東京から南へ約1,000km離れた太平洋上に位置するのが小笠原諸島である。
『父島』『母島』『兄島』『西島』『南島』など約30の島々からなり、この地は大陸と一度も陸続きになったことのない場所でもある。
この島には空港がなく、渡島には、船しか交通手段がない。東京の竹島桟橋から出航する定期船『おがさわら丸』のみである。しかも、25時間半の船旅になるという途方もない距離にある。船旅を好む人にはちょうど良いかもしれないが、実に長い時間である。
この父島に約2,000人、母島に約450人が住んでおり、約2,500名の人口の島でもある。
日本最東端の南鳥島、最南端の沖ノ島島などを含めた島々が東京都の小笠原村に所属する。緯度はなんと沖縄とほぼ同じ位置にあり、この地は亜熱帯に属する。南洋の島といった感じでもある。
気候は亜熱帯海洋性気候で、四季温暖多湿で年間平均気温はなんと23℃であり、快適な温度でもある。実に気持ちよく過ごせる島でリゾート地としては申し分のない場所でもある。冬季でも18℃で、当然ながら雪や霜などをみることのない島である。
さて、この遠方にある小笠原諸島は、1593年、信州深志(長野県松本市)城主の小笠原長時の孫・貞頼が発見したと伝えられている。よくもまあ、こんな場所を見つけたものだと思う。
そして1830年(安政7年)までは無人島で、最初に小笠原の島に住んだのは5名の欧米人とハワイを主とする太平洋諸島民であったという。
その後、日本から本格的な移民が始まり、1876年になって明治政府が開拓団を移住させたことにより日本の領土として認めれた経緯がある。戦前はサイパンなど南洋諸島への中継基地として重要な役割を果たしたという。 太平洋戦争末期の1944年には多くの島民が本土へ強制疎開させられ、第2次世界大戦後は米国の占領下に置かれ、戦後も一部の欧米系島民を除いて島に戻ることができなかった。
そして1968年6月に23年ぶりに日本に返還され、島民の帰島が実現した。1979年には村政が確立され、現在まで自然との共生を目指した村づくりが続けられている。 先にも述べたように、小笠原諸島は、大陸と一度も陸続きになったことがないため、海を越えて辿り着いた生き物は、独自の進化を遂げた。
この島には、固有のシダ植物が多く、カタツムリなど陸産貝類は、生息する106種類のうち100種類が固有種であり、さらにオガサワラオオコウモリやクロアシアホウドリなど国際自然保護連合(IUCN)の希少種リストに掲載されている57種類が生息する場所でもある。
つまり、小笠原の島にしかいない固有の生き物の割合が高く、植物で36%、昆虫類で28%、陸産貝類では94%にもなるという特別な環境をもった島なのである。
実に貴重な場所である。生物が独自に進化を遂げたことから『東洋のガラパコス』とも呼ばれている。エクアドルから西に約900km離れた太平洋上にガラパコス島があり、この島も独特の進化をとげた。
日本の携帯電話が日本のみでしか通用しなかったことから『ガラパコス化』と称されたのも、ガラパコス島にしか生存しない動植物からきている。小笠原諸島も同じような運命をたどってきたようだ。
この小笠原諸島は2011年6月24日、世界遺産委員会で世界遺産として登録することが決定された。
素晴らしい自然をもつ小笠原諸島は生態系の価値をもつ、ということが認められての登録となった。国内の自然遺産は、屋久島(鹿児島)、白神産地(青森・秋田)、知床(北海道)に次ぐ4件目の登録となった。
小笠原諸島が世界遺産に登録されるきっかけは、実は、2003年に環境省・林野庁が小笠原諸島が世界自然遺産候補地として選定したことから始まる。
その後、2007年には、ユネスコ世界遺産センターへ暫定リストへの登録を提出し、2010年に推薦書類を提出した結果、国際自然保護連合による現地調査が開始された。推薦書類を提出して半年後のことである。そして2011年6月に第35回世界遺産委員会にて小笠原諸島が世界自然遺産登録が決定されたのである。
小笠原は海によって隔てられた小さな島でもあり、その島で独自の進化を遂げた固有の生き物がいる点では、大きな価値があり、それらが認知されたものと思う。
たとえば、オトメカタマイマイの固有種、アカガシラカラスバトの固有亜種などが典型である。ここで問題となっているのが、人を介して他の土地からもち込まれた外来種の存在である。たとえば外来種のトカゲの一種、グリーンアノールや野生化したやぎなどが生息し、生態系が脅かされている。これらの駆除しなければならない問題が一方である。
外来種の進入を防ぐために、島にきた人達は下船時、靴底の泥や服・かばんに種や虫などが付着していないかを確認した上での上陸することになる。水際作戦が重要なのである。
ボランティアによって外来植物の駆除も実施されるとともに、飼い猫の適正飼育のためにはマイクロチップの装着が義務付けされている。
さらに外来種の野やぎ、野良猫を防ぐために侵入防止柵も設置されて厳しく管理されている。
小笠原諸島は、太平洋プレートとフィリピン海プレートのプレート同士のぶつかり合いと、その後の沈み込みの初期段階から現在に至るまでの地質的な成長過程を、陸上に露出した岩石や地層の中に記録している姿から観察することができる場所でもある。
実に多くの世界遺産に相応しいものが、この島に存在するのである。長時間の船旅になるものの一度は訪問して自分の目で確かめてみたい島でもある。
世界遺産に認知されて以来、訪問客が増え、小笠原諸島の活性化に繋がればと思うのは筆者のみではないかと思う。
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