たとえば、部品パッドに関係なく、FR4機材全面に100μ以下の厚みでクリームはんだをべた塗りし、それをそのままリフローに通したところ、ランド部分だけにきちんとはんだ付けがなされ、ブリッジが多少発生するものの確実なはんだ付けが得られたのであった。なにもメタルマスクがいい加減でもいいといってるのではなく、少なくとも私どもが今までもっていた『メタルマスク品質』の常識が崩れたということに驚いたのである。
これは適切な温度プロファイルを設定することが前提であるが、このように印刷の技術で各種の問題に対応できることが判ったのであった。今後もこのような実験を通して新しいノウハウを確立し、コストと品質及び納期のさらなる改善を目指す所存である。なお余談ではあるが、河合氏の指導に基づくリフロープロファイルの見直しによってボイドを著しく(ほぼ100%)なくすことができた。
さて当社では、レーザ加工機の導入によって、朝にガーバデータを受けとれば午前中にはメタルマスクができ上がり、夕刻には納品できるなど、飛躍的な納期短縮が実現できており、リピート品についてもはんだ付け性にトラブルのある部分はただちにフィードバックし、再度、メタルマスクの修正(作り直し)をし、検査・修正するなどしており、人員の削減を図っている。
この次の課題として現在取り組んでいるのが、『クリームはんだの作製』である。『作製』といっても撹拌するだけのことであるが、これは、より新鮮なクリームはんだを使用して1件でも不良を減らしたいという思いによるものである。そのために、金属粉末とフラックスを(株)小島半田製造所からそれぞれ別々に供給してもらっており、今使う分を撹拌だけを工程へ投入している。さらに撹拌性をより高めるために、自転・公転のスピードを当社の要求に応じて変更できる撹拌機を扶桑産業(株)の力をお借りし、すでに開発した(写真6、写真7)。
写真6 パックされたはんだ粉末とフラックス
写真7 撹拌状態を確認後に印刷
写真8 (株)ハイロックス製マイクロスコープを使用した外観検査
これによって、小ロット製品においては始めから小分けのはんだパックで保管し、その日に使う分のみをラインで混ぜ合わせて使いきることで廃棄分を減らすことができた。パックを開封しなければ1年間は使用可能になるので不良在庫の削減にもつながる。
実装後の品質観察についてはハイロックスのロータリーレンズを使用して外観観察しており、その後、必要な部品のみX線観察でボイドを確認している(写真8)。今後は、通常品に関しては外観状態とボイドの状態を関連付けて、特に必要を要する部品・設計以外は外観観察で判定するような現場基準を求めていきたいと考えている。
また、特に産業基板やリードレスの部品においてはボイドの有無が重要になるので、①温度プロファイルの変更、②はんだの変更での確認実験、を実施している(写真9)。
写真9 温度プロファイルの変更と小島はんだ使用後のボイドの減少効果
海外進出する同業他社も多くあるようであるが、我々はもうしばらく、疲弊してしまったこの国内で、『ものづくり日本』の再生を夢見てがんばりたいと思っている。
- 会社名
- (有)コンコード電子工業
- 所在地
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