ブックタイトルメカトロニクス8月号2021年

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概要

メカトロニクス8月号2021年

MECHATRONICS 2021.8 ??3日本の産業構造の変化にともなう電子機器分野の話題商品を追う第38回 <話題商品を作った電気・電子機器メーカーのルーツ(その2)>されたのが「Fujisawaサスティナブル・スマートタウン」である。約1、000 世帯の約3,000 人が住むタウンに変身したのである。2-1-3. シャープ 早川徳次が「徳尾錠」というベルトのバックルを考案して、大量受注をきっかけに、1912 年に独立開業したのが始まりである(表3)(写真6)。 1915 年には独創的な芯の繰出し装置を発明し、美しく、使いやすく、しかも堅牢な文具として完成させ、早川式操出鉛筆と名付け売り出した。改良した極細芯の新商品の名称は「エバー・レディ・シャープ・ペンシル」とつけ、以降、単にシャープペンシルと言われるようになった。これが社名「シャープ」の由来である。 1925年には、国産第1号の鉱石ラジオを販売し、さらに1952 年末には、国産第1 号のテレビも商品化して発売し、1953 年には他社に先駆け量産を開始した。価格は175,000 円、当時の初任給が高卒で5,400円の時代であったので初任給の約32 倍もする高価な製品であった。 1942 年に早川電機工業株式会社に、そして1970 年にシャープ株式会社に社名変更している。 電卓では卓上型を販売し、その後、多くの企業が電卓ビジネスに参入し、電卓戦争が始まった(写真7)。 液晶電卓や液晶ビューカム(カメラ一体型VTR)などを商品化し、液晶ビジネスに傾倒し、液晶を軸として製品化作りに進む。工場名にちなむ亀山モデルは液晶テレビで名を馳せたことで有名である。携帯電話ビジネスでも写メールで一世を風靡し、2005~2011 年まではトップシェアを維持していた。しかし、液晶に賭けた一本足経営が仇となり、2012 年に経営危機となる。2016 年には台湾の鴻海精密工業に買収され、日本の大手電機メーカーとしては初の外資傘下の企業となる。 また、東芝のパソコン事業のDynabookが同じく鴻海精密工業に売却され、Dynabookは2020 年にシャープの傘下となった。2-1-4. 三洋電機 社名の「三洋電機」は、世界を意味する。つまり、「太平洋」、「大西洋」、「インド洋」に売りまくろうということで、創業者が提案して、この名に決定した。また、三洋の「三」は経営にとって最も大切な、「人間」、「技術」、「サービス」の3つをも意味することに、1961年に開かれた第1回経営方針発表会で決定された(表4)。 松下電器産業株式会社の専務取締役を辞した井植歳男(松下幸之助氏の義弟)の個人経営で三洋電機製作所設立し、1947年に自転車用発電ランプの開発からスタートし製造に乗り出したのである。「ナショナル」ブランドが使われているのは、創業者である井植歳男が戦後GHQの公職追放措置に伴い松下電器を退社した際に、はなむけとして自転車用発電ランプの製造権と商標の使用権を譲り受けたと言われている(写真8)。 1950年に三洋電機の社名となり、その後、独創的なラジオを開発、また、電気洗濯機の開発で電機業界に参入した。噴流式洗濯機を1953年に商品化して大ヒットし、一躍有名になった(写真9)。 充電可能なニッケルカドミウム電池に参入したのが1963 年のことで、国内生産は三洋電機が最初であった。家電の黄金期には、テレビや洗濯機を年間100 万台生産する大企業に成長し、白物家電を得意とした総合家電メーカーである。しかし、経営不振となり、2009年にパナソニックの子会社となり、2011 年には家電事業を中国のハイアールに売却されSANYO のブランドは残念ながら消滅した。2-1-5. LG電子 LG 電子の略史を紹介すると先ずLGはLucky-Goldstar の略から由来している。元々、1958 年の創業当時は「金星社」(Goldstar)という社名で、ラッキー社と金星社と経営統合して1995年に誕生したブランドで社名をLG 電子に変更した(表5)。2008年6月には韓国や中国・台湾以外の社名を、LGエレクトロニクスに変更している。 テレビ、洗濯機、冷蔵庫、エアコン、モバイルデバイス、デジタルサイネージ、車載用機器などを製造する韓国のサムソンに次ぐ大手家電メーカーである。 LG 電子での話題商品は、2012 年6 月に開催された国際情報ディスプレイ学会(SID=TheSociety for Information Display)で55インチ3D有機ELテレビが展示され、世界から注目された(写真10)。そして2013 年、55インチの有機ELテレビを発売した。 また、2015 年11 月には曲面型有機ELテレビを市場に投入、最初のメーカーとなった(写真11)。2-1-6. ハイアール ハイアールは1984 年、中国の山東省青島で創業した家電メーカーである(表6)。初期のハイアールは、西ドイツの会社と技術提携し、冷蔵庫でその業績を伸ばしたことで知られる。現在は、冷蔵庫からエアコン、洗濯機、調理家電等の白物家電、パソコン等を生産・販売している。世界165ヶ国以上で生産・販売しており、上海市場と香港市場に上場している。2011 年に三洋電機の白物家電事業を買収している。さらに2016 年にはゼネラル・エレクトリック(GE)の家電部門を買収し、2016年の全世界での売上高は、約3.3 兆円まで成長した。<参考資料>1)各社のホームページ&プレスリリース会社名三洋電機株式会社創 業1946 年本社所在地大阪府守口市売上高1.6 兆円(2009年)(2009 年度最終決算)従業員数約10 万人表4 三洋電機の概要会社名シャープ株式会社創 業1912 年本社所在地大阪市阿倍野区売上高2.4 兆円(2020年)従業員数5 万人(2020年)表3 シャープの概要写真8 発電ランプ1号機(47型)ナショナルの商標で発売/三洋電機製作所写真7 電卓(CS2A/早川電機工業)写真6 バックル(徳尾錠)写真5 Fujisawa Sustainable Smart Town会社名LG電子創 業1958 年本社所在地大韓民国・ソウル売上高560億ドル(6.2兆円)(2020 年)従業員数約 7.6万人(2020年)表5 LG電子の概要写真9 電気洗濯機(SW-53/三洋電機)会社名ハイアール創 業1984 年本社所在地中国山東省青島売上高2007.6億元(3.4 兆円)(2019年)従業員数約6 万人(2019年)表6 ハイアールの概要写真1055型3D有機ELテレビ写真11曲面型有機ELテレビ