ブックタイトルメカトロニクス9月号2019年

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概要

メカトロニクス9月号2019年

44 MECHATRONICS 2019.9   日本の産業構造の変化にともなう電子機器分野の話題商品を追う第15回 <電子機器の重量価格比とは?>連 載 1980 年代に日本から電子機器の話題商品が次から次へと発売され、中には日本市場のみならず世界市場で売れた。 日本が得意とした「軽薄短小」化技術を駆使してポータブル機器(携帯機器)の製品化に特化した背景がある。 1973 年と1979 年の2 度の石油ショックを経験し、インフレ、デフレ、高金利による不安定な時代となり、“ 省エネ”、“ 節電”が合い言葉になって「省エネ機器」、「軽薄短小化機器」の開発が進展し、「マイクロエレクトロニクス革命」が起こった。 そして、エレクトロニクスとメカニックが融合して“メカトロニクス”(和製英語)なる言葉も出来た。 “重厚長大産業”から“軽薄短小産業”へと舵を切り直し、電子機器に関しては軽薄短小化製品に特化していった背景があり、それらにメインフレームコンピュータで確立された実装技術が応用展開されていき、多くの話題商品が登場することになった。 今回、このような電子機器が登場してきた話題商品を別の角度から紹介したい。 「軽薄短小」をキーワードにして話題商品が登場すると、如何に軽量であるか、あるいは薄いか、短く、小さいか・・・ と各社で競い合うようになった。 なかには、『世界最軽量』、『世界最薄型』、『世界最小』、『世界最初』、『業界初』さらには駆動時間が『世界最長』というようなキャッチフレーズで商品化して販売するようになった。 その結果、この様な電子機器には高機能な微小な部品や高集積の半導体パッケージや高密度多層プリント配線板の使用が必須となった。 世界最軽量、世界最小、業界最薄などの標語で競い合い、写真1に示すように、新聞広告にそれらの言葉を冠して話題商品を紹介するようにもなった。1. 軽薄短小化製品の登場 1989 年に登場した電子機器の話題商品に、「携特定非営利活動法人 日本環境技術推進機構 青木 正光帯電話」、「ノートパソコン」、「カメラ一体型VTR」の3 機種がある。 3機種とも電子回路基板には多層プリント配線板が使用され、同時に立ち上がったために当時、多層プリント配線板の調達問題も浮上したことがある。 では、どのように軽薄短小化が進展したかを話題商品から拾ってみよう。1-1 軽量化競争 携帯電話においては、持ち運びをするため軽量化競争が進展し、1gの“軽量化競争”が進展した。 その具体例を1989 年に話題商品となったモトローラのMicroTac(303g)以降に商品化された“ 携帯電話” の重量を紹介しよう。 携帯電話には、当時、“アナログ”、“デジタル”、“PHS” の3 機種(判明しているものは括弧内に種類を略号で示す)が市場に存在し、重量の推移は表1 の通りである。 1989 年にNTTから重量640gの携帯電話(TZ-803 型)でサービスを開始した所に、モトローラから約半分の重量303gの携帯電話(MicroTac/ 写真2)が日本市場に登場したことから、レンガの大きさであったものから約300g の重さになった。これは大きなリンゴぐらいの重さに匹敵する。 これは少なからずNTTに衝撃が走った。NTTは、軽量化した携帯電話の開発を端末メーカーに依頼するとともに2 年後の1991 年には、220gという世界最軽量の超小型携帯電話(DoCoMo mova)(表2)が誕生することなる。 その後、デジタル式携帯電話P208(松下通信工業)は最軽量の57gが登場した。 この機種にはバンプ接続方式のALIVH技術(松下電子部品が開発した技術)が採用されて軽量化が図られた。1-2 薄型化競争 次にノートパソコンの“薄型競争”を見てみよう。デスクトップ型のパソコンから、持ち運びのできるとのコンセプトで、ノートサイズのパソコンを商品化したのは東芝の溝口哲也氏である。 A-4サイズのノートブックを意識してノートブックパソコンと呼称され、今は単に“ノートパソコン”と表現されている。 最初は膝の上に置くことができることから、ラップトップパソコン(T-1100/Toshiba)が1985 年に商品化され、その後、更に小型化・軽量化されて1989 年にノートパソコン(DynaBook SS001/Toshiba)(写真3)が登場した。薄さは44mmで重量は2.7kgまで軽量化された。 ノートパソコンは持ち運びを前提としているため、鞄にノートのような感覚で容易に入るように、表3に示すような薄型化競争が進展した。 初期のノートパソコンに記憶媒体としてフロッピーディスクドライブ(FDD)が搭載され、その後、ハードディスドライブ(HDD)が搭載された。 さらにCD-ROM(Compact Disc-Read OnlyMemory)ドライブ、DVD(Digital Versatile Disc)mova Pの諸元サイズ140×47×26mm重量約220g体積150cm3写真1 世界最軽量の新聞広告(日立)表2 世界最軽量の携帯電話(1991年)写真2 携帯電話(Motorola/MicroTac)写真3 ノートパソコン(Toshiba/DynaBook SS001)(A : アナログ、 D : デジタル、 P : PHS)→ 303g(モトローラ)→ 300→ 298→ 297→ 296 → 285→ 280→ 260(D)→ 255(D)→ 251(D)→ 250(D)→245 → 240(D)→ 235 → 230(D)→ 225(D,A,P)→ 220(D)→ 215(D,A)→ 210(D)→ 205(D)→ 200(D)→199(D)→ 198(D)→ 195(D, P)→ 194(D)→ 192→ 190(D,P)→ 185(D)→ 183(D)→ 180(D,P)→ 178(D)→177(D)→ 176(D)→ 175(D,P)→ 174(D)→ 172(D)→ 170(D)→ 169(D)→ 168(D)→ 165(D,A)→ 162(D)→160(D,A,P)→ 155(D,A,P)→ 150(D,P)→ 149(P)→ 148(D)→ 145(A,P)→ 143(P)→ 141(D)→ 140(D,P)→139(P)→ 138(D)→ 136(D)→ 135(D,P)→ 133(P)→ 129(D)→ 128(D,P)→ 125(D,P)→ 122(D)→ 120(D,P)→118(D,P)→ 117(D)→ 115(D,P)→ 112(D,P)→ 110(A)→ 108(D,P)→ 106(D)→ 105(D,P)→ 103(D)→101(D)→ 100(D)→ 99(D,P)→ 98(D)→ 97(D)→ 96(D,P)→ 95(D,P)→ 94(D,P)→ 93(D)→ 92(D,P)→ 91(P)→90(D)→ 89(D,P)→ 88(P,D)→ 87(P,D)→ 86(D)→ 85(D,P)→ 84(P,D)→ 83(D,P)→ 82(D)→ 81(D,P)→80(D,P)→ 79(D,P)→ 78(P,D)→ 77(P,D)→ 76(P,D)→ 75(P,D)→ 74(P,D)→ 73(P,D)→ 72(P,D)→ 71(D)→70(D)→ 69(D)→ 68(P,D)→ 67(P,D)→ 65(D)→ 64(D)→ 63(D)→ 62(D)→ 59(D)→ 58 → 57g(D)(松下通信工業)Note : 各社のカタログから体系化表1 携帯電話の重量推移