ビジネスコミュニケーションを加速する
BtoB ニュース専門サイト | ビジコムポスト

スペシャルインタビュー
2022.06.27
低コストで簡単にすぐ始められるIoT化を ワンストップで提供
〜電磁場解析でのエンジニアリング経験を活かした取り組み〜
サイエンス ソリューションズ株式会社
代表取締役 CEO/COO 西川 正名 氏 取締役 事業ユニット ソリューションチーム チーフエンジニア 房枝 茂樹 氏

電磁場解析とIoTプラットフォームの2本柱で事業展開するサイエンス ソリューションズ株式会社。今回は、最近特に力を入れているIoTプラットフォーム事業にスポットを当て、同社の概要と事業の概要、展開する製品の特徴などについて、代表取締役 CEO/COO 西川 正名 氏、取締役 事業ユニット ソリューションチーム チーフエンジニア 房枝 茂樹 氏にお話を伺った。

 

■御社を設立した経緯や概要などについてお聞かせください

 

西川 : 私自身、元々は将来の原子力エネルギーである核融合実験炉他の開発設計に従事していました。この仕事では電磁気解析が不可欠なのですが、当時はまだ電磁気解析ソフトウエアが未発達だったので、自分達でソフトウエアを開発し設計に利用しました。その後、電磁気解析技術には多くのニーズがあることを知り、ソフトウエアのライセンス事業を開始し、また原子力以外の分野でのエンジニアリングサービス事業を開始しました。その後、勤務先が製造業に専念することになったことから、解析ソフトウエアを開発したメンバーと一緒に3名で、1996年9月に研究開発およびエンジニアリングを目的とした当社を設立しています。

「科学の基本に遡り、お客様にとって必要充分な技術サービスや製品を提供していく」という事業方針を掲げ、そこから“サイエンス ソリューションズ”という社名にしています。独立という形で勤務先を退職しましたが、その後も色々と協力関係にあり、電磁場解析ソフトウエアの販売代理や関連するメンテナンスサービスなどを請け負いました。また、ニーズのある他分野にも色々と提案を行っていきました。

1998年4月には、その電磁場解析ソフトウエアの権利を譲渡していただき、当社の製品としてライセンス販売/保守を行なっています。また、米国のハイテク研究会社や大学などと連携し、電磁場解析以外のビジネスにも色々とチャレンジしてきました。その中で、結果的にはビジネスに繋がりませんでしたが、半導体の新しい製造技術を開発するプロジェクトに携わるなど、我々のもつ電磁場解析の技術やノウハウを活かした研究開発を行っていました。

2000年9月には、前の会社から独立した新たなメンバーが加わり、原子力分野でのシステムインテグレーションをビジネスとして展開しています。さらに2001年4月には、当社の研究開発活動を拡大し、マイクロポンプの開発にも着手しました。

このマイクロポンプの開発は、半導体の時と同じ米国のハイテク研究会社と連携した取り組みで、バイオテクノロジーと燃料電池の市場に展開しました。燃料電池に関しては、当時ポケットサイズの携帯型燃料電池の開発に注目が集まっており、国内外の電機メーカーがほとんど参入していました。しかし、それに使用される燃料を送るためのポンプにあまり適したものがなく、我々が開発したマイクロポンプが非常に適していると評価されたため、市場の将来性を見据え、ベンチャーキャピタルから資金を集めて事業化に向けた別会社を設立しました。

ところが、携帯型燃料電池の開発が進む中でコストの問題や様々な障害が発生し、その影響で各社製品化のメドが立たず、結果的にはマイクロポンプの需要もなくなったので、立ち上げた別会社も7年ほどで解散しました。ただ、そこで培った技術やノウハウは、現在も色々と活かされています。

当社では、国や国際プロジェクトなどにも参入しており、そこで今でいうIoTの基礎になるシステムをいくつか開発しています。そして2014年には、本格的な事業化に向けた研究開発をスタートさせ、2015年1月にはIoTプラットフォーム『Argoculus(アルゴキュラス)』を発売しています。

このIoTプラットフォームの開発に乗り出した頃は、会社的にも色々と厳しい時期ではありましたが、結果として始めて良かったと考えています。事業規模としては、まだ電磁場解析事業が全体の6〜7割ほどを占めていますが、IoT関連事業の規模は年度を追って着実に成長しています。

 

■IoTプラットフォーム事業の概要などについてお聞かせください

 

房枝 : 先程も西川の方から説明があったように、今まで我々は電磁場解析と原子力の高レベル放射性廃棄物処分といったちょっとニッチな分野に関するソフトウエアの受託開発をメインにビジネスを展開していました。その中で、例えば研究施設において温度や圧力などのデータをリアルタイムで分析し、異常があれば関係者に通知するシステムの構築を、私自身は前職から長年携わっており、そこから色々な経験や知見を蓄積していきました。

ただ、2011年3月の東日本大震災による福島原発事故の発生以降、復興関連を除くと原子力分野ではなかなか新しい研究開発はなく、そのためこの経験や知見を新たに一般の産業分野にも広めていこうと考え、様々な施設に対し、我々のもつ経験や知見を活かしたビジネスを展開していきました。このビジネスを始めた当初は、日本ではまだ「IoT」という言葉が普及しておらず、「インテリジェントセンサネットワーク」といった名称などで呼ばれていましたが、2015年頃には日本でも「IoT」という言葉がよく聞かれるようになり、当社も名称を変え「IoTプラットフォーム」として製品化に向けた取り組みを進めました。

また、我々は元々エンジニアリングをやっていた関係で現場に近い存在だったので、単にソフトウエアを開発するというよりは、実際に現場の作業者が困っていることなどをリサーチし、それを基に開発を行っていました。そのため、製品開発の1つのコンセプトとして、“現場でも、またITに詳しくない方でも使えるようなソフトウエア”を目指していました。

従来は、ソフトウエアメーカーなどが製作し、その後エンドユーザーに使っていただき、修正点があればメーカーに依頼して改良するという流れ、つまりソフトウエアメーカーとユーザーが繰り返し作業を行うことでソフトウエアを完成していくのが、一般的なスタイルと我々は認識しています。そこからちょっと違う方向を目指そうと考え、我々は“プラットフォーム”と表現していますが、これは枠組みというような意味合いで、センサのデータを取って「見える化」や「分析」をするという枠組みをつくっていきます。その枠組みの上で、極端なことをいうと、エンドユーザーが自分のやりたいことを実現していくという取り組みを考えました。

そのエンドユーザーというのが、我々の中ではITに詳しい方だけでなく、現場の作業者でも簡単に使えて身近に感じられるシステムをイメージして開発を行いました。そして、2015年に『Argoculus(アルゴキュラス)』を発売し、本格的にIoTプラットフォーム事業をスタートさせています。

ちなみに、『Argoculus(アルゴキュラス)』という商品名には意味があり、“アルゴス”というギリシア神話に登場する「100の目をもつ巨人」と、“オキュラス”というラテン語で「目」を意味する単語を合わせることで、「多くの目で色々なものを監視する」という意味合いをもたせた造語になっています。

会社名
サイエンス ソリューションズ株式会社
所在地
東京都目黒区