はじめに
電子通信情報の機器はICT、IT化の流れのなかで、社会的インフラストラクチャから個人に至るまで、広く浸透、その性能は日々に進歩している。ICT、ITを高度なものとしているのも、これを支える、ハードである電子通信情報機器 (以下、電子機器とする)の高度化のたまものである。
電子機器はLSIを中心に数多くの電子部品が接続されて、作られている。これらの部品類はLSIを中心に高度化したものとなり、その部品類を搭載し、接続するのがプリント配線板である。電子機器でプリント配線板を使用していない機器は皆無であり、電子機器の高度化の流れを支えるものの一つとして、プリント配線板の高度化がある。本稿では最近のプリント配線板技術の状況を考えたい。
プリント配線板というもの
プリント配線板を構成する材料は導体と絶縁体よりなる単純な板である。しかし、この板は、硬質なもの、フレキシブルなものがあり、機器により使い分けられている。電気的には超高速の信号伝搬のために、高度の特殊な絶縁材料を要求する。電子部品の小型、高集積化で高精度の高密度微細配線を求められ、鉛フリー化で、はんだ付けが高温になり、また、ハイパワー素子のために耐熱性、放熱性が必要となる。これらの要求特性は材料の選択、プロセスの構築の上で矛盾するところもあり、すべてを実現することは大変困難なことであるが、多くの技術者の知恵により、特性を満足するものが次第に実現している。
高密度化の傾向1)
ソフト運営イメージ
プリント配線板は搭載する部品の影響は大きいが、特にLSIの変化の影響は大きい。表1はITRS2010版(2011版は未発表)による半導体チップのロードマップとそれによるプリント配線板の変化を要約したものである。プリント配線板へのクロック周波数を2016年で46.1GHzを想定している。チップ上のトランジスタの搭載数は飛躍的に大きくなり、チップよりのI/Oピンは増加するが、チップの大きさはほとんど変化しない。このため、I/Oピンの密度は大きくなり、微細配線が要求されることになる。
これらのことはプリント配線板であるパッケージ及ぶマザーボードの配線ルールに影響する。表1に示したように、すべての点で微細化が進行している。搭載ゲート数とI/Oピンとの関係として表2のようなRENTの経験則があり、集積度が増加している中ではI/Oピンは増加の傾向にある。
ビア径、ビアランド径はより小さくなることが望まれ、表3のごときものが考えられる。
最近のパワー系のプリント配線板では高電圧、大電流のモジュールとする事が望まれ、そのプリント配線板についても特別な考慮が必要であり、さらに、このパワー系プリント配線板に高速の制御系が組み込まれた微細配線のプリント配線板の必要性も大きくなっている。
表1 ITRSのロードマップに見る半導体とプリント配線板の動向(2010)
表2 RENTの経験則
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