①吸着用テープ除去機『Hummingbird-550』の開発と現場適用
電子機器の小型化・高機能化が進む中、プリント基板実装工程ではさらなる高密度化と生産性向上が求められている。はんだ印刷、部品搭載、リフロー、検査といった主要工程の自動化は高度に進展している一方で、実装後の補助的工程には依然として人手作業が残されている。その代表例が、異形部品に貼付された吸着用テープの除去工程である。
コネクタやDIPスイッチなど、上面に吸着ノズルが使用できない部品では、実装時にマウンタで部品を吸着・搬送するため吸着用テープが貼付される。これらのテープは実装後には不要となるが、従来は作業者が1枚ずつ手作業で剥がしていた。 微細部品に直接触れる工程であるため、部品破損や剥がし残しのリスクを伴い、また作業時間のばらつきが生産性や品質の不安定要因となっていた。
当社は、月産120万枚を超える実装基板を製造する中で、この吸着用テープ除去工程がライン全体のスループットに影響する潜在的なボトルネックであると捉えた。
とくに前後工程の高速化が進むにつれ、補助工程が相対的に負荷となる状況が顕在化し、工程全体の最適化を目的として吸着用テープ除去機『Hummingbird-550』を開発した(図1)。

図1 『Hummingbird-550』外観およびテープ除去ヘッド部
②粘着力を利用した独自の除去機構
『Hummingbird-550』の最大の特長は、除去用テープを用いた独自の剥離方式にある。専用ヘッドにセットされた除去用テープをローラで吸着用テープに押し付け、除去用テープの粘着力を利用して端部からめくるように剥離する構造とした。これにより、部品表面に過度な力を加えることなく、安定した吸着用テープ除去を可能としている。
剥離された吸着用テープは、除去用テープ側に貼り付いた状態でそのまま巻き取られるため、回収工程も自動化される(図2)。
除去、回収、次工程への準備が連続動作で行われることで、量産ラインで求められるタクト安定化に寄与している。

図2 テープ除去工程フロー
③量産ライン適合を意識した高速処理
本装置では、吸着用テープ1枚あたり約1〜1.5秒での高速除去を実現している。X・Y軸の高速駆動に加え、剥離と回収を同時に行う連続動作とすることで、処理時間のばらつきを抑制した。ラインインタフェースにはSMEMA規格を採用しており、既存のSMTラインへインラインで容易に組み込むことが可能である。
④画像処理と自動リトライによる除去完結工程
『Hummingbird-550』では、除去前後の基板を内蔵カメラで撮像し、画像処理によって吸着用テープの剥がし残しを検出する。剥がし残しが確認された場合には、自動で再除去を行うリトライ動作を実行することで、工程内で除去処理を完結させる構成とした。これにより、作業者による目視確認や手戻り作業を不要とし、除去品質の均一化と検査工数削減を両立している。
⑤現場導入性を考慮した設計
ティーチングを基板画像上で除去位置と除去パターンを指定する簡易方式とし、専門的なプログラミングを不要とした。さらに、部品形状や吸着用テープの条件により剥離特性が異なる場合に備え、除去動作を最適化するためのカスタム除去パターン作成機能を搭載している。
これにより、多様な部品構成やテープ条件を持つ実装ラインにも柔軟に対応可能である。対応基板サイズは最大330×250mm、上下クリアランス80mmと一般的な実装ラインへの適合性を確保している。
⑥まとめ
『Hummingbird-550』は、これまで自動化の検討対象となりにくかった補助工程に焦点を当て、工程そのものを装置で置き換えることを目的に開発した。
実装ライン全体の完成度を高める一要素として、本装置が生産性向上と品質安定化の両立に貢献することを期待している。
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