【1】はじめに
中国には実にさまざまな工場がある。
日系企業と取り引きをしている工場の中には、当初は欧米などからの設備導入や技術指導を受け、日系工場とさほど変わらない環境であったものの、かなりの経験を積み、また自国向けの製造の兼ね合いもあることから、自社の品質基準に合わせて製造をするようになったというところもある。
そのような工場に限ったことではなく、鉛はんだを使用していた頃はさほど問題なく作業ができていたものが、鉛フリーはんだに切り替わったことでその対応が十分でなかったりするところも多い。特に中小の工場では、いまだ基本的な品質や技術に対する理解が不足している。
特に、リフロー関係では、装置が揃えばある程度は実装はできるが、問題が潜在化してしまうことが多く、いざ不具合が起こった場合にも自社での対応ができないという状態が見受けられる。
中国のローカルメーカーでも、重要部品・基板については日系企業に下請けに出している例もあり、その関連の仕事を受けている日系工場は稼働率も高いようである。
量産品に関しては、その出荷基準を、出荷先によって“差”を設けている場合もあるようであるが、いちがいにそのことの善し悪しを断ずることはできない。これは、LEDやはんだ(粉末の粒度分布で価格差がある)についても行われているようであり、また中国企業に限定される話ではない。
【2】ローカルの工場を見分ける
ローカルの工場選びについては、トップと現場の技術に対する熱意が揃わなければ、スタートはともかく、量産時に問題を抱えてしまいかねず、そうなるとコストメリットは出づらいものである。
たしかに、設備投資においては日本の半分以下で可能であると推測できるので、減価償却の負担が軽く、また特に品質に関する概念の違いから、検査工程以下の投資負担も非常に軽いという状況であり、コスト競争には強い(ローカル工場ではライン際に実態顕微鏡すらない工場がかなり見受けられる)。
さて、1億円で10年間の稼動が保証される設備と、3,000万?5,000万円で3?4年しか使えない設備で、製造された製品の品質(市場が必要とされる品質)にコストほどの差がないとしたら、どちらが得であるだろうか。
その結論は、『市場を見て判断するべきもの』で、ただ単に長く保証される設備が必ずしも良いということにはならない。いろいろな問題を抱えてはいるものの、安い設備投資で早く経費を回収し、経営を拡大させているというのが現状である。
最近の大手は競合する場面も見られるのと、さらなるコスト低減を求めて、このような中小の工場に製造を依頼する(特に小ロット品は大手の工場では受けてもらえないため)メーカーが増えている。
発注元が、受け入れ時の品質検査と現場での改善指導を徹底している場合は特に問題はないが、それでも国内で受け入れてから問題を発見するようなことになってしまっては、双方にとってメリットはない。
この現象は日本国内でも見られるもので、委託する側に実装に関する技術がなければ、受託先の言いなりになってしまい、品質・コスト問題を抱えるなどなかなか改善されないものである。
ただ、そのような現場であっても、技術者個人個人は、それぞれの目標ももっているなど、大変熱心で、筆者がローカルの工場の現場指導に入ると、毎回夜遅くまで付き合わされている。
そんな非常にダイナミックな個人を見るにつけて、組織と個人は別であることを感じさせられるのである。
【3】シンセンの“携帯”ビル
なお、写真1?4に示すのは、シンセンにある、携帯電話のあらゆる部品や基板を集積したビルである。
完成品や修理、加工及び部品・基板の売買などが行われており、中国のダイナミズムを感じさせる建物であった。
写真1 個人客や遠方からのバイヤーと思われる人たちが交渉中、で完成品を品定め中。
写真2 1人か2人しか入ることができない、畳1枚程度の空間で比較的若い人が商売をしている。運送屋もここから直接発送や搬入をしている。
写真3 この建物の各フロアの端から端まで(4階まで!)、写真のように空間が駒分けされている。裏側の建物では渡り廊下で繋がって同じように商売をしている。部品は、はんだが付着したままの物もあれば、新品のリ—ルに巻かれた物もある。FPCや電池・液晶などすべての部品も同様で、基板は部品を取り外され、ゴムバンドで束にされて積み重ねられている物と実装された物が束になっている。ちなみに、はんだこて先は10元、手作業用のメタルマスクが1枚5元だった。
写真4 ケースの下に部品がビニール袋に入れられている。客が持参した携帯電話のBGAを手作業でリペアー中で、客の目の前で修理している。なお、メーカーごとに修理する業者(?)は異なっている。グラインダで筺体を削り、磨いて、歪みを直し組み立てている者もいる。
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