2011年3月11日の東日本大震災は、東北地方に壊滅的な被害をもたらした。特に津波の影響は大きく、農 林水産省によると、岩手、宮城、福島の3県で被災した農地は計2.17万 ヘクタールに上り、その大部分が水田だという。特に水田は塩害によって作付けしても立ち枯れてしまうといった問題がある。また津波のみならず、地震による 地盤沈下で塩分を含んだ地下水の水位が上昇しているという。さらに、防潮堤の損壊によって農業用水を引いている北上川にも海水が逆流していることなども塩 害の原因となっている。米作りの農家にとっては、収穫期の秋といっても、塩害の影響で思うような収穫を実現できておらず、苦悩の秋、となっているのであ る。
東日本大震災で被災した仙台市荒浜地区と名取市では今、『東北コットンプロジェクト』が進行中である。このプロジェクトは農業生産組合・農業法人とアパレ ル関連会社の共同のプロジェクトとして発足したもので、綿の栽培、紡績、商品化、販売を一貫してサポートし、被災地の復興を目指す、というものであり、す でに参加企業は50社を超えている。
塩害などによって稲作ができなくなった農地の救済する方法として考えられたのが綿花の栽培である。綿花は耕作地の塩分率が& lt;span lang="EN-US">1.5%でも育つそうだ。一方、稲は0.2%以上の塩分率だと育たない。被災地の塩分率は0.8?1%であるので、当然ながら稲には不向きの農地となってしまっている。
また綿花は、地中の塩分を吸収し、窒素などの植物に不可欠な養分を土の中に蓄える特徴をもっている。つまり、綿花を植えること によって土地の再生にもなる一石二鳥の取り組みなのである。
この『東北コットンプロジェクト』が発足したのは、綿花の先生ともいわれる近藤健一氏が、東日本大震災から数日後、フランスのニースから商談の帰途に、飛 行機の窓から東北の沿岸部が茶色に変わり果てていた様子を見て、塩害農地を救済する方法として綿花の栽培を思いついたのがきっかけであるとい う。
- 会社名
- Gichoビジネスコミュニケーションズ株式会社
- 所在地
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