ビジネスコミュニケーションを加速する
BtoB ニュース専門サイト | ビジコムポスト

スペシャルインタビュー
2023.09.15
高い磁気特性を有するコストパフォーマンスに優れたネオジム磁石
〜自社のめっき工場と加工工場により製品の安定供給を実現〜
株式会社 相模化学金属
代表取締役 福田 重男 氏

ネオジム磁石メーカーとして、安定した磁石製品の供給を行っている株式会社相模化学金属。今回は、同社の概要と事業展開、主力製品であるネオジム磁石の特徴などについて、代表取締役 福田 重男 氏にお話を伺った。

 

■御社を設立された経緯や沿革などについてお聞かせください

 

福田 : 当社は、1968年に私が相模化学金属として個人で創業させた会社になります。元々私は大手化学メーカーに勤務しており、学生時代から磁石に興味をもって色々と勉強していた関係で、エンジニアとして主にプラスチックマグネットの研究に携わっていました。

当時は、高度成長期といわれていましたが日本はまだまだ貧しい状況で、私自身もあまり裕福とはいえないような環境で育ちました。そのため、とにかく自分自身の力でたくさん稼いでいきたい、豊かになっていきたいという思いを常にもっていました。

そして、その思いを実現させるため、起業を決意したのが当社を設立した経緯になります。設立当初は、今まで培った経験を活かし、セラミックスやフェライト磁石の加工および製造を行い、ちょうど日本の高度成長期の波にも乗ることで、当社も順調に発展を遂げていました。

その後、1971年には有限会社相模化学金属に改組し、1975年には相模原峡ノ原工業団地に本社工場を建設しています。

そして、1986年に大きな転換期を迎えることになります。私はこの年にアメリカに渡り、今まで見たことのない強力なマグネットに出会いました。それは、ネオジム磁石の原型である希土類マグネットです。このマグネットとの出会いに運命を感じ、これからの時代はこのマグネットがマグネット業界だけでなく、幅広い産業界に変革をもたらすものになると感じ取りました。

そこで、日本に帰国するとすぐさまネオジムの産出国である中国に渡り、何とかしてこのマグネットの製造ができないかと色々とアクションを開始しました。その結果、1990年に当社と中国科学院北京三環新材料高技術公司(以下、三環公司)との間で、合弁契約を締結しています。

また当社は、同年に株式会社相模化学金属に改組しています。そして、翌年の1991年には、当社と三環公司との合弁会社となる三環相模新技術有限公司(以下、三環相模)を設立し、ネオジム焼結磁石の製造を開始しました。

ただ、合弁事業をスタートさせた中で、当初問題となったのは品質でした。どうしても国産品と比較すると、中国製品には品質にばらつきがあるのが現実でした。しかし、当社には日本にも工場をもつ強みがあったので、それを活かして日本国内での品質管理を徹底的に行うと同時に、中国工場にも日本からエンジニアを派遣し、高品質で低コストのマグネットを安定供給できる体制に整えていきました。

その後、2013年には三環相模が当社100%出資の独資企業へと発展し、会社名称を北京相模金属有限公司(以下、BSM)に改名しています(写真1)。また2017年には、BSMと金蒙グループとの合弁でめっき工場となる包頭市金蒙相模電鍍有限責任公司(以下、JSP)を設立しています(写真2)。

写真1 北京相模金属有限公司(BSM)

写真2 包頭市金蒙相模電鍍有限責任公司(JSP)

 

さらに2019年には、ネオジム磁石生産工場となる包頭市金蒙相模磁業有限公司(以下、JSM)を設立し、翌年の2020年には、北京市から包頭市へネオジム磁石生産拠点を移管しています(写真3)。

写真3 包頭市金蒙相模磁業有限公司(JSM)

 

そして2021年には、BSMと怡光鑫達磁性材料との合弁で加工工場となる包頭怡光相模磁性材料有限公司(以下、YSJ)を設立しています(写真4)。

写真4 包頭怡光相模磁性材料有限公司(YSJ)

 

このように、中国に進出してからは、ネオジム磁石メーカーとして発展を遂げていきました。

その中で、当社の主力製品であるネオジム磁石には、「温度特性に弱い」「錆やすい」といった2つの弱点があります。各メーカーとも、長い年月を掛けて色々な取り組みを行っていますが、我々も中国へ渡るときに、独自のめっき技術と加工技術を工場に持ち込んでいき、その問題をクリアしていきました。

そして、そのめっきと加工の独自技術に対し、本来なら特許の申請などをするべきところ、私はそれを行いませんでした。それ故に、中国では色々と真似させましたが、私はそれを名刺代わりと考え、それがある意味中国で成功できた要因の1つだと思っています。

特に、ネオジム磁石メーカーとして自社のめっき工場と加工工場を保有していることは、当社の大きな強みになっており、それにより安定したネオジム磁石の供給を実現しています。

会社名
株式会社 相模化学金属
所在地
相模原市緑区