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スペシャルインタビュー
2023.09.15
高い磁気特性を有するコストパフォーマンスに優れたネオジム磁石
〜自社のめっき工場と加工工場により製品の安定供給を実現〜
株式会社 相模化学金属
代表取締役 福田 重男 氏

■御社の事業展開について、特に注力している取り組みなどお聞かせください

 

福田 : 当社では、品質/価格/供給の向上を目指し、常にお客様が満足していただくことを考えてビジネスを展開しています。中国国内に工場をもつネオジム磁石メーカーとしての立場を活かし、お客様の要望に応えて製品を製造しています。形状、磁気特性などお客様の要望に合わせた製品をいち早く、リーズナブルな価格で提供していく事が我々のポリシーとなっています。

製造に関しては、量産品への対応はもちろん、試作品一個の製作にも対応しています。ネオジム磁石生産工場である包頭市のJSMでは、先進的な磁石製造設備を採用し、安定した品質を確保するとともに、継続的にコストダウンを図っています(写真5)。また製品検査は、BHトレーサーによる磁石素材の磁気特性はもちろん、最新設備による寸法検査、表面磁束検査、PCTなどの検査を実施しています(写真6)。

写真5 JSM内の先進的な磁石製造設備

写真6 JSMに設置されたBHトレーサー

 

そして、めっき工場である包頭市のJSPでは、電解ニッケルめっき、電解銅めっき、エポキシ電着塗装、無電解ニッケルめっきといった各種ネオジム磁石の表面処理を行っています(写真7)。工場内には、めっき液の成分分析器や膜厚測定器などの設備も整っている状況です。

写真7 JSP内の表面処理設備

 

さらに、当社グループの工場では、環境に配慮した生産を常に心がけており、当社より出荷される製品は、鉛、六価クロム等を含まないRoHs対応品となっています。また、高品質の製品を安心して使っていただくために、製品に検査成績表を付けているのも、当社の取り組みの1つになっています。

 

■御社の主力製品であるネオジム磁石について、特徴などお聞かせください

 

福田 : 当社のネオジム磁石は、『NF(ネオフラックス)シリーズ』として製品展開し、すべてお客様の受注生産で提供を行っています(写真8)。

写真8 ネオジム磁石『NF(ネオフラックス)シリーズ』

 

製品自体は、鉄、ネオジム、ボロンを主成分とした希土類焼結磁石(異方性)で、溶解/微粉砕を経てミクロン単位の粒径にそろえた粉を磁場プレスにより圧縮成形(磁場中成型)した後に、焼結して磁石母材(直方体や円柱)を製造します。次に磁石母材を丸、角、リング、瓦形状などの形状/寸法に機械加工し、さらに表面処理(通常ニッケルめっき)を施して製品化しています。

当社では、着磁の工程を経て製品を納入し(お客様の仕様によっては無着磁で納入)、永久磁石の中で最も強い磁力をもつ磁石となっています。また、温度環境や使用用途により、一般的な標準材質から、『NF-Hシリーズ』、『NF-SHシリーズ』、『NF-UHシリーズ』、『NF-EHシリーズ』と段階的に保持力を高めたシリーズをラインアップしており、最適なグレードの選択が可能です。

主な特徴としては、①ネオジム磁石の最大エネルギー積(BH)max)はフェライトの4.5MGOeやサマコバ磁石の30MGOeをはるかにしのぎ、48MGOeを超えるものもある。②主原料に比較的安価なネオジムと鉄を用いているため、コバルトを多く含んでいるサマコバ磁石と比較してコストパフォーマンスに優れ、供給面での心配もない。③温度特性がサマコバ磁石と比較して劣るという弱点もあるが、Hシリーズ、SHシリーズ、UHシリーズとより保磁力を高めた耐熱性のネオジム磁石の材質が開発されている。④主成分の内70%近くが鉄ということで、防錆のためNi電解めっきを標準仕様としている。などが挙げられます。

高特性であることを活かし、機器の小型化、効率化を進めるためのキーパーツとしてますます用途が広がっています。そのため当社の磁石は、FA/産業機器の分野の各種モータ、センサ、家電機器、OA機器、AV機器、通信機器、医療機器などに使用されています。

さらに、ネオジム磁石以外にも、サマコバ磁石/アルニコ磁石/フェライト磁石/ネオジボンド磁石などの取り扱いも行っています。やはりお客様の中には、ネオジム磁石以外の磁石を必要とされることもありますので、そのようなニーズに対応するため、ネオジム磁石以外の磁石製品も提供しています。

基本的に、ネオジム磁石以外の磁石製品については、製造は行っておらず、BSMを通じて製品を調達している状況です。

会社名
株式会社 相模化学金属
所在地
相模原市緑区