オランダといえば『チューリップ』と『風車』、そして干拓で作られた国土を思い起こす人が多いだろう。
「世界は神が作ったが、オランダはオランダ人が作った」ともいわれるように、オランダの国土の約25%は干拓地からなっていて、かつては国土の約半分は海や湖であったという。オランダは、またの名を『ネーデルランド』ともいい、これは、低い土地の国という意味を指す言葉である。最高地点の標高が322.5mほどしかなく、平地の国でもある。平地が多いのでサイクリングがさかんな国でもある。
ローマ時代頃から堤防を築き、11?13世紀に本格的な干拓が始まり、近代的な干拓は、1612年のベームスター干拓地であった。溜まった水を汲み出すために『風車』が作られた。
今でも多くの風車が残り、キンデルダイクは世界遺産にも指定されている所でもある。
このオランダには、1920年から建設を開始したポルダー堤防があり、約12年の歳月をかけて高さ海抜7.25m、幅90m、長さ32kmの大堤防が1932年に完成している。この大堤防はゾイデル海をせき止め、アイセル湖という淡水湖を作り、その内部に干拓地を作ったのである。オランダは低地故に常に海水流入の恐怖に脅かされているため、海水から国土を守るための国民の意識がきわめて高い。水との闘い、それが多くの協調精神を生み出しているように思える。
水に関連してこんな実話がある。『堤防の裂け目から海水が漏れているのを見つけた少年が一晩中その裂け目に指を入れて、堤防の決壊を防いだ』というエピソードである。
この少年は、決壊を防ぐために必死になって対応したものの悲しいかな凍死してしまった。しかし、その行為は今もってオランダに語り継がれているのである。
このように干拓の実施と相まって、危機感や協調精神といったことが、治水技術や堤防築造技術への発展をもたらしたのである。
実は、日本でも干拓は実施されている。琵琶湖に次いで日本で2番目の広さだった秋田県の八郎潟は、干拓された場所としても知られる。
1952年7月、秋田県庁に八郎潟干拓調査事務所が発足し、干拓の計画づくりが開始された。調査計画には、干拓で知られるオランダから支援をオランダ・デルフト工科大学のヤンセン教授とフォルカー技師にあおぎ、1954年の世界銀行、1955年の国際連合食糧農業機構FAO調査団が調査した結果、干拓事業の有用性が内外に認められるに至った。1956年に農林省がオランダの協力を得て、今の大潟村を作るための計画案が完成した。
第2次大戦後の食糧増産を目的として、1957年に干拓工事が開始された。大潟村の干拓にあたっては日本海の海水が八郎潟に入るのを防ぐためにまず防潮水門を築き、次に、湖の中にぐるりと堤防を築いて排水機場も作った。堤防用の石を採石するために、八郎潟町の山が一つなくなるほどであったという。1963年に堤防や排水機場などができてから、堤防で囲まれた中の水を排出し、2年後の1965年、すべての水を排出し、八郎潟の底だった所が15,600ヘクタールの陸地になった。
大潟村は干拓した土地にあるため、オランダと同様、水面より下に位置し、堤防の総延長52kmの長さにもなるという。
防潮水門は海水が湖に入ってくるのを防ぎ、湖の水が海面より高くなるように調整されている。JR男鹿線の船越駅付近で、この防潮水門を見ることができる。
1964年9月15日に『干拓式』と題する式典を、吉武恵市自治大臣、赤城宗徳農林大臣、小畑勇二郎秋田県知事らを招いて開催したのち、10月1日に秋田県で69番目の自治体として『大潟村』が発足した。干拓後、村の名前は最初は書類上、仮に『八郎潟村』となっていたが、全国から1,612通の応募があり、結果的には『大潟村』に決まった経緯がある。
干拓工事によってできあがった土地に、全国から公募された入植者は、北は北海道から南は沖縄まで、全国38の都道県から集まった589戸の農家の人々からなり、造成地に入植を開始したのが1967年からで、全事業は1977年に竣工した。
約852億円の費用を投じて造成された干拓地は、実に20年の歳月を費やして完成したのである。
この干拓された八郎潟のすぐ近くに『寒風山パノラマライン』と『なまはげライン』の道路があり、男鹿半島にある男鹿温泉郷経由して突端に行くと入道崎の観光スポットにたどり着く。
この地は青空を背景に紺碧の海があり、日本灯台50選に選ばれた入道崎灯台もある。この灯台をバックに日本海に沈む夕陽を見ることもできる絶好の場所でもある。
この入道崎灯台の近くに北緯40°のモニュメントがあり、西側に延長していくと『北京』、トルコの『アンカラ』へ。東側に延長していくと、岩手県の『葛巻』、そして、アメリカの『ニューヨーク』、スペインの『マドリッド』が線上近くに並ぶ。
この北緯40°線上近くに並ぶ『葛巻』は山間部にありながら、東北一の酪農郷としても知られていて、同時に袖山高原風力発電所や上外川高原風力発電所やくずまき高原牧場には糞尿を活用したバイオマスガス発電などもある。
これは葛巻町が実践している「北緯40度 ミルクとワインとクリーンエネルギーの町」というキャッチフレーズの下に、デンマークを参考にして風力発電所等を設置してクリーンエネルギー化を図った結果でもある。
『干拓』と関連して、オランダを象徴するもう一つの『風車』が、この岩手の葛巻の高原に存在するというのも不思議な縁でもある。
北緯40°線上に位置する秋田の大潟と岩手の葛巻が欧州のオランダやデンマークにそれぞれが関連していることが当地に訪問して深く学んだことでもある。
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