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テクニカルレポート
2016.02.23
モジュール型高速多機能装着機『NXT Ⅱc』
富士機械製造(株)

 

はじめに

  昨今、様々な機器のデジタル化による世界規模の需要の高まりや消費者ニーズの多様化などから、携帯電話・スマートフォン・デジタルカメラを中心に多くの実装基板が生産されている。これらの基板は、比較的小型ではあるものの、消費者ニーズに応えるため、従来のものとは比べ物にならないくらいに多くの機能が搭載されている。そのため、現在では、挟ピッチリード部品や極小バンプ部品はもとより、高クロック回路を支える0402サイズの小型チップコンデンサ・抵抗チップの実装も不可欠になっている。また、モジュール化されたCSP/BGA部品のPoP実装を行い、実装面積の縮小化と共に、ノイズ耐性も考慮し、回路長の短小化した回路構成の実現が不可欠となっている。

 複雑な要求を必要とする実装基板をより多く生産するためには、高い生産能力が求められることはもとより、確かな生産品質・生産コストの低減化・止まらない生産を実現する運用など、多くの要素が実装ラインに求められている。

 本稿では、当社製品である『NXTⅡc』を取り上げ、その特徴並びにFUJI独自のソリューションを紹介する。

『NXTⅡc』の特徴

  当社は、『NXTⅡc』(図1)を2010年に開発。すでに多くのユーザーにご支持いただいている『NXTⅡ』の高生産性と柔軟性をそのままに、装置奥行きを485mm圧縮し、面積生産性を約40%向上した、業界最高レベルの面積生産性を誇るスケーラブルマウンティングシステムである。

図1 『NXTⅡc』

1.モジュールコンセプト

 『NXTⅡc』はモジュールコンセプトを基に設計された装置である。幅広い部品種に対応し、モジュール交換によるラインの再構成や、機能モジュールの交換をすることにより、ライン導入後の生産量・生産品種の変更にも迅速に対応できる。工具レス・段取り替えレベルで交換可能な装着ヘッドを採用し、極小部品から大型異型部品・接着剤塗布まで、装置自体を交換することなく、最適なヘッドへ容易に交換できる。また、新開発の外観検査ヘッド『IH1』や、3次元はんだ検査ヘッド『IH3』を用いれば、実装のみならず検査工程も同一プラットフォームで実現できる。

2.デュアルレーン生産に対応

 幅170mmまでの基板を2本のコンベアで生産可能。同一基板種だけでなく、サイズの異なる基板種の生産にも対応する。たとえば、表裏実装を行う基板に対しては、片面の実装を一方のレーンで生産した直後、裏面の実装を他方のレーンで実装すれば、仕掛かり在庫をもつことなく、1ラインで効率よく生産できる。生産ラインの短小化や仕掛かり前在庫のストックなどの余分なスペースや管理作業などを割く必要がなく、効率的な運用を行うことができる。

3.フロアスペースの有効活用

 部品供給をはじめ、すべての操作を装置前面から行う構造を採用したことで、『NXTⅡc』を背面合わせにレイアウト可能。『NXTⅡ』と比べ、フロアスペースを従来比約30%以上削減することができ、限られた工場スペースにより多くのラインを敷設できる。

 『NXTⅡc』は、コンパクトでありながら、実装から検査まで自己完結した生産が可能な装置である。

実装品質

 『NXTⅡc』には、小チップ部品を中心に部品搭載可能なV12ヘッド(図2)が使用可能で、スループットは1ヘッド当たり27500cph(V-Advance機構使用時)の高速実装を誇る。このような高スループットを実現する一方、V12ヘッドは1N以下の低衝撃実装を行うことができる。0402部品を実装する場合、すでに基板に印刷されたはんだをいかに潰さないで部品搭載をするかが大きな課題となっている。0402部品の電極間のはんだは、非常に小さく隣接しているため、部品搭載時に大きな荷重がかかれば、はんだが潰れ、ブリッジやはんだボールの発生という品質低下要因を孕むことになる。『NXT』シリーズで採用しているノズルは、一体型ではなく、摺動部分を分離させた構造になっており、部品搭載時の実装荷重を最小限にすることを可能にした。

 また、V12ヘッドには標準でIPS機能を搭載しており、部品吸着時の部品有無確認・部品の立ち吸着検知・IC部品の表裏吸着判定が可能で、部品の搭載もれ・表裏反転実装を回避することができる。

 『NXTⅡc』には、実装ヘッドの他にIH1(外観検査ヘッド)(図3)・IH3(3次元はんだ印刷検査ヘッド)(図4)を新たに開発している。これらのヘッドにより、『NXTⅡc』ラインで実装から検査まで自己完結した生産を実現できる。また、このIH1・IH3から得られた情報を基に品質低下につながる要因を自動的に解析し、オペレータにタイムリーで的確な指示を行うことができるシステムを開発している。このシステムでは、品質低下に対する具体的な対策内容をオペレータに分かりやすい形で指示。オペレータ自身の判断に委ねることなく、誰でも的確な対策をタイムリーに講ずることができる。また、実際に行った対策内容による結果のフィードバックを行うことにより、オペレータに指示する作業内容も、運用をしていく中でより最適な作業指示を行うことができるようになる。これにより、生産活動の中で品質を継続的に安定させる運用を行うことができる。

 

 

 

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富士機械製造(株)
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