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スペシャルインタビュー
2023.02.15
全固体電池評価試験の新たな取り組みとして試作サービスを開始
〜研究開発用途に対応する全固体電池を試作〜
株式会社 ケミトックス
代表取締役 最高経営責任者 中山 紘一 氏

■御社を設立された経緯などについてお聞かせください

 

中山 : 元々私の父は、プラスチックの射出成形を行う会社を経営しており、主に大手家電メーカーのブラウン管テレビに使用される高圧部品などをつくっていました。従業員は多い時で350名ほどおり、工場も東京、川崎、群馬、秋田、山形、海外はマレーシア、中国の大連に設置し、かなり手広く事業を行っていました。

そのような環境の中で育った私は、父の仕事を間近で見ていて、「なるほど、男というのはいつか会社をやらなくては」と感じていました。

ただ私は、あまり営業などには向いていないと思っており、どちらかというと技術系が好きで興味をもっていたので、将来は研究者を目指そうと思い、上智大学の理工学部に入学しました。そして、そのまま大学院に進み、ずっと研究を行っていました。最近では、理工学部に入学するとほとんどの方が大学院に進まれますが、当時は、大学院進学者は比較的少ないうえ、私が入学した時が理工学部の第1期生だったので、必然的に大学院も第1期生になりました。

大学院を卒業後は化学系のメーカーに就職し、こちらでも研究に携わる仕事に就きましたので、学生時代の延長のような日々を送っていました。

そのような状況の中、ある日私の母が交通事故でこの世を去りました。私自身、あまりにも突然のことですぐには受け止められず、茫然としている時期が続き、そんな折、偶然にも会社でニューヨーク駐在員を募集していることを知り、気持ちを切り替える目的でいち早く応募し、親元を離れニューヨークに渡ることになりました。

当時、多くの日本の企業は、主要都市に駐在員を派遣しており、主に情報収集を行っていました。私も、ニューヨークにある大学の先生や、コンサルタントなどに依頼し、情報収集を行いました。当時はスマートフォンなどありませんので、テレックスを利用して日本の本社に情報を送っていました。私自身、会社をつくるにはかなりのお金が必要だろうと考えていましたが、駐在員の仕事をしているうちに、このようなコンサルタントを見て、これなら机1つと事務作業に必要な機器一式さえあれば会社を立ち上げられるのではと思い、これが起業の大きなヒントになりました。

その後日本に戻り、私の専門だった化学と技術、それからニューヨーク滞在で身につけた英語を活かしたコンサルタント的なビジネスで何とかやっていけるかなと考え、独立した次第です。

 

■御社の事業展開などについてお聞かせください

 

中山 : 当社は1975年9月に設立し、お客様のお悩み相談コンサルティングを生業としていました。最初の1〜2年は鳴かず飛ばずの状態で、今までの貯えで補う他にアルバイトなども行っていました。

そのような中、お客様からアメリカの安全規格であるULの取得について相談を受けました。担当の方が技術の方で英語がそれほど得意ではなく、私は英語も技術も得意だったのでUL申請のお手伝いをすることになり、それがきっかけでUL申請の代行業務をスタートさせました。この業務は、順調に広がりを見せていき、当社も少しずつ軌道に乗り始め、その業務範囲もかなり拡充されました。

しかし、日本からのUL申請が増えていく状況にUL側も動きを見せ始め、より良いサービスを提供するために、日本国内に支社となる株式会社UL Japanを設立しました。これにより、我々もUL申請の代行業務以外に事業の柱となるものを求め、色々と模索しました。

東日本大震災を機に世間では太陽電池に感心がもたれるようになり、私も太陽電池について色々調べてみると、ガラスと封止材など素材の組み合わせでつくられていることが分かりました。これなら、我々の得意な化学分野から入っていけるのではと考えました。

そんな中、太陽光パネルから発火する事故などが発生し、ULの安全規格でも本格的に太陽電池の安全性に関する規格をつくり始め、さらに国際規格であるIECでも太陽電池の国際規格を発行しました。この動きに合わせ、我々も太陽電池の安全性評価に特化した事業をスタートさせ、日本でも唯一といえる大規模な火災試験装置なども開発し、太陽電池の評価については一連の設備が整っている機関として認知されるようになりました。

東日本大震災で、福島で発生した原発事故の後、世間では再生可能エネルギーが注目されるようになり、日本でも太陽電池の生産を本格的に始め、その流れに併せ当社でも火災試験だけでなく、太陽電池の性能評価試験などフルサービスで対応できる体制を構築しました。しかし、次第に価格競争の波が押し寄せて低コストで生産される中国製の製品が市場に出回るようになり、徐々に国内生産を行っていたメーカーは撤退していきました。

それに伴い、我々と同じように評価試験をおこなっていた企業や試験機関も撤退するようになりました。ただ我々は、かなりの設備投資を行いましたので、この事業を継続することを決め、それにより第三者の試験機関としては最終的に我々ぐらいしか存在しなくなっていました。その後も設備を更新しながら評価試験の幅を広げていきました。

このような状況が私たちに味方してくれたのかもしれません。太陽電池は中国製が主流になりましたが、その製品を購入する日本の建設メーカーやシステム企業から信頼性を確認するため購入前に評価したいとか、組み立て前や敷設後3〜5年経った後に不具合が出た時点でもう一度評価したいなど、直接中国から問い合わせをいただくだけでなく、日本のシステム企業からも問い合わせが増えていきました。

最近では、カーボンニュートラル/SDGsといった観点からも太陽光発電が色々と見直され、ペロブスカイト太陽電池といった新しいタイプの太陽電池も世の中に出てきていますが、それらを含めて当社への問い合わせが増えています。そのため、この分野の売り上げが今では会社全体の3〜4割を占めているような状況で、当社の重要な事業に位置付けられています。

また、最近は電気を発電するだけでなく貯める時代になってきたことから、バッテリーの事業にも力を入れていかなくてはいけないと感じるようになりました。すでに日本の試験機関などでは、リチウムイオン電池の評価試験を行っていましたが、我々も1年程前から本格的にこの分野に力を入れ始め、サービスを展開しています。

リチウムイオン電池では後塵を拝することになりましたので、さらに何か先端的なことを先陣を切ってやろうと考えた末、開始した業務が全固体電池に特化したサービスで、これは昨年12月からスタートしました。実際には、その少し前から研究開発を進めていましたが、本格的にこの分野に進出を決めてからは様々な取り組みを進めています。

現状では、リチウムイオン電池と全固体電池の2つの分野の評価試験が、新しい大きな事業の柱になっている状況です。その中でも、我々の技術力を前面に打ち出していく1つの取り組みが、全固体電池の試作サービスになります。

会社名
株式会社 ケミトックス
所在地
東京都大田区