在する。それが「データセンター」である。データセンターは、クラウド、AI、ネットサービス、業務システムを動かす“見えない中枢”でもある。
データセンターとは、サーバやネットワーク機器を集約し、安全かつ安定的に運用するための専用施設である。いわばデジタル社会の「心臓部」ともいえる存在であり、ここが停止すれば、金融取引、通信、物流、行政サービスなど、社会のあらゆる機能が影響を受ける。にもかかわらず、その内部構造や技術については一般に知られる機会が少ない。前号のデータセンターを補完する形で、データセンターを支える主要技術とその進化について解説する。
1. データセンターの基本構造
データセンターの基本機能は、サーバにデータを保管し、必要なときに計算し、世界中の利用者へ安定して届けることである。データセンターの中心には「サーバ」がある。サーバはデータを処理し、ユーザーからの要求に応じて情報を返す役割を担う。
これを工場に例えるならば、サーバは製造装置である。大量のサーバは写真1に示すように「ラック」と呼ばれる棚に整然と収められ、施設内に並ぶ。

写真1 ラックサーバ(Supermicro)
次に重要なのが「ストレージ」である。これはデータを長期間保存する装置であり、工場における倉庫に相当する。さらに、これらをつなぐのが「ネットワーク」である。ネットワークは道路や輸送網の役割を果たし、データを高速かつ正確にやり取りする。
これら三つの要素が連携することで、クラウドサービスやインターネットが成立している(図1)。つまり、「クラウド」と呼んでいるものの実体は、世界中に分散配置されたデータセンター群なのである。

図1 データセンターの構成
2. 止まらないための電力供給技術
データセンターにおいて最も重要な要件の一つは「止まらないこと」である。数秒の停止でも大きな損失につながるため、電力供給には徹底した冗長化が施されている。
まず、例えば写真2に示す外部の電力網から複数系統で受電する。万一、一方が停止しても、もう一方から電力供給を継続できる仕組みである。さらに、停電が発生した場合には「無停電電源装置(UPS)」が瞬時に電力を供給する。UPSはバッテリーを内蔵しており、電源の瞬断すら許さないような仕組みとなっている。

写真2 洞道(10.1km)に設置された275kVの超高圧の電気を通す地下ケーブル1)
しかし、UPSは長時間の運転には向かないため、数秒以内にディーゼル発電機などの非常用発電設備が起動し、長時間の電力供給を担う。このように、外部電源、UPS、発電機という三層構造によって、極めて高い信頼性が確保されている。
さらに近年では、設備の一部が故障しても全体として機能を維持できる「N+1」(必要な台数Nに、予備を1台足す)や「2N」(必要台数分をもう1系統まるごと用意する)といった冗長設計が一般化している。これは同じ機能の装置を余分に配置することで、障害発生時の影響を最小化する考え方である。
3. 発熱との戦い
サーバは大量の電力を消費し、その大半を熱として放出する。この熱を適切に処理しなければ、機器の故障や性能低下を招く。高密度に熱を出す機械を、止めずに安全温度へ戻し続ける仕事は特に重要である。そのため、冷却技術はデータセンター運用の核心といえ、冷却技術が進化している。
まずは空調で部屋全体を適正温度に保ち、ラック内の空気の流れを整えるのが基本である。サーバは前面から冷気を取り込み、背面から熱を吐き出すので、冷気と排熱を混ぜない設計が基本になる。温度が上がると、サーバは性能を落としたり、部品の寿命が縮んだり、最悪は故障につながる。データセンターではホットスポットができやすく、局所的な過熱が特に危険である。
従来は「空冷」が主流であった。これは冷たい空気をサーバに送り込み、熱を帯びた空気を排出する方式である。ラックの前後で気流を分離する「ホットアイル/コールドアイル」設計により、効率的な冷却が実現されてきた。
しかし、近年のAIサーバは非常に高い発熱密度を持つ。GPUを多数搭載したサーバでは、1ラックあたり数十kWを超えることも珍しくない。このレベルになると、空冷だけでは限界がある。
AIサーバのように発熱が大きい機器では、空冷だけでは限界が見えてきている。そこで、CPUやGPUを直接冷やす直接液冷方式、液浸冷却などの液冷技術が注目されている。液体は空気よりも熱伝導効率が高いため、より効率的に熱を除去できる。 冷却液を直接チップに流す「直接液冷」やサーバ全体を液体に浸す「浸漬冷却」などの技術が実用化されつつある。
冷却は単なる設備の問題ではなく、電力効率にも直結する。データセンターでは「PUE(Power Usage Effectiveness)」という指標が用いられ、施設全体の電力効率を評価する。冷却の効率化は、このPUEの改善に大きく寄与する。
実際の運用では、冷やす力だけでなく、温度監視、故障時の冗長化、保守のしやすさまで含めて考える必要がある。つまり「発熱を抑える」のではなく、「発熱しても止まらないように逃がす」設計が本質となる。
- 会社名
- 特定非営利活動法人 日本環境技術推進機構
- 所在地

-
真空リフロー、N2リフロー、エアリフローのことなら、エイテックテクトロン(株)にお任せください。フラックスレス真空リフロー装置販売開始!エイテックテクトロン株式会社
-
独自の加工技術とノウハウで様々な材料にチャレンジ 〜色々なアイデアを生み出して研究者をサポート〜 ムソー工業株式会社 代表取締役 尾針 徹治 氏Gichoビジネスコミュニケーションズ株式会社
-
話題のGlass PKG実装技術の動向 〜先端電子部品への応用と 最新のCuダイレクトめっきGWCについて〜 Grand Joint Technology Ltd 大西 哲也(T. Onishi)Gichoビジネスコミュニケーションズ株式会社











