瀬戸内海に『小豆島』がある。瀬戸内海に浮かぶ周囲約144kmの島である。昔から天領地として独特な文化で栄えた島でもある。
瀬戸内海の温暖な気候は、温州みかん、はっさく、ぽんかん、オリーブを栽培するのにうってつけの地となっている。
オリーブは紀元前、地中海地方で栽培が始まったといわれる。香川県農業試験所によると、日本に初めてオリーブ油をもち込んだのは、キリスト教伝道のため来日したフランシスコ派のポルトガル人神父だという説があり、約400年前の安土・桃山時代のことである。
しかしその後、江戸時代の鎖国政策により、他国との接触を遮断したためにオリーブ油に接する機会がなくなってしまった。
オランダとの交流は長崎の出島であったためオランダの医師やオランダの医学を学んだ一部の蘭方医が医薬として、オリーブ油を使用していたことが判明している。 日本へのオリーブの伝来は1862年(文久2年)および1867年(慶応3)年に医師の林洞海がフランスから輸入した苗木を横須賀に植えたのが最初とされている。
明治になって、赤十字社を興した佐野常民、後に総理大臣になった松方正義、産業振興に功績があった前田正名などの先覚者の尽力により、イタリアやフランスからオリーブの苗木が取り寄せて植えられた。
1879年(明治12年)にフランスから輸入した苗木は、歓農局三田育種場及び神戸の同場付属植物園にも植えられた。
その後、神戸の付属植物園は神戸オリーブ園と改称されて農商務省直轄となり、福羽逸人による管理が好成績を収めて、1882年(明治15年)には果実が収穫され、日本で始めてオリーブ油の採取及びテーブルオリーブス加工が行われたものの、長続きはしなかった。
そして1908年(明治41年)、農商務省が三重、香川、鹿児島の3県を指定してアメリカから輸入した苗木で試作を始めた中で、香川県の小豆島だけが栽培に成功した。以後、試験研究が続けられ、農家に普及するとともに小豆島を中心に香川、岡山、広島などにも栽培が拡がった。
この香川県小豆島町に今から100年前にスペイン産のオリーブが植えられた。オリーブの木は、スペインから米国を経由して日本にもち込まれたらしく、井上太子治さんが林を開墾して60坪の地に20本のオリーブの苗木を植えたのが始まりだ。それが現在、約2,500本のオリーブが井上誠耕園にある。約60年前に植えられたオリーブの木も残っているという。
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