ブックタイトルメカトロニクス6月号2021年

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概要

メカトロニクス6月号2021年

42 MECHATRONICS 2021.6第36回 <展示会で登場した話題商品> 今回は各国で開催される代表的な展示会について紹介したい。展示会に向けで各企業は話題商品を狙っての新製品を開発して、そのお披露目を展示会で実施する。エレクトロニクス関連の代表的な展示会の例として米国、欧州、日本の3 個所の例を紹介する。1. 米国 第1 回のCESは1967 年6月にニューヨークで開催された。CESは世界最大級の業界向けのテクノロジー見本市で、一般への公開はされていない。全米民生技術協会(CTA=Consumer TecnologyAssociation)が主催し、今は毎年1月に米国・ラスベガスで開催している。 展示会には多くの新製品の出展のみならず、プロトタイプ(試作品)も展示される。当初から長らく名称は“Consumer Electronics Show” の位置付けで、その略号の“CES”を使っていた。 しかし、現在、CESではConsumer ElectronicsShowとして紹介しないように注意事項が記載されている。展示内容が変わってきたための背景があるからだと推察している。 1978~1994 年までCESは、ラスベガスで1月に開催されるWinter Consumer ElectronicsShow(WCES)とシカゴで6 月に開催されていたSummer Consumer Electronics Show(SCES)の年に2 回開催されていたもので、元々、家電製品主体の展示会であった。 1995 年からラスベガスで1 月に年に1 回だけ開催されるようになった。この展示会はラスベガスでも最大規模の見本市の1つともなっている。 ラスベガスと言えばカジノで有名な場所である。ロスアンゼルスから飛行機で、約50分程度で行ける砂漠の地に忽然として賭博場ができたのがラスベガスである。空港につけば、空港内にもスロットマシンが置いてあり、ラスベガス空港に到着すると既に違った場所であることが雰囲気で分かる。そして街に入ればカジノホテルが立ち並び、家族連れのリゾート地にもなっている。 砂漠のラスベガスの一角には、これといった産業もなく賭博の街としてできた経緯を考えれば当然かもしれない。 リゾート地のみではなく、ビジネスも出来るように、ここは、展示会や国際会議が開催できるようにホテルには大きなコンベンションセンターを設けて、インフラを整備したことによって展示会や会議の開催が可能であり、ホテル側にとっては宿泊客を集客することができるのである。特定非営利活動法人 日本環境技術推進機構 青木 正光 実にうまい方法を考え出したものである。そのため米国で開催されるエレクトロニクス関係の展示会で、ラスベガスで開催されるものに表1 のようなものがある。多少の変動はあるもののラスベガスは展示会場として重要な位置付けにある。 現在のCESは自動運転などの新たな分野やスタートアップ等も参入し、世界最大のテクノロジーの祭典として位置づけられている。民生電子機器のオンパレードであったCESも、時代とともに展示内容が少しずつ変化していった。 1970 年以降、CESで展示された主な展示品を示すと表2 のようになる。 「CES 2021」は、新型コロナウイルスの収束が見えないため2021年1月11日(月曜)~14日(木曜)に完全オンラインで開催された展示会となった。 前年の「CES 2020」には世界約160ヵ国から約18 万人が訪れ、約4,600 社の出展企業により20,000 以上の新製品・サービスが登場した(写真1)。 バーチャル開催となった世界最大級の家電見本市「CES 2021」は、実物の製品には実際に触れることはできない状態ではあったが、初のバーチャル開催も閉幕した。 さて、2000 年代前半までは日本のエレクトロニクス各社の米国CESでの出展内容には、「世界初」とか「世界最大」といった新製品が並び、勢いがあった。世界に先駆けて液晶テレビの市場をひらき、毎年のように世界最大と称する液晶テレビをCESにもち込んだ。2. 欧州 ドイツは各都市で展示会ビジネスを展開している国であり、都市ごとに目玉の展示会を保有している。 例えば、ハノーバーはエレクトロニクス関係の展示会「ハノーバーメッセ」(写真2)、フランクフルトが自動車関係の展示会「フランクフルト・モーターショー」、ケルンがカメラ関係の展示会「フォトキナ」、デュセルドルフはプラスチック関係の展示会「K」などを開催し年度主な展示品と出来事1970年ビデオテープレコーダ1974年レーザディスクプレイヤ1975年家庭用ポンゲーム機(アタリ)1981年カムコーダ1981年コンパクトディスク(CD)プレイヤ1982年コモドール641985年ファミリーコンピュータ1991年CD-i1995年バーチャルボーイ1996年DVD1998年HDTV1999年ハードディスクレコーダ2000年SDカードの普及団体を結成(東芝/松下電器産業)、プラズマディスプレイ搭載壁掛けテレビ(パイオニア)2001年家庭用ゲーム機「Xbox」(Microsoft)2002年有機ELディスプレイ試作機(三洋電機)、携帯情報端末「ザウルス」展示(シャープ)2004年デジタルカメラ(ソニー)、世界最大45インチ液晶テレビ(シャープ)、ブルーレイディスク規格作成(ソニー・松下電器)2005年世界初のHD-DVDプレイヤ試作機(東芝)、世界最大65インチ液晶テレビ(シャ ープ)2006年世界最大103インチプラズマテレビ(松下電器)2007年世界最大108インチ液晶テレビ(シャープ)、厚さ3mmの11インチ& 厚さ10mmの27インチの世界初の有機ELテレビ(ソニー)2008年薄さ9mm の50型プラズマテレビ(パイオニア)、薄さ9mm の50型プラズマテレビ(パイオニア)2009年アマゾンの動画配信対応テレビ(東芝)2010年世界最高変換効率の化合物代用電池(シャープ)、3Dテレビ展示(東芝、ソニー、パナソニック、JVC ケンウッド)2011年電子書籍端末(シャープ)2012年マイクロLEDディスプレイ(ソニー)2013年IGZO搭載スマートフォン(シャープ)、4K 対応放送機器(ソニー)2014年スマートフォンを展示の中心にする(ソニー)2015年燃料電池車の特許公開(トヨタ自動車)2016年高速プロジェクションマッピング(パナソニック)、フォードと車載機器に関する技術開発協力で合意(トヨタ)2017年画面から音声が出る有機ELテレビ(ソニー)2018年自動運転EV「イーパレット」のコンセプトカー(トヨタ)、犬型ロボット「aibo」(ソニー)2019年自動運転の新型実験車(トヨタ)、鴻海傘下で4 年ぶりに出展(シャープ)、空飛ぶトラック(ヤマトホールディングス)2020年自動運転のEV 試作(ソニー)、スマートフォンで呼ぶ走るトイレ(TOTO)開催月 場所展示会名1月ラスベガスCES 国際民生電子展4月 NAB 放送機器展5月INTEROP Las Vegas IT インフラ・ネットワーキング技術展10月PMA 写真・映像技術展表1 ラスベガスで開催されるエレクトロニクス関係の主な展示会表2 CESで展示された主な展示品