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テクニカルレポート
2024.09.04
実装技術初心者のための『パスポート』 〜知のインプット/アウトプットのこつ〜
第26回 情報収集のための海外調査
特定非営利活動法人 日本環境技術推進機構 横浜支部
青木 正光

⑦事前登録を・・・

海外調査するにあたり、企業訪問のみならず学会や展示会に参加して取材するのも多くの情報を得ることができる。

企業に打合せ訪問をする時に、できれば学会や展示会が開催されているかを確認することをお勧めする。開催されている期間であれば事前に登録して参加すれば効率良く情報を入手することができる。

最近は、ネット経由で簡単に事前登録ができる時代となってきたので問題ないと思う。例えばプリント配線板関係の海外の展示会であれば、米国(IPC APEX Expo)、欧州(Productronica)、韓国(KPCA Show)、台湾(TPCA Show)、中国(CPCA Show)、香港(HKPCA Show)、タイ(THPCA Show)などで開催されており、取材するには良い場所である。

レセプションが開催されれば人脈構築には最適な場所であるので積極的に参加することをお勧めする。

 

⑧面識者名簿の持参

展示会や学会などで面識となった外人の名簿を小さな小型手帳(写真4)に連絡先を書いて、海外出張の折に持参していた。

写真4 小型住所録

 

訪問先でなくても、ホテルにチェックインしてくつろげたら「今、米国に来ているので挨拶の電話をした…」と言って小型手帳から電話番号を拾って片っ端から面識者に電話していた。色々情報交換ができて、それなりに米国の業界動向を知ることができた。当時、2週間の海外出張で、電話代だけでも1〜2万円も使っていた。情報は面白い程、集まり、出張報告書の最後のページには、得た最新の業界動向を過剰書きにして報告していた。この小型手帳と当時、流行し始めたボイス機能付き電話(ボイスフォンとも言われた)(写真5)のお陰で、不在でも双方で連絡がついて夜、一緒に会食もできる機会にも恵まれ、情報交換ができた。

写真5 ボイスフォン

 

小型の名簿もその後、ニューヨークの百貨店で見つけたコンパクトながら収容数の多いアドレス帳を見つけてその手帳に連絡先を書いて、出張時の必需品の一つとなった。

その後、検索して氏名がヒットするようにしたいためにミニノートパソコン(東芝 Libretto)(写真6)にPDICW(Personal Dictionary for Windows)のソフトをインストールして検索ができるようにした。

写真6 ミニノートパソコン(東芝 Libretto)

 

⑨海外でのトラブル対処

海外調査でトラブルに遭遇した時に対応が必要となってくる。利用する航空機の遅延は日常茶飯事で、何度か体験し、最終便でなんとか目的地に行けたもののホテルには深夜を過ぎて到着となったこともある。

酷い例では、地上職員が連絡しなかったために着陸すべきコミューターの航空機が通過して搭乗ができなかった例も経験している。この時は、当方のミスはないので航空会社に交渉して航空会社もちで目的地の空港までタクシーで行くことができた。

別の例では筆者のミスで、目的地に行かなくて途中の空港で降りて慌てたことも経験している。この時は、後続便で空港に降りる乗客がいたためコミュータ—便は着陸し、幸運なことに後続便に搭乗して本来の目的地に行けた。フライトアテンダントが到着したので降りて下さいと言われたので降りたまでであるということで交渉して新たに切符を購入することなく目的地に行けた。

航空会社の原因による遅延などはおとなしくしないで航空会社のカウンターで交渉することである。交渉したことによってミールクーポンを貰ったり、あるいはシートをアップグレードして貰ったりしたことが何度かある。

到着した空港で預けた荷物を受理できなかったことも3回体験している。帰国の場合には、自宅に荷物を送って頂けたので問題はなかったものの出張途中であると困ることが発生する。ハンガリーからドイツ経由でフィンランドに出張した時は、荷物が出てこなく、着るものに困ったことがあった。この場合はLost&Found(遺失物取扱所)(写真7)のデスクに行ってしかるべき処置を依頼することになる。そして数日後にヘルシンキのホテルに届けられた。

写真7 紛失物取扱所

 

デンマークのコペンハーゲン空港からドイツのデュセルドルフに行った時は、預けた荷物が全て未着ということも体験した。空港の荷物受け取り場所で全員が待っているもののなかなか荷物が出てこなく、分かったのはコペンハーゲン空港で預けた荷物を飛行機に乗せなかったという空港職員のミスだったことが判明。

また、コペンハーゲン空港で機内に預けた荷物が、ドイツのフランクフルト空港で日本行きの便に移送する間に鞄が鋭利な刃物で割かれ、お土産類がごっそり盗まれたこともあった。航空職員が窃盗することを知って驚いた。この時は、航空会社から証明書を受領してクレジットカードに付帯している盗難保険で一部、カバーすることができた。

このようなトラブルに遭遇した場合には、デスクに行って手荷物事故報告書に自分の荷物の特徴や内容物、滞在先の住所、電話番号などを記入して届けることが必要である。

このようなトラブルを体験して以来、荷物はなるだけ軽量にし、預けない方式で出張するようになった。

なお、パスポートを紛失しないように肌身離さず持っていることである。筆者は、パスパートは予備のクレジットカードとともにウエストポーチ(腹巻)に入れて紛失しないように注意をしている。

 

⑩マイレージの活用

今やマイレージの活用は当たり前になってきているが、筆者が海外調査を実施するようになった頃は米国系の航空会社しか実施していなかった。それでは航空会社が発行するマイレージについて紹介しよう。

 

10-1.航空会社のマイレージ

10-1. 航空会社のマイレージ

初期の頃は海外出張は米国が主体で、入社10年後に初めて海外出張で調査を経験し、それ以降は年に1回程度の頻度で米国を訪問して企業と打ち合せをしたり、同業を見学したり、また、学会/展示会に参加したりしていた。学会や展示会に参加した時は貴重な情報を入手することができた。

米国出張し始めて暫くすると米国の航空会社からカードの入会を勧められ、当時はてっきりクレジット併用のカード程度しか知識がなかったが、航空会社が無料で発行するマイレージカードであった。

そして航空会社を利用するたびにマイルが溜まっていく仕組みのマイレージカードで、ある一定のマイルに達すると無料の航空券が貰えることが分かった。米国を1度、往復すれば結構、溜まり、西海岸から東海岸まで行くような出張であれば、米国の国内だけでも国土が広いために結構なマイル数が溜まる。当時、日本の航空会社はマイレージ制度は導入されていなかった。今は当たり前のようになっているが・・・。

このマイレージの仕組みを知ってからはなるだけ同じ航空会社を利用するようにした。太平洋を横断してくると米国の国内線は手続きすれば米国国内はファーストクラスの席にアップグレードしてくれる仕組みが当時あり、現地に入って手続きをして何度かファーストクラスにバージョンアップして貰って美味しいワインに食事を楽しんだことがある。

また、こんなこともあった。成田空港からロサンゼルス空港に行くのにエコノミークラスにパックツアーグループが急遽、入ったためにマイレージカードを保有している人を優先してビジネスクラスやファーストクラスにアップグレードして、席を確保してパックツアーの人達をエコノミークラスに収容できるようした。

この時、ラッキーなことに初めてファーストクラスにアップグレードして頂け、太平洋間の長距離便で楽しむことができた。毎年、2月、ロスアンゼルスのアナハイムで開催されていたNEPCON-Westの見学に行く時で、ファーストクラスには、面識者が2名もおり、一人は社長さんであった。この時はまだ若く、なんだか社長になった気分での出張ができた。

初めて海外出張する場合には、先ずは事前に利用する航空会社のマイレージ会員に入って活用することをお勧めする。

筆者は年にほぼ1度、米国に出張していたので、マイレージが溜り、2万マイルで日本からシンガポールまで無料で行けたので、子供を順番にシンガポールに連れて行ってセントーサ島で楽しんでいた。

一度、マイレージの期限が切れそうになったのでシンガポールまでパソコン用トラックボール(アジア地区ではシンガポールから発売を開始した)を購入するためにマイレージで訪問して購入したこともある。

 

10-2.ホテルのポイントカード

航空会社に続き、米国のホテルもマイレージ制度に似たポイントカードを採用するようになった。航空会社のマイレージの得点に味をしめて宿泊するホテルは全て入会した。

しかし、同じホテルに宿泊するケースが少なく、Hilton Hotel、Marriot Hotel、Hyatt Hotelなどの有名ホテル(写真8の右側)ならば各都市にあるので宿泊する機会が増え、ポイントが溜まるものの航空券マイレージと比較すると期待する程の恩恵を受けるケースは少なく、割引や新聞サービスがあった程度であった。それでも日本のホテルのポイントカード(写真8の左側)に入会手続きをして保有している。

写真8 ホテルのポイントカードとカード入れ

 

以上、海外に訪問して調査する方法と注意事項について解説した。参考になれば幸いである。

 

<参考資料>

1)青木正光、“先人の知恵を次世代へ 出張便利帖(6)」<出張で参加  した学会/会合の活用>”プリント回路ジャーナル 2024-04-05

2)青木正光、“実装技術初心者のための『パスポート』〜知のインプット

/アウトプットのこつ〜 <第6回 整理技法とは?(その3)PDICW  の活用方法>” Vol.29 No.10 pp38〜pp42(2013)