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2014.05.21
『竹林整備隊』とは?
ちょっと途中下車 203駅目

 『松竹梅』の話題の続きである。今回は、松の次の『竹』について紹介しよう。
『竹』といえば、『物干し竿』と『竹馬』を思い出す。いずれも長い竹を利用したものである。今や、物干し竿はプラスチックやアルミなどに変わり、『竹』の出番がなくっている。
 また、正月の子供の遊びといえば、コマと竹馬ではなかったかと思う。竹馬を各自で作って楽しんでいた。竹林に入って適当な1本の竹を伐って、節目が合う別の竹を探し出すのがコツである。節目の一致する竹を見つけるのがなかなか難しく、見つけるのに1日かかる場合もある。やっとほぼ節目の合う2本の竹が揃えば、節目に足を止めるものをつけて完成である。後は竹馬を乗れるように訓練するだけである。最初は下にある低い節目から足止めを置いて練習し、歩くのに慣れていくのにしたがって徐々に節目の位置を上の方に変えていけば、高い位置に足止めを配置して歩くことができるようになる。
 さらに、無毛のマダケの竹の皮はきれいであるため、おにぎりや肉の包装としても用いられていた。そのような使い方されていた竹の皮も、いつの間にか姿を消してプラスチックに変わってしまった。
さて、『竹』は世界には1,100種類以上の竹類があるという。『竹』の寿命は、太いものほど長く、約20年であり、竹には形成層がないため樹木のように毎年太くなることはない。
 『竹』は、常緑性の多年生植物であり、毎年地下茎の節にある芽子から新しい竹を発生させ、わずか数ヶ月で立派な竹として生長するという特徴がある。記録によると1日にマダケで121cm、モウソウチクで119cm伸びたという。
3?4年になった地下茎が最もたけのこを産み、5年を過ぎると減少し、豊作と凶作がほぼ隔年にあらわれ、たけのこの収穫に差が生じる。
竹の歴史を振り返ってみると、竹は腐りやすく、そのため弥生式時代の登呂遺跡からはモジリ編みの竹籠が、わずかに発見されているに過ぎないという。また中国大陸から僧侶を中心とした文化交流が盛んになったことで、飛鳥・奈良時代には竹の利用も大きく進歩したらしい。そして室町後期には茶文化が広まり、茶道の中で竹工芸が進展し、竹林の造成が本格的になった。
日本の竹の代表としては、マダケ(真竹、苦竹)、ハチク(淡竹、呉竹)、モウソウチク(孟宗竹)の3種類があり、以下のような特徴がある。
(a)マダケ
直径15cm、高さ24mになる大型種で、化石などより日本原産説が正しいとされている。節には環が2つあり、節間が長く、材質部は薄く、表皮部が緻密で弾力性に富み、伝統的工芸品として指定されている扇子・団扇、弓、竹千筋細工をはじめ、提灯、編組籠、傘から建築材(垂木・窓格子・棚吊りなど)や弓道の弓に使用されている。
(b)ハチク
直径3?10cm、高さ15mほどの大型種で、耐寒性があるため、比較的寒い地域にも生育している。ハチクは日本原産と中国原産の2説がある。しかし、750年(勝宝3年)頃にはすでに日本にあったようで、別名である呉竹(くれたけ)は呉から渡来した竹に由来する。 枝が細かく分枝するため竹ぼうきに、また細く割りやすいために茶筅(ちゃせん)や簾(す)にも利用された。
(c)モウソウチク
モウソウチクは直径25cm、高さ25mになる大型種で、日本で最大の竹となる。江戸時代の1736年(天文元年)に第21代薩摩藩主・島津吉貴が、中国南部原産のものを琉球経由で2株、磯別邸(現在の鹿児島市磯庭園)に移植させたのが始まりとされている。
 モウソウチクは材質が分厚く、節間は比較的短く、弾力性に欠けるため、細工用としてはマダケ、ハチクに劣り、建築や農漁業用資材に利用されている。また、たけのこは春一番に発生し、春の味覚の王者といわれている。
竹材は、すべての組織が軸方向に平行に並んでいるため、繊維方向に強度があり、特に表皮に近いほど繊維の密度が高く、しなやかで折れにくい性質を持っている。
竹は、たけのこが食材として食卓に並ぶ以外にもいろいろな材料としても用いられていた。しかしながら社会的な変化に伴って、以下のような理由で『竹』の使用が減少するようになってきた。
①生活様式が欧風化し、竹製品の利用が減少したこと
②化学工業の発展に伴って、プラスチック製品などが竹製品の代替品として出現したこと
③建築様式が変化し、土壁が減り、竹材の需要が減少したこと
④たけのこや竹製品が安価で大量に輸入されたこと(たけのこの日本での生産量のピークは1955年)
⑤農業と同様に竹生産者の高齢化が進み、後継者不足になったこと
⑥このため、竹生産者が栽培意欲を失ったこと
結果的には荒廃したまま放置された竹林があらゆる地域で見られるようになるなど、憂うべき状態である。
 竹林は、他の杉や檜の里山を比べ、密度管理が重要だといわれている。竹林の密度は、傘をさして当たらない程度の空間があればよい、ともいわれる。また、古い竹や倒れかけた竹、枯れている竹などを除去することが必要であるという。
現在、荒廃したままの竹林を整備して自然環境の再生を図ろうとして活動している『竹林整備隊』(http://www.pref.mie.lg.jp/UMASHI/HP/chiiki/taki.htm#chikurin)が、三重県多気郡多気町で活動している。
 国内に管理不足の竹林が多く見られるようになった。このような『竹林整備隊』を各地で発足させて、竹林を整備してもらいたいものである。竹は生長も早く、バイオマス資源であり、その利活用の推進は、低炭素社会の実現に貢献するばかりでなく、竹林の適正な管理にもつながるので、ぜひ活発な活動へと発展を祈願したい。  

 

 

 

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