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テクニカルレポート
2026.05.26
試作から量産移行を支えるプリント配線板製造技術
-多品種・小ロット・変量生産を成立させる工程設計と品質作り込み-
(株)キョウデン

①はじめに

電子機器の高機能化、小型化、高密度化は今なお進展しており、それを支えるプリント配線板には、より高度な性能と安定した品質が求められている。

さらに近年は、製品ライフサイクルの短縮や市場投入スピードの加速により、基板製造に対して短納期対応や設計変更への柔軟な追随といった要求も一層強まっている。

こうした環境下では、単に図面通りの基板を製造する能力だけでは十分とは言えない。層構成、配線密度、ビア構造、板厚、表面処理といった仕様面に加え、実装条件や使用環境までを踏まえ、品質と納期を同時に成立させることが求められる。すなわち、現在のプリント配線板製造における競争力は、設備能力や個別工程の加工精度だけではなく、工程設計力、品質保証体制、さらには変化する顧客の要求に応答する力までを含めた総合技術力によって判断される局面にある。

 

②プリント配線板製造で重要な技術課題

プリント配線板製造においては、複数の技術課題が同時に高度化している。

第一に、配線の微細化および多層化に伴う製造難易度の上昇である。

ライン/スペースの微細化や層数の増加により、加工精度や位置合わせ精度への要求は一段と厳しくなり、工程ばらつきの抑制がこれまで以上に重要となる。

第二に、ビア形成および層間接続信頼性の確保である。

小径ビアやビルドアップ構造の普及により、単なる導通の有無ではなく、熱ストレスや長期使用における接続安定性が重要な品質評価の指標となっている。

第三に、デスミア、無電解銅、電解銅といった連続工程の整合である。

ビア内の樹脂残渣除去が不十分であれば、無電解銅皮膜の形成に影響し、最終的な接続信頼性の低下につながる。

一方で過度な処理は材料特性への悪影響や密着性低下の要因となるため、全体最適の視点でも工程を管理することが不可欠である。

さらに、多品種・小ロット化の進展により、工程条件の切替頻度が増加し、品質ばらつきの管理が難しくなっている。短納期要求の中で品質を維持するためには、初回流動段階での不具合発生リスクを抑制し、再現性の高い工程運用を行う必要がある。

加えて、基板単体で仕様を満たすだけでは十分ではない。仕様適合にとどまらず、実装工程や最終製品での使用環境を見据えた最適化も重要である。高電流用途や放熱設計、高周波特性など、用途ごとの要求に応じた構造と製造条件を両立させることが求められる。

 

③多品種・小ロット・変量生産において重要となる工程設計力

多品種・小ロット・変量生産環境において、品質と納期を両立させるためには、前工程における工程設計の精度が極めて重要となる。

製造開始後の対応だけでは限界があり、設計データを受領した段階から製造成立性と品質リスクをあらかじめ織り込んだ工程設計が不可欠である。

特に重要なのは、標準化すべき工程と案件ごとに最適化すべき工程を適切に切り分けることである。すべてを個別対応とすれば工程は複雑化し、ばらつきやリードタイム増大の要因となる。

一方で、過度な標準化は多様な要求や仕様への柔軟な対応を困難にする。両者のバランスをいかに設計するかが、変量生産における工程設計力の核心となる。

 

3.1 短納期対応を支えるCAMセンターの役割

短納期対応においては、設計データ受領後のCAM工程が体リードタイムを左右する重要な役割を担う。

キョウデンでは、CAMセンターを中核としたデータ処理体制を構築し、設計データ受領から当日中の工程投入を可能としている。

同センターには50名以上のCAM編集者を配置し、顧客から支給されたガーバーデータを製造可能なデータへ編集している。

短納期対応が求められる新規案件では約9割で当日中に製造工場へのデータ展開を実現しており、案件によっては最短2時間で工程投入が可能となる。

この体制により、最短翌日納品を実現するなど、CAMセンターは試作短納期対応を支える中核機能として位置付けられている(図1)。

図1 試作短納期を実現する「キョウデンミラクル方式」

 

3.2 製造ルールチェックによる工程設計品質の安定化(MRC)

多品種環境において工程設計品質を安定させるためには、属人的な判断に依存しない仕組み作りが重要となる。

キョウデンでは、長年蓄積してきた製造ノウハウを反映した製造ルールチェックシステム『MRC(Manufacturing Rule Check)』を自社開発し、CAM工程における設計検証の自動化を行っている(図2)。

図2 MRCチェック項目一覧(事例)と詳細項目イメージ

 

配線幅、クリアランス、ビア仕様など、製造品質に影響を及ぼす150項目以上を自動でチェックすることで、設計初期段階における不適合要因を抽出し、後工程での手戻りや品質低下を未然に防止している。これにより、短納期対応と工程設計品質の均質化を両立している。

 

3.3 自動面付システムによる効率化と再現性確保(CAMPAS)

面付設計は、製造効率やコスト構造に大きく影響する重要な工程である。多品種・小ロット生産では案件ごとに最適な面付条件を検討する必要があり、設計工数の増大が課題となりやすい。

キョウデンでは自動面付システム「CAMPAS」を活用し、指定パネルサイズに対して製品寸法や製造マージンを踏まえた最適な配置を自動で行っている。これにより、設計工数の削

減と材料歩留まりの向上を両立するとともに、試作段階で確立した条件を量産段階へ円滑に展開する再現性の確保にも寄与している。

会社名
(株)キョウデン
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