ブックタイトルメカトロニクス11月号2019年

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概要

メカトロニクス11月号2019年

MECHATRONICS 2019.11 51日本の産業構造の変化にともなう電子機器分野の話題商品を追う第17回 <垂直統合と水平分業 ?>化していった(図3)。部品の一括購入により大量調達によるコスト低減が可能となり、実装の製造請負として日本でも活用されるようになった。日本のEMSは、独立系、商社系、自社ブランド系、プリント配線板系などが存在する。 さらに進化して、システム設計や実装設計まで踏み込んで実施する企業もあり、これらを請け負うOriginal Design Manufacturingが存在するようになり、ODMと言われ、技術開発の担い手にもなっている(図4)。 最大手のEMS 企業は、概念設計から製造までを請け負い、電子部品を独自に調達するとともに、独自ブランドの製品をもたない巨大な電子機器メーカーになってきている。世界のEMS 企業Top30では台湾系が強く、中でもFoxconnがずば抜けている。Top30の中には、日本企業も3社(シークス、日本メクトロン、UMC)がつらねている。 ODMは開発リスクが生じるものの、台湾には多くのODM 企業が存在する。モノづくりは外部に依存する形となる。 このように、生産委託することを日本ではいつの間にか「水平分業」と言われるようになった。プリント配線板を大手電機メーカー内で生産するのを“Captive”や“In House”といい、プリント配線板を製造する専門業者が生産するのを“Independent”と呼称していた。 設計から基幹部品の製造、組み立て、最終製品を一貫して生産するので「垂直統合生産」という言葉が使用されるが、EMSに生産委託することを別の会社として意識してか自社の横にある位置付けるためか「水平分業」を言われるようになった。プリント配線板も、自社内の調達から徐々に専門のプリント配線板メーカーから調達する方式へと移行していった。 「水平分業」の表現に関して異論を唱える人もいる。「垂直統合」から一部から分裂して他企業に仕事がいったまでなので、「垂直分裂」という表現が正しいという意見である。2) 今をときめくメーカーは、ハードウエア製造に従事していない。ハードウエア製造に従事するのは、シリコン・ファウンドリでありEMSである。これらはメーカーではなく、サービス業者の位置付けにある。 工場をもっていないメーカーと、工場をもってハードウエア製造に従事するサービス業者、この両者の組合せでモノづくりが実施されている時代へと変貌した。<参考資料>1. 青木正光、“ 電子回路基板の黎明期を振り返る” エレクトロニクス実装技術 Vol.35 No.3 p24(2019)2. 丸川知男、“ 現代中国の産業” p20 中公新書(2007) ISBN978-4-12-101897-73. 大島錬三、“ 片面プリント配線板の全自動化生産” プリント回路ジャーナル p4 2017-04図4 概念設計から受託する生産方式図3 物理設計から受託する生産方式図2 量産の一部を受託する生産方式図1 垂直統合生産