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テクニカルレポート
2026.05.26
試作から量産移行を支えるプリント配線板製造技術
-多品種・小ロット・変量生産を成立させる工程設計と品質作り込み-
(株)キョウデン

④信頼性を支える中核技術

層間接続信頼性を確保するためには、ビア形成からめっき工程に至る一連の工程を連続したプロセスとして管理することが不可欠である。

ビア形成工程においては、穴径や位置精度の確保に加え、後工程での処理まで見据えた品質確保が求められる。ビア内部の状態は、後続する処理や品質に大きく影響するため、初期工程からの一貫した管理が重要となる。

デスミア工程では、ビア内壁や底部に残存する樹脂残渣を適切に除去することが主な目的だが、その処理条件は、後続する無電解銅皮膜の形成性に直結する。処理不足は導通不良の原因となり、過剰処理は密着性の低下を招くため、適正条件を安定的に維持することが欠かせない。

無電解銅工程では、導通の初期形成を担う均一な皮膜生成が求められる。続く電解銅工程では、必要な銅厚の確保に加え、ビア内部やコーナー部における被覆性、膜厚の均一性、密着性の管理が重要となる。特に微細配線や高密度構造では、これらの品質要素が製品の信頼性に直結する。

さらに、高電流の用途や高い熱負荷への対応が求められる場合には、銅厚や構造設計が電気特性や放熱特性に大きく影響する。そのため、材料構成、層構成、加工条件までを含めた全体最適の視点が必要となる。

キョウデンでは、これらの工程を個別最適で管理するのではなく、相互に連関する工程連鎖として捉え、試作段階から断面評価や不具合解析を通じて条件の最適化を進めている。これにより、多品種環境下においても安定した層間の接続信頼性の確保を実現している。

 

⑤試作から量産移行を支える生産ラインコンセプト

多品種・小ロット・変量生産においては、単一工程の最適化だけでは十分ではなく、生産ライン全体をどのような思想で設計・運用するかが極めて重要となる。

一般的な量産前提の生産ラインでは、一定条件下での効率最大化が重視される。一方、多品種・変量生産では、案件ごとに異なる仕様や条件を吸収しながら安定稼働を維持する柔軟性が求められる。そのため、ライン設計においては、工程間の連携、条件切替の迅速性、検査工程との連動性といった要素が重要となる。

キョウデンの生産ラインコンセプトは、試作における短納期対応力と量産における安定した再現性の両立にある。すなわち、試作段階で構築した工程条件や品質情報を、量産段階でも再現可能な形で管理し、試作ではスピード重視で顧客要求に応え、量産ではコスト競争力と品質安定性を確保しながらスムーズな移行を実現することを目指している。

具体的には、工程条件、検査結果、材料情報などの履歴を相互に紐付けて管理し、異常発生時には原因特定と再発防止が可能な体制を整備している。また、試作段階で得られた知見や情報を蓄積し、類似案件にも展開することで、初回流動段階からの品質安定化を図っている。

こうした生産ラインの運用により、キョウデンでは年間10,000品種への対応、最短1.5日での試作対応、量産移行時における高い再現性など、多品種・変量生産に適した運用基盤を確立している。さらに、国内3工場、海外1工場、EMS2工場からなる体制により、設計・基板製造・実装・完成品製造までを一貫して担う、完全内製型のワンストップソリューションを構築している。

これらの取り組みにより、キョウデンは多品種・変量生産の環境下においても高い対応力を維持している。短納期試作から量産移行までの一貫した製造体制により、試作と量産の間に生じがちな品質ギャップや立上げリスクの低減を実現している。

 

⑥おわりに

今後のプリント配線板製造においては、微細化・高密度化への対応に加え、多品種・小ロット・短納期・高信頼といった要求を同時に成立させることがこれまで以上に重要となる。その実現には、各工程の個別最適にとどまらず、工程全体の整合性と高い再現性を確保する生産体制が不可欠である。

キョウデンは、工程設計力、品質作り込み、試作から量産移行までを円滑につなぐ橋渡し力、そしてそれらを支える生産ラインコンセプトを通じて、こうした高度な要求に応えている。すなわち、これからのプリント配線板製造における競争力とは、変動する顧客要求や市場環境を確実に吸収しながら、品質と納期を高い次元で実現させる総合技術力にほかならない。その重要性は今後ますます高まっていくものと考えられる。

会社名
(株)キョウデン
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