はじめに
JTAGバウンダリスキャンテストはソフトウエアによってJTAGデバイスの信号線をプローブとして操作・観測するため、ソフトウエア技術によって最大限に活かされるが、そのツールは難しくて高価であると、近年まで敬遠されてきたふしがある。
しかしながら、高度なソフトウエア技術でJTAGバウンダリスキャンツールに革新をもたらした、XJTAGのテストプログラムは、再利用性に富み、容易に設定できる。またツールのコスト効率も高く、設計・シミュレーション・解析・デバッグ・テストに一貫して活用されて相乗効果を得るという新たなパラダイムを生んでいる。
『設計開発者は量産テストを開発することで設計工数も削減できる』
『ターゲットで動作するソフトウエアがない状態で検証が行えるので、試作基板が動作しない時にハードかソフトのどちらの問題か?といった議論が回避できる』
『設計側と生産技術部・品質管理部とのコミュニケーションが共通ツールで改善されるので不良解析を効率化できる』
図1 プローブ検査ではBGA接続などを電気的に検査・不良解析できない
2000年当初に相次いで展開され始めたBGA(Ball Grid Array)やCSP(Chip Scale Package)は、瞬く間に先進的な製品の主要デバイスに採用されるようになった。そして従来式のテスト手法であるプローブ治具(ネイルベッド治具)やフライングプローブでは、それらデバイス配下のはんだ接続へ物理的にアクセスができないため(図1)、電気的に評価できる唯一のテスト手法としてJTAGバウンダリスキャンテストの採用が加速されている。
JTAGバウンダリスキャンテスト手法は、プローブを物理的にスキャンさせることに比較してソフトウエアの比重が高く、テストの開発工数や設備費用を軽減できる。従来からある高価なATEハードウエアだけでは、設計とテストの両エンジニアリングはそれぞれの担当者で実施され、また物が大きいがゆえに物理的にも分離されてしまうが、JTAGバウンダリスキャンテストなら、物理的にも費用的にもコンパクトで風通しの良い環境を組織・チーム内で構成できる。設計やテストの専門家を個々に擁するのではなく、同じエンジニアが設計とテストの両側面に取り組むことで得られる顕著な効果は次の通り。
1)テスト容易設計の確保(DFT:Design for Test)
2)デバッグ効率の改善
3)基板改版サイクルの削減
4)テストカバレッジの向上
5)不良解析の効率化
設計とテストの同時進行
XJTAG社の高度なソフトウエア技術によってバウンダリスキャンテストツールの容易性や再利用性に革新が起こる以前は、一般に設計側でテスト容易性を意図されることは多くなく、カバレッジ向上を目指した設計の最適化はされてこなかった。そしてテスト担当者は設計済みの基板に対してテストを考慮しなければならない。
設計とテストの双方に恩恵をもたらして、プロジェクトの早期段階から協調開発を後押しするツールスイートのパイオニアとして、XJTAGは今後の標準となる手法の普及を促進している(図2)。
図2 設計とテストの同時進行
テストプログラム開発の自動化支援と解析
1.テストライブラリの再利用とネットリスト解析機能
XJTAGの中核となるXJEaseは、JTAGバウンダリスキャンテストの専用プログラミング言語である。構文は他の高級プログラミング言語と同様のループ構造や、構文・データタイプチェックなどをもち、容易に習熟することができる。加えてJTAGテストに特化した機能として、無制限幅でビットフィールドを扱うことや、バウンダリスキャン命令を実行することができる。
図3 テストライブラリはあらゆる設計で容易に再利用できる
これまでのATEテストシステムはテストベクタと単純なパス/フェイル判定をベースにしている。そこで使用される1、0からなるテストベクタは抽象度がきわめて低い。マイクロプロセッサの高級プログラミング言語に比較したアセンブラコードと同様に、何らかの変更があるとメンテナンスに多大なオーバヘッドがかかり、エラーが生じやすい。それゆえ、ある製品向けに作られたテストモジュールを次の製品へ再利用することは、たとえ多くの共通デバイスが採用されたとしても容易でない。
これに対して、XJTAGが世に先駆けて送り出した『デバイスセントリック』なテストなら、デバイスごとに実装されたテストモジュールは、ネットリスト解析機能から得られる情報を外部参照して、あらゆる設計で容易に再利用できる。これにはオブジェクト指向プログラミングや、革新的なソフトウエア技術であるドメイン・スペシフィック言語が活用されている(図3、図4)。
図4 JTAG チェイン設定も自動化支援される
- 会社名
- XJTAG社 / 富士設備工業(株)
- 所在地
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