はじめに
従来からフレキシブル基板(以下、FPC)は、リジット基板に比べ、薄い・軽い・柔軟性があるなどの特徴を有することから、携帯電子機器への採用が活発化している。最近の傾向でいえば、携帯電話・スマートフォン・デジタルオーディオプレーヤ・ビデオカメラ・ハードディスクなど様々な製品の内部で、FPCの特徴を活かして、多くのFPCが使用されている。
電子機器内部での利用方法としてみた場合、リジット基板と比べ大きく異なる点は、リジット基板では多くの電子部品を実装するメイン基板としての利用が一般的だが、FPCはポイントtoポイントを自由自在に折り曲げて接続するといった利用法がほとんどとなっている。
ただし、液晶表示板の裏面に設置されているバックライト用FPCにはLEDが実装され、各種LCD用として現在では大量のFPCが使用されている。
FPCのすぐれた特性を活かし、多くの電子機器内での利用が拡大することで、より良い電子機器の出現を願って、本稿ではまず当社(CST)のご紹介を行い、次に装置開発者がよくいわれる、「FPCを使いたいが価格が高い」という不安を解消していただくために、リジット基板とは違い、より繊細な製造工程で製造していることを理解していただくという意味から、FPCの製造工程について書き、その後、韓国におけるFPC技術と今後の展望について述べる。
CST社の紹介とFPCの製造工程
1.CST社とは
CST社は、2002年3月に韓国の仁川(インチョン)にFPC製造を目的として設立した会社である。設立当初から、韓国国内はもとより、日本のお客様と携帯電話用バックライトに使われるFPCの取引を開始し、高品質なFPCの生産体制の確立を実現でき、現在に至っている。
当社が他の韓国FPCメーカーと異なる点としては、設立から2年後の2004年5月に韓国国内に自社で製造したFPCに部品実装を行なう会社を設立し、さらに2007、2008年には、中国の深?と常熟に各1社を設立し、韓国と同様中国国内でも部品実装が行える環境を整えている。
当社の全従業員数は2011年度で538名でFPCの生産量は月産35Km2となっている。今後はさらなる増産体制整えるべく、2012年度には人員・設備の拡張を図り、FPCの月間生産量を50Km2に拡大することを目指し、増産体制の拡充を行なっている。
2.FPCの製造工程
FPCは古くから利用されている基板ではあるが、その工程を理解している装置開発者は少ないと思われるので、以下にFPCの製造工程について、自社での製造状況の写真を含めて紹介する。
FPCの製造方法としては、大きく分けて二つの方法がある。一つは、ロール状で供給されている原材料を自社で規定した定尺サイズにカットし、それを用いて製造する方法(ワークシート法)。もう一つは、原材料そのままをロール状で使用して製造する方法(Roll to Roll法)である。
当社では、前者のワークシート法のみのでの製造を行なっているので、ここではワークシート法を用いた両面FPC(金めっき端子付き)の製造工程について紹介する(図1)。
図1 製造工程図
写真1 穴あけ
写真2 銅めっき
写真3 露光・現像
写真4 エッチング
写真5 仮接着
- 会社名
- CST(株)
- 所在地
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