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テクニカルレポート
2018.10.12
半導体業界の話題(第9回)
エレクトロニクス業界の発展を牽引してきた「ムーアの法則」はさらに続く⑧
厚木エレクトロニクス

 

1. はじめに

 

 ムーアの法則を推進する中心となるパター二ング技術を解説してきたが、微細化を進めると、デバイスの構造の改革も重要テーマとなってきた。CMOSLSIの構造はどのように変遷するであろうか。今月と来月に取り上げ、本連載を締め括ることにする。

 

2. ショートチャンネル効果の抑制

 

 LSIの歴史は、ショートチャンネル効果との戦いだったといわれることもある。ショートチャンネル効果といっても余り馴染みのない方も多いと思われるので、図1を見ながら簡単に説明しよう。

 LSIのパターンの微細化がどんどん進むと、本来は比例縮小則により深さ方向も縮小されるべきであるが、ソース・ドレインが極端に浅くなると寄生抵抗が大きくなり、電極のコンタクトもとりにくくなって限界がある。すると図1のようにゲートの電界が深いところまで及ばず、ドレインの電界によって空乏層が広がってしまい、本来はOFFの時にもソースからドレインに電流が流れてしまう。

 

 これがショートチャンネル効果である。空乏層の成長を防ぐため、チャンネル部分の濃度を高くする斜めイオン注入や、Extention構造が利用されたが、10nm時代になると不十分になってきた。

 根本的な解決策として、LSIの構造をFinFETに変えてしまうことが行われ、今や最先端のLSIはすべてFinFETになって、ショートチャンネル効果はほぼ完全に抑えられている。

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厚木エレクトロニクス
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