産業機械部品の加工および組立、産業機械の設計/製造/販売、それから減容機の設計/製造/販売などで事業を展開する株式会社 新和精機。今回は、最近主力になりつつある減容機関連の事業にスポットを当て、同社の概要とともに同事業の概要や主力製品について、代表取締役 岡本 日吉 氏にお話を伺った。
■御社を創業された経緯や概要などについてお聞かせください
岡本 : 当社の創業は1975年12月になります。私自身前職は、親族が経営する機械加工を行う会社に勤務しており、その当時は半導体関連が普及し始めた最初の頃で、今のようなマシニングセンタといったコンピュータを使った装置で加工するようなことは少なく、汎用機を使った加工が主流の頃でした。
そのような中で、私も汎用機を使用した半導体関連部品の加工や、ロボット関連のちょっと複雑な部品の加工、それから資材営業などを任されていました。その後、ある事情により会社を退職することにしたのですが、私の退職後、今まで複雑な部品の加工はほとんど私が行っていた関係で、そのような加工を行える人材がおらず、それを依頼していたいくつかの会社から何とかしてほしいと私に連絡が来ました。
私自身、特に独立を考えていたわけではありませんでしたが、部品の供給が止まった会社から2、3ヵ月仕事が滞っているというお話を伺い、何とかしなくてはいけないと考えました。そこで、元居た会社から価格を安くしたり同等で仕事を取るようなことはしたくなかったため、一割ほど高い価格で依頼してもらえないかと相談し、それを受け入れていただきました。
また、個人で加工機を調達することも難しい状況でしたが、以前お世話になった機械商社の協力もあって導入することができ、その他では材料や工具なども同じようにお世話になった各社が快く協力してくださいました。そのような形で当社を創業し、最初は個人の会社としてスタートを切っています。
創業当初は、半導体関連部品の加工をはじめ様々な部材/部品加工や、それからユニットを組んだり産業機械の受託開発なども行っていました。当時は半導体バブルの後押しもあり、徐々に会社としても成長を遂げていきました。
そのような中、好景気だった半導体バブルが弾けて世の中が一変し、当社にもその波が押し寄せてきました。特に価格競争が激化し、我々では太刀打ちできず、半導体関連部品の加工をストップせざるを得ないような状況になりました。そのため、正当な価格でビジネスを維持していける商材は何かと考えた時に、思いついたのは自社製品の開発でした。
また、会社として厳しい時期ではありましたが、従業員の雇用環境を確保する目的で、1991年1月に法人化しています。
そして、受託開発も進めながら、自社製品の開発にも着手していきました。色々な製品を開発して行く中で、ゴミなどの容量を減らしたりするための装置である減容機関連に注目し、環境負荷を少なくする取り組みから将来的に繋げていけそうだと感じたので、減容機をはじめとしたプレス機や破砕機などの開発に力を注いでいきました。
実はこの試みは、半導体バブルの頃にもチャレンジしており、最初に手掛けたのは缶の選別プレス機で、アルミ缶やスチール缶を対象に行政向けに提案を行いましたが、当時はそれほど必要性がないということでそれは採用されませんでした。そのため、他に必要性があるものはないかと考え、思いついたのが自動車のバンパーでした。当時は、廃棄するバンパーの処理にかなり費用が掛かっていたので、我々が廃棄バンパーを細かく破砕することで運搬しやすくし、処理していくことでコスト削減に取り組む提案を行いました。
これが、東京都の経営革新計画に採択され、事業として展開していきましたが、のちに中国でプラスチックの需要が急増しはじめ、こぞって廃棄バンパーを集め中国に販売するようなケースが増えてきたので、我々はその時点でこの事業から撤退しています。しかし、ここで培われた減容機のノウハウは、色々と活かせるものがあると思っていたので、半導体関連事業の代わりとして減容機関連の事業展開を進めていき、現在も機械部品の加工や受託開発ともに事業の要として展開しています。
■それでは、減容機関連の事業について、概要などお聞かせください
岡本 : 減容機関連は、半導体バブルで好調期だった頃から開発を始め、色々と動いていましたが、本格的に事業として展開したのは2001年頃になります。基本的には、展示会を通じたPR活動が我々の営業スタイルになっており、特に東京都の「産業交流展」には2001年以降毎年出展し、製品の紹介を行っています。
当社の減容機は、産業関連ではプリント基板の粉砕機やノートPCを丸ごと粉砕する装置、それからペットボトルの粉砕機など、目的に合わせた幅広い装置を提供しています。
最近では、高層ビルなどで使用されている換気用ダクトを圧縮する装置を開発しています。従来、交換時期になった高層ビルなどで使用されている換気用ダクトは、取り外した後にエレベータなどで降ろす作業が非常に大変なようで、これを回避するために屋上で圧縮することで運搬しやすくするための装置になります。
装置の開発については私が主導で進めており、基本的には応用力学的な考え方で行っています。元々私は、工業高校の土木科で基礎を学び、道路や橋、さらにはちょっとした建物などを建築し、それらの知識を基に社会に出てきました。今は機械屋ですが、土木関連で培った職人としての経験値や感といったノウハウは、機械/装置の開発にも有効になっています。
そうした中で、我々はお客様にもしっかりと理解していただけるように、1つ1つの課題を明確にし、それをクリアしていく形で製品開発を進めています。最近、ようやくそういった我々の技術面での良さが認めていただけるようになり、徐々に広がりを見せるようになってきました。
また、昨年施行された「プラスチック資源循環促進法」により、当社への問い合わせが増えてきている状況で、事業としてもようやく軌道に乗ってきたと感じています。
- 会社名
- 株式会社 新和精機
- 所在地
- 東京都西多摩郡瑞穂町
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