ものづくり企業として製造分野で事業を展開する株式会社 テクニカ。今回は、今まで蓄積された技術やノウハウを活かし、新ブランドを立ち上げて展開するAIソリューション事業にスポットを当て、同社の概要と事業の概要などについて、代表取締役社長 比留間 良太 氏にお話を伺った。
■御社の概要や沿革などについてお聞かせください
比留間 : 当社は、1979年に私の父が産業用機器の電装部分を受託製造する会社として創業し、東京都武蔵村山市の自宅の一角を事務所兼作業場にスタートしています。元々父は設計者だったので、独立する形で当社を設立し、その後も産業用機器の設計/製造を事業の柱に、特に電子基板やボックスものと呼ばれる制御部分を行っていました。
取り引き先となるお客様は、半導体製造装置関連の会社がメインで、例えばワイヤボンダに使われる電気トーチの発生装置を手掛け特許を取得するなど、半導体製造装置に関連するものづくりと設計を両軸で進めてきています。
また、オリジナル製品の開発についても色々とチャレンジしており、半導体製造装置関連だけでなく、様々な分野に展開しています。ただ、主力製品の開発までには至っておらず、例えば眼鏡用レンズの厚さをレーザ技術を応用して非接触で測定する装置を開発するなど、独自性のある製品開発を行ってきました。
そして、徐々に会社の規模を拡大していき、1989年に現在の所在地である東京都西多摩郡瑞穂町に自社工場を完成させ、事務所も移転しています。さらに、1995年には表面実装ラインを導入、1996年には社内ネットワークシステムを導入するなど、設備投資も進めてきました。
また、2006年頃からは少しずつ海外にも視野を向けていき、色々な取り組みを行っていきました。
そして、2020年にはAIソリューション事業を展開する新たなブランド『DACOVA』を立ち上げています。そのため現在は、今まで積み重ねてきたノウハウを活かしたものづくりソリューション事業と、『DACOVA』ブランドのAIソリューション事業の2本柱で事業を展開しています。
■『DACOVA』ブランドを立ち上げられた経緯と事業の概要についてお聞かせください
比留間 : 『DACOVA』ブランドのAIソリューション事業も、基本的には我々が今まで培ってきたものづくりの技術がベースになっています。それではなぜ、『テクニカ』のブランドで事業を展開しなかったのかというと、『テクニカ』という社名は意外に多く存在するのと、またホームページを見られた時に『テクニカ』のものづくりの中でAIは、なかなか上手く切り分けて見ていただけなかったというのが、ある意味理由になっています。
そのため、新たに『DACOVA』というブランドでしっかりやっていこうという思いから、このブランドを立ち上げています。『DACOVA』という名称は、「Data」、「Collect」、「Value」からなる造語です。我々は、製造現場から出てきているので、現場に対してデータだけではなく、現場の入り口から我々の手でデータそのものも大切に取りたいですし、お客様と共同で取っていきながら、それをAI技術で確かな価値を生み出していきたいという思いから命名しています。
実は、当社がAIに注目したのは2011年頃で、始めは人間の脳波を分析するためにAI技術を取り入れたのがきっかけになっています。色々と研究開発を行う中で、脳波から情動といった人間の心が読み取れることが一時期流行り、我々も面白そうだったのでチャレンジしてみたいと思い、どうせなら脳波計からつくってしまおうと脳波計の開発に着手したのが始まりになります。
そして、開発した脳波計は大学にも貸し出したりしていましたが、どのように脳波計の波形から情動を読み取るのかというと、専門家がその波形を見て今はどういう状態かを判断するのが基本的な流れになっていました。それなら、AIを活用することで上手く対応できるのではと考え、AI技術を取り入れています。
最初は、時系列データに対するAI解析というのを前面に押し出して様々な分野に展開していましたが、お客様からは画像に対するニーズが非常に多くあったので、画像処理データに対するAI解析も行い始めました(写真1)。また、当社はものづくり企業なので、製造業の現場に対して自由度を高めた展開をしていきたいと思い、現在は製造現場に特化した展開を行っています。
その中で我々は、「IoT・AIプラットフォーム」、「生体信号AI解析」、「保有AIモデル提供」といった3つのサービスを提案しています。
1つ目の「IoT・AIプラットフォーム」は、製造向けとしてIoTユニットからAIモデルを含むソフトウエアまでパッケージ化しており、データ取得、データ保管、AI学習、AI推論、結果出力までの一貫したシステムに対応しています(写真2)。
2つ目の「生体信号AI解析」では、脳波(EEG)、筋電(EMG)、心電(ECG)の生体信号解析について、我々独自のフィルタリング技術と増幅技術により高精度の生体信号を取得し、AIモデルを開発しています。
3つ目の「保有AIモデル提供」では、我々が今まで蓄積してきた画像処理、音声処理、時系列データ処理における各種AIモデルを活かし、お客様のニーズに合わせたAIモデルの受託開発を行っています。
それから当社の大きな特徴としては、ものづくり企業として今まで培ってきた経験とノウハウを活かした、製造現場においての対応力が非常に高いことだと思っています。お客様にサンプルデータを用意していただくだけでなく、やはり事前に現場を確認しておく必要がありますし、そこで我々も一緒にデータを取得するためにカメラや必要な機材などを持ち込んで設置するなど、様々な取り組みを行い、如何に早くデータを取得するかを重視しています。
また社内には、簡易的ではありますが様々なデータをテストする環境なども整備しています(写真3)。それにより、お客様も早い段階で採用できるできないの判断が付けられると考えています。
このように、我々の強みを活かしながら3つのサービスを提案しており、現状の案件としては約9割が画像認識で、そのほとんどが目視検査からの置き換えになっています。検査工程の目視検査をAIで自動化したいというニーズが多く、基本的には工業製品がほとんどですが、それ以外での引き合いも色々ときている状況です。
そのような中、最近では新しいソフトウエアパッケージとして『AI画像認識ソフトウエアシリーズ』をリリースし、提供を開始しています。
- 会社名
- 株式会社 テクニカ
- 所在地
- 東京都西多摩郡瑞穂町
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