下請け製造を行う製缶工場から、コア技術となる圧力/真空/遠心技術を融合させ、メーカーとして自立するために自社ブランドを立ち上げた株式会社共立。下請けメーカーから自立するため、環境関連分野に参入した同社の概要と食品リサイクルを中心とした取り組みなどについて、代表取締役 上野 賢美 社長にお話しを伺った。
■御社の概要についてお聞かせ下さい
上野:当社は、2006年7月に現在グループ会社となっている共立工業(株)から、真空装置と環境関連装置の開発/エンジニアリング/営業部門を分離独立する形で設立した会社です。
共立工業は、1956年8月に私の父が神奈川県相模原市に設立した会社で、圧力容器/真空チャンバ/遠心分離機などの下請け製造を行う製缶工場でした。1995年に社長である父が急な病で倒れ、当初は本人も復帰する予定でいたようですが結果的にそれは難しいということになり、私も当時は会社を継ぐ意思がなく、また製缶業の空洞化により業界の景気もあまりよくないといった状況から廃業することも検討しましたが、当時17人ほどの社員がおり、中には金の卵と呼ばれる頃から働いていた社員もいたのでなんとか存続することを考えました。私自身、会社のことはほとんどわからなかったため、幹部社員に社長を任せることで営業権を譲渡し、子会社を設立してすべての社員をそちらに移籍させる形でスタートさせ、私は共立工業として財務を管理する大家的な存在になりました。
しかし、1995年は円高の時期に直面し、当時の取引先が海外に輸出する製品を多く取り扱っていたことから経営を圧迫する状況が続いて、わずか一年足らずでまた振り出しに戻ってしまいました。ただ、どうしても社員のことを考えますとなんとか存続させたいという気持ちがありましたので、子会社の社員を再度共立工業に転籍させて私が初めて経営に携わることになりました。
まず始めに考えたのは、国内にのこる製品にスポットをあて、自社のもつ技術を国内のどの分野に活かしていけばいいのかということでした。様々な情報を集める中で出てきたのはIT関連と環境分野でした。もともと下請けとして、真空チャンバや遠心分離機、廃棄物処理装置などを製造していましたので、これらの技術を応用することで下請けではなく、機械の製造メーカーとしてチャレンジしていける分野であると思ったからです。
1999年に営業/開発事務所を開設し、本格的に半導体や電子部品などに使用される真空装置、食品リサイクルを中心とした環境関連装置を柱に事業を展開することになり、開発のできる人材を中途採用しました。やはり下請けのままでは今までとなにも変わりませんし、会社を存続させるためにはメーカーとして自社ブランドを立ち上げて自立することが必要であると考えたのです。環境関連装置では、まず食品関連の分別機や乾燥機を手掛けていき、処理するだけでなくリサイクルして商品化するまでを狙った事業展開でスタートしました。しかし、思っていた以上に難しく、特に生ごみの分別は標準ごみなどないのですべて同じように処理することはできず、故障やトラブルの原因となっていました。また、試行錯誤を繰り返して故障やトラブルの原因を解決し優れた製品を開発しても、ブランドが浸透していないといった信用の問題からか、なかなか相手にしてもらえませんでした。そのようなことで立ち上げから5、6年は、エンジニアリング会社のOEM製品として供給していくような状況が続きました。
その後、少しずつ実績を積み上げてエンジニアリング会社からの要請もあり、入り口から出口までのシステムで受注するようになりました。そうしたシステムがお客様に見せられる展示場となり、信用とともにブランドも浸透し始めるようになっていきました。
装置の確立もほぼ安定しはじめ、そろそろメーカーとして独り立ちできると判断して、真空装置と環境関連装置の技術開発と営業部門を独立させ、当社を設立し、共立工業には製造部門を任せるような体制を整えていきました。
- 会社名
- 株式会社共立
- 所在地
- 神奈川県相模原市
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