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スペシャルインタビュー
2023.03.15
高い防水性と高画質の伝送を実現する水中TVロボット
〜様々なニーズや使用する環境に応じたカスタマイズに対応〜
株式会社 キュー・アイ
取締役 営業部長 中島 健夫 氏

水中TVカメラに付加価値を付けた水中TVロボットで、ビジネスを展開する株式会社キュー・アイ。今回は同社の概要と事業内容、さらに事業を支える主力製品などについて、取締役 営業部長 中島 健夫 氏にお話を伺った。

 

■御社の沿革や概要などについてお聞かせください

 

中島 : 当社は、元々映像関連の会社でエンジニアだった創業者4名がそれぞれ独立し、産業関連の水中カメラを商材にした会社として、1971年7月に東京都品川区で設立しています。

設立当初は、大手電機メーカーの下請けとして映像関連のユニットをつくったり、簡易的な監視カメラやその当時はカメラも撮像管だったのでそういったカメラのキットをつくったりする中で、自社製品の開発なども行っていました。当時は、映像もテレビで観るような感じで、街中などでもそれほど目にするようなことはなく、動画などを撮る機会や監視カメラなども今ほど普及していなかったので、それを考えるとある意味先駆け的なことをやっていたように思います。

そして、1973年には初めての自社製品となる白黒水中TVカメラを開発するとともに、翌年の1974年にはカラーの水中TVカメラ装置を開発し、販売を開始しています。また、1977年には国立研究開発法人海洋研究開発機構(以下、JAMSTEC)と共同で1万m級深海高速度TVカメラの開発や、井戸などの地下構造を調査する白黒ボアホールカメラも自社で開発しています。

さらに、1981年には同じくJAMSTECと共同で自航式水中TVロボット(ROV)を開発しています。この時期から、ただカメラで撮影するだけでなく、付加価値を付けたシステム化を図っていき、当社では水中TVカメラから水中TVロボットという表現に変っています。それにより、当社の強みとなる水中カメラの防水性と、映像の伝送に関する技術を活かしたビジネスを展開していきました。

1982年には、新たな拠点として横浜市金沢区に横浜工場を新設しています。また、カラーボアホールカメラを開発しています。

そして、1983年には原子力発電所で使用される白黒耐放射線水中TVロボット、200m級水中TVロボット、下水管を調査/点検する管内検査用カラーTVカメラ装置などを開発し、製品ラインアップも徐々に増えていきました。基本的に管内検査用TVカメラは、ある程度検査方法なども決まっているので形状や大きさも決められますが、水中TVロボットは使用する場所や環境により形状や大きさなどが異なるためほとんどが特注品となり、それをベースにお客様の要望でつくり変えていくスタイルを現在も続けています。

1984年には海外企業と代理店契約を結び、海外製の水中TVカメラなどを販売しながら、海外製品をベースに耐放射線カラー水中TVロボットを開発しています。また、1988年にはこれまで牽引式だった管内検査用TVカメラから自走式のものを開発し、1989年には水深500m水中TVロボットも開発しています。

そして、1998年にはシミュレーション装置で新規分野への参入を行っています。

拠点についても、1992年に本社を横浜市西区に移転し、横浜工場を増築するとともに名称をテクニカルセンターに改称しています。1999年には本社をテクニカルセンターのある横浜市金沢区に移転し、統合しています。

そして、2004年には従来のTVカメラシステムではなく、下水道の更生工事の穿孔作業を行う下水道管内穿孔ロボットシステムを開発しています。このように、TVカメラを搭載したロボットシステムだけでなく、それ以外のロボットシステムにも取り組んできました。

その後も、今まで培ってきた技術やノウハウを活かしながら、色々な製品を開発するとともに、様々な特許も取得していきました。

そして現在は、管内/水中/原子力/井戸/その他として井戸や水と関らない環境といった分野でも事業を展開しています。

 

■それでは、現在展開されている事業の概要などについてお聞かせください

 

中島 : 現在、当社の事業で中心となっているのが、下水管の調査/点検/撮影を行う管内検査カメラで、当社のシェア50%以上になっていると思います。インフラ整備には欠かせない重要な役割を担っています。

基本的に下水管は、都心では昔から整備されていますし、地方でもどんどん整備が進んでおり、相当な量や長さがあります。その中で、古いものではかなり傷んでいる個所もあり、そのままにしておくとニュースになるような道路の陥没事故に繋がる恐れもあります。そのため、定期的に点検を行い、傷んでいる個所があれば補修を行います。

今では、カメラの使用が欠かせないようになっており、事前の調査で使用されますが、工事の段階でもカメラを入れて状況を確認していき、工事が終わった後の最終確認でも使用されます。

そのような中で、当社の管内検査カメラが活躍しており、また合わせて下水道管内穿孔ロボットシステムが工事の手助けを行っています。

次に水中TVロボットについては、当社の設立当初から展開している事業でコア技術にもなっており、以前は事業の中心になっていました。しかし、海洋関係はなかなか予算が付きにくいこともあり、浮き沈みのある分野でもあります。

さらに最近では、空中から撮影するドローンが注目されるようになっていますが、水中でも“ドローン”という表現をつけないと見向きもされないようになりました。そのため、基本的には水中TVロボットではありますが、“水中ドローン”という表現をつけることで、引き合いも増えてきている状況です。

そして原子力については、メインで使用されるのが耐放射線用の水中TVロボットになります。基本的に特注品がほとんどですが、光ケーブルを使って長距離伝送を実現し、なおかつ高画質で撮影できるのが特徴になっています。

福島の原発事故が発生した時も、多くの企業がロボットを提供しましたが、その中に当社の製品も含まれています。また、国内の発電所で実施される定期点検の時にも、当社の製品が使われています。基本的に、カメラに耐放射性をもたせるのは非常に難しく、今までは壊れたら交換するような状況でした。当社では、独自の技術とノウハウで耐放射性をもたせた製品を開発し提供しています。

最後にその他の分野になりますが、その中でも井戸など地下構造物の調査に使用される製品に力を入れています。例えば井戸では、地下水が何個所からか入ってくるのですが、そこが詰まったりするため定期的に洗浄したりします。その調査に、当社の井戸/ボアホールカメラが活躍しています。

基本的に、すべての事業においてベースとなる技術は、水中TVロボットであり、この技術を応用していくことで、この大きく分けた4つの分野での事業が成り立っている状況です。

会社名
株式会社 キュー・アイ
所在地
横浜市金沢区