ブックタイトルメカトロニクス12月2020年

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概要

メカトロニクス12月2020年

MECHATRONICS 2020.12 11出成形機向けの市場を見据え、関連するアイテムを色々と探していました。 このような取り組みの中で、金型交換装置の開発/設計/製造を行うニチエツ株式会社と協業をスタートさせています。実は同社の中村社長とは、同氏が以前に他の会社に勤めていた際、同氏が発案したある生産システムの開発にあたって弊社と協力したことがあり、それが縁で今回の協業に繋がっています。 また当社は、先程お話しした“factor4”に貢献できる技術を市場で見つけて協業を提案し、自社技術と併せてソリューション活動を行ってきました。今回のニチエツ社製の金型交換装置も、開発の段階から我々の要望を踏まえて中村社長と議論を重ねていき、製品化を実現してきた経緯があります。 市場の概要などについては、中村社長からもご説明していただきたいと思います。中村 : 弊社は成形工場関連のロボットを開発/製造する企業として、創業3 年目をむかえるメーカーです。 ご存じの通り、プラスチック射出成形機は金型を交換することで、様々な部品(成形品)を生産することが可能です。身の回りのさまざまな製品に成形品が使用されており、成形品の品質やコストは、製品の品質や機能、価格に直結するため、成形工場では顧客や経営層から常に高いレベルの品質/コスト/納期を実現することが求められています。 しかし、グローバル化に伴う大ロット生産の海外移転や、消費者ニーズの多様化により、多品種少量生産の流れが加速され、成形工場での生産は複雑化し、顧客満足を高めることは容易ではありません。また、日本国内のみならず新興国においても人材不足は加速しているため、働き方改革と生産性向上を同時に実現させる必要があります。 ところで、私達が考える理想的なプラスチック成形工場は、「無理のない働き方で、成形工場が効率的に運営されている」、「成形機が高い稼働率を維持している」、「生産上の課題に対して改善が絶え間なく進められている」という3つのポイントを達成している必要があると考えています。 しかし、成形工場では生産そのものは成形機と取り出しロボットが行っているものの、その他の業務はあまり自動化されていないため、作業者の方は仕事に追われ、生産は止まりがちとなり、大きな問題には取り組む一方で、地道な改善活動が進んでいない成形工場が多いのではないかと考えています。 作業者の方にとって特に負担となるのは、プラスチック射出成形機に取り付けられた金型を交換する作業、いわゆる段取り替え作業です。 一般的に金型交換は床上クレーンなどを使用して行いますが、金型は重量物であるため作業には時間がかかり、重労働で危険も伴います。当然、この金型交換作業中には生産が止まりますが、現場が多忙なために、金型交換待ちで成形機を長時間止めたままにしておくことや、成形機への指示出しが遅れて、成形品を多く作り過ぎてしまうことがあります。 段取り替えには手間がかかる上、金型交換時に金型が成形機に精度良く取り付けられていないと、不良発生の原因にもなるため、一般的に工場では段取り替えをあまりせず、できる限り生産ロットを大きくしがちですが、これは近年の多品種少量生産の流れに相容れません。 このような成形工場の課題に対し、当社の開発した金型交換装置を導入していただくことにより、金型交換に必要な工数を半減し、段取り替え時間を短縮することで、生産量を向上することが可能になります。 今回発売された金型交換装置の概要な どについてお聞かせください中村 : 段取り替えには、機械を止めて行う内段取りと機械を止めない外段取りの2種類がありますが、弊社の金型交換装置を使用いただくことで、段取り替えに必要な作業の大部分が外段取り化され、機械を止めてから行う内段取り作業が大幅に削減されます。 具体的な段取り替え作業としては、次に使用する金型を金型交換装置の上に設置したうえで数個のボルトを使って固定し、冷却ホースを金型に接続して予備温調を行い、金型を成形機に搬入するための条件を呼び出しておきます。 これらの作業は成形機を止める必要がないため(外段取り)、作業者の都合に合わせて、いつでも実施しておくことが可能です。 生産を切り替える際には、ごく短時間で次の金型を成形機に取り付けることができますが、この操作は安全でクレーンなども使用しないことから、夜間など人手が不足しているときでも、生産切り替えが容易になります。 従来の段取り替えでは成形機を止めてからほとんどの作業を行う必要があったため、生産状況に人が合わせて働く必要があり、作業者に大きな負担をかけている場合がありました。弊社装置では外段取り化によって、作業者の負担を大きく減らすことが可能となるため、「働き方改革」に非常に有効であると考えています。 お客様の工場の状況により効果は異なりますが、弊社の試算では、内段取り/外段取りも含めた工数は1/2程度となり、成形機停止時間は1/3程度にもなります。内段取りの時間が短くなることで、成形機が停止した状態で放置されることも減り、工場全体の稼働率も大きく上昇します。 弊社では現在、両側式モデルの金型交換装置を製造しており、500トンクラスまでのプラスチック射出成形機をターゲットにラインアップを拡充しています(写真1)。また、片側式モデルについても現在開発中で、来年早々にはリリースしたいと思っています(写真2)。 今後の展開についてお聞かせください川口 : 今回の金型交換装置については、11月18日(水)~11月20日(金)までの予定で開催される『IPF Japan 2020(国際プラスチックフェア)』のバーチャル展示会でお披露目をする予定です。 また、「働き方改革」への取り組みについても、コロナ禍の影響で色々と活動が制限される部分もありましたが、6 月からスタートしたWEBを活用した当社の技術セミナーで手応えを感じており、事業活動の活性化に繋げていきたいと考えています。 さらに、今年の4 月に“factor4” への取り組みを体験できる施設『factor4 tech-studios』をリニューアルオープンしており(写真3)、この体験型スタジオを活用して“factor4”に賛同いただけるパートナー企業と共に、取り扱うアイテムをどんどん増やして行きたいと考えています。スタジオ内には、様々な製品が設置されており、ただ展示しているだけではなく、実際に稼働できる状態にセットアップされています(写真4)。 お越しいただくには、事前のご予約が必要になりますが、実際にお客様が抱えられている課題に向き合える実体験の場になっていますし、実際にお越しいただかなくても「バーチャル見学コース」もありますので、是非ご体験していただきたいと思っています。本日はお忙しい中ありがとうございました。所在地 :U R L :事業内容 :大阪市中央区https://matsui.netプラスチック成形用合理化機器/システムの製造販売(金型温度調節機、樹脂乾燥機、輸送機、配合機、粉砕機&リサイクル機器、他)。株式会社 松井製作所・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・写真4 『factor4 tech-studios』内の製品群写真3 “factor4”への取り組みを紹介するリニューアルオープンした『factor4 tech-studios』