当社は大阪府門真市で試作開発や小ロットの受託製造を請け負う会社である。
写真1 フライス
近年では、大手メーカーの海外生産があたり前となり、『ものづくり日本』はもはや昔話になっている。世界の距離はますます縮まっており、アジアはもう日本国内同然の気配がある。そして、アジア諸国に対してはコスト面ではすでに太刀打ちできない状況にあり、さらに品質面についても海外の追従を受けているなど、われわれ『実装屋』は目標を失いがちなのが現状である。
ものづくりの今後の見通しとしては、ベルトコンベア方式よりも『ひとり屋台生産』『セル生産』のほうが多品種・小ロットに向いているという意見があるようだ。分業ではなく、各個人のスキルを上げて作業能率を高めること。そして町工場自身が『ひとり屋台』、すなわち一つの町工場ですべてを仕上げること。私はいつの頃からか、これをどうにかして実現できないかと考え、さらには、『ひとり実装屋』を目標にするべきではないか、そして部品手配はもとより実装に必要な周辺機器、機材、治工具などを自社で調達できる力をつけていきたいと想いを馳せるようになっていた。
そこでまず、最初に取り組んだのが、治工具の内製化である(写真1、写真2、写真3)。今すぐに欲しい、ここを少し削って欲しいなどといった現場からの要望にすぐ答えられるように、フライス、コッタ、溶接機を導入した。そして治工具の内政化によって、治工具作成費の削減はもちろん、必要なものがすぐ手に入るようになり、なおかつ、使い勝手の良い治具ができるようになった。工場経営には、直接人員対間接人員の直関比という考え方があるが、これによって実装屋は実装するための直接設備も大切であるが間接設備も重要な位置を占めるのだ、ということが分かった。
写真2 BGAリワーク
写真3 フォーミング機
次に取り組んだテーマがメタルマスクの内製化で、この実現にあたって、ドイツ製LPKF社のレーザ加工機を、福岡の(株)ブルックスジャパンを経由して導入した(写真4)。レーザ加工機は、NCであるとはいえ、今まで導入してきた装入機や装着機とは異なり、ガーバデータの編集作業が必要となるため苦労したが、ブルックスジャパン社に指導を仰ぎながら、当社社員の努力もあって1ヶ月で立ち上げることができた。ブルックスジャパン社でも、これまでメタルマスク屋には納品した実績はあったであろうが、実装屋への販売は初めてでさぞ御苦労があったことと思う。この場をお借りし、御礼申し上げます。
写真4 ドイツ製LPKF社のレーザ加工機
メタルマスクの作成はガ—バデータがあれば半日かからないので、午前中に製作に入れば午後には製品を出荷することが可能である
さて、このレーザ加工機の導入後、驚愕の現場現象を目のあたりにした。メタルマスクについては、たしかに精度や抜け性、開口率などといったさまざまなノウハウがあるが、大切なのはその印刷よりもむしろクリームはんだ、フラックス並びにリフロープロファイルで、そこにこそはんだ付け品質の『命』が入っていると確信できたのである(写真5)。これは、はんだ付けのプロフェッショナルである、実装技術アドバイザーの河合一男氏の指導によるものであった。
図5-1 印刷前ランド(基板が古く酸化している)
図5-2 マスク厚100μ以下でべた印刷
図5-3 マスク厚を検討することでべた印刷でもブリッジが発生しない
図5-4 コネクターへの一文字印刷
図5-5 はんだの印刷位置と厚みがブリッジ対策になる
図5-6 薄く広く印刷することで熱対流が良くなりボイド対策になった
- 会社名
- (有)コンコード電子工業
- 所在地
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