①はじめに
リフロー後のコネクタや電解コンデンサ、異形挿入部品などは、はんだこてによる手はんだ付けや、フローはんだ付けによる全面はんだ付けが一般的であった。
手作業による品質のバラツキが課題とされていたが、こてロボットやレーザなどによる多様な自動化が進められるようになった。
こてロボット、レーザはんだ付けは、はんだ付け面を上面にすることが基本であり、部品装着後に反転や押さえ機構などの付加価値のない作業が発生する。
フローはんだ付けは全面はんだ付けをする方法として、古くから採用された工法であるが、装置のメンテナンスに時間と技術を要し、消費電力やはんだ材料を多く使用するなど課題があった。マスクパレットを使用し、局所的にはんだ付けを行うことで用途を拡大する一方で、従来の課題解決には至っていない。
そこで開発されたのが、局所フローはんだ付け装置(セレクティブはんだ付け装置)であり、これらの課題を一気に解決し今も進化を続けている。
必要最小限の小型はんだ槽に円筒形の噴流ノズルとポンプユニットを備え、必要な箇所のみを下面からはんだ付けを行う。指定した任意の位置へ可動する機構を備え自由なはんだ付けを可能とした。反転機構、押え治具、マスクパレットを必要としない新しいはんだ付け工法が確立されたといえるだろう(表1)。
当社は、卓上型からインライン型はんだ付け装置までお客様のニーズに沿ったラインナップを揃え、セレクティブはんだ付け装置のパイオニアとしてこれまで開発、製造、販売に着手してきた。
現行インライン型のEQSシリーズはワンフレーム型(スプレーフラクサ、プリヒータ、ディップ槽)で、一体構造となっていたが、増設に有効なモジュール型としてSELBOシリーズ(『SELBOⅡ』)を開発しフレキシブルな生産形態に対応可能である。
例えば導入後に増産対応としてディップ槽モジュールを増設するなどのユーザーメリットが大きい。モジュール構造としてフレームや搬送系の共通化を図り、品質向上と製造リードタイムの短縮を実現させた。
さらに新機能を備えた『SELBOⅢ』について以下に紹介する。
②新セレクティブはんだ付け装置『SELBOⅢ』の開発背景
現行の『SELBOⅡ』は発売開始以来、累計250台以上の販売実績があり、さらにお客様の要求に合わせた『SELBOⅢ』を開発した。
『SELBOⅡ』はライン一括制御方式に対して、『SELBOⅢ』は単独モジュールでの制御が可能になり自由な装置構成となった(図1)。
■ 装置概要
●多種多様な生産形態に対応するべくモジュールの増設、削減がフレキシブルに可能。
最大10モジュール(例:フラクサ2台、予熱2台、ディップ槽6台)までランダムなレイアウト構成が可能。
●搬送方向の容易な切り替えにより、新しく装置を購入することなくラインレイアウトの組み替えが可能。
●稼働率向上を目的に生産中にメンテナンスを行うノンストップシステムを新たに開発。
●はんだ付けプログラム作成ソフトの「Freedom」をダイナトロン社と共同開発。
- 会社名
- (株)弘輝テック
- 所在地
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