ブックタイトルメカトロニクス1月号2019年

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概要

メカトロニクス1月号2019年

MECHATRONICS 2019.1 11所在地:U R L:事業内容:神奈川県高座郡寒川町https://www.zestron.comエレクトロニクス製造業界向け高精度洗浄剤の開発/製造/販売、など。ゼストロンジャパン株式会社・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・を使い、その後のプロセスについては水を使うというような折衷案的な感じでスタートしています。 市場としても、すべて溶剤を使った技術ではなくなったので、当初は受け入れて頂けましたが、やはり溶剤の使用量をもっと減らしたいというニーズは強く、さらに踏み込んだ開発を進めていきました。 そして、水の含有率が7~8割となる洗浄剤の開発に成功したのが、1990年代の後半になります。そこからは、順次改良を行いながら現在に至っています。 そのため日本では、このような水を主成分とした水系洗浄剤での実績はまだ多くないですが、海外においては相当な実績があります。本社のあるヨーロッパでは約7 割のシェアをもっており、市場のほとんどが水系洗浄剤になっています。また、アメリカでは約半分となる5 割のシェア、日本を除くアジアでは3~4割程度のシェアをもっている状況です。そのような中、日本ではまだ10 %程度しかないような状況で、ほとんどが溶剤系を使っているというのが、日本市場の実態でもあります。 「ワールドワイドでみても、当社の製品がこれだけ採用されている中でどうして日本では採用されないのか?」、「日本のエレクトロニクスはかなり発展しているのに、なぜまだ溶剤系が主流になっていて水系洗浄剤が使われていないのか?」など、当社サイドの単純な疑問になっていましたが、ここにチャンスがあると思い、今まで培ってきたノウハウや実績を活かしながら、日本市場への参入を決めたわけです。 当社の製品は、エレクトロニクス製造工程において多種多様な洗浄剤を提供しており、工程によって使われる製品も変ってきます。その中で、リフローはんだ付け後の基板洗浄は非常に難しい洗浄とされており、リフローはんだ付け前の洗浄と比べると使用量も多く、ゼストロングループ全体でもここで使用される製品の売上率が大きくなっています。 御社のテクニカルセンターについても、 どのように機能されているのかお聞か せください澤入:当社が提供している製品は、洗浄剤といった液体タイプのものになるので、製品である液体だけを見て頂いてもその性能は分かりにくいと思います。そのため、その洗浄剤を使用する洗浄装置をテクニカルセンターに設置し、実際にテストすることで良否判定して頂くことを目的にしています(写真1)。これから、洗浄プロセスを構築していかなければいけないケースなどでは、どの洗浄装置とどの洗浄剤を組み合わせて使えばよいのか分からないので、それを評価する場所として用意しています。 このコンセプトは、ゼストロングループ全体で同じように行っており、日本法人も設立当初より設置されていましたが、新社屋に移転することで従来の160m2から1000m2と約6倍に拡大しています。テクニカルセンター内には、洗浄後の評価/分析するスペースとして分析センターが設けられ、顕微鏡を使った目視でできる評価だけなく、さらに詳しく評価するためにイオンクロマトグラフィや赤外線を使ったFT-IRなどの分析装置も用意し、イオンレベルでも見られるようなシステムになっています(写真2、3、4)。 また、先程日本市場は溶剤系が主流とお話しましたが、溶剤系では安全性の問題からスプレー洗浄装置を使うことは基本的にないので、お客様サイドでスプレー洗浄装置を導入されていることはほとんどありません。水系にはスプレー洗浄装置がより適した装置となりますが、新たに水系を検討しようとされる時、お客様がスプレー洗浄装置を購入しなくてはいけなくなります。しかし、このテクニカルセンターを活用して頂くことにより、装置購入の手間が省け、色々な面でお客様の負担が軽減され、検討評価に入ることができるようになり、いち早くお客様が抱えている課題の解決に繋げられると考えています。 今後の展開についてお聞かせください澤入:現状は、主にフラックスの洗浄に取り組んでいますが、洗浄を取り巻く環境は年々難しくなっています。一つは環境からくる難しさと、あとは市場が求める、より信頼性の高い技術で、これらをクリアしていかなくてはならないため、課題は年々増えているように感じられます。 環境については、ここにきて日本市場においても、なるべく溶剤系を使いたくないというような声が、非常に多くなっていると思います。まだ国の方から規制されている訳ではありませんが、大手メーカーの管理部門などが先頭に立ってアクションを起こしているようです。ただ現場サイドでは、まだ混乱しているようで、我々に相談されるような案件がすでに多く出ており、そこから当社の製品を採用頂くケースもあります。 溶剤系を使わない方向にいこうとする時、水だけで洗浄することは技術的に不可能なので、どうしても溶剤に水を混ぜたものを使わざるを得なくなり、そうしないと溶剤系の使用量レベルを減らせません。そのため我々は、溶剤系の使用量レベルを最小限に抑えるものづくりを進めており、今後も引き続き取り組んでいくテーマになっていきます。 それから市場が求める、より信頼性の高い技術については、リフローはんだ付け後の基板洗浄を行わない「無洗浄技術」との取り組みになります。日本市場では、リフローはんだ付け後の基板洗浄を行わないはんだペーストの無洗浄が注目され、それにより信頼性を上げていく方向で進められていました。しかし、最近ではさらにその上のレベルを求める動きがあり、それには洗浄を前提に考えていかないと信頼性の確保は難しいものづくりになっているようです。 この件に関しては、無洗浄を洗浄するというのは簡単にできるものではなく、はんだペーストメーカーと共同で研究を行っており、すでに何社かと技術提携を結んでいます。これからも、色々なはんだペーストが開発されると思いますが、それに対して我々がどれだけフィードバックできるのか重要になってきます。無洗浄のはんだペーストを洗っていこうという姿勢は、世界的に見ても日本市場の少し特異な部分で、ゼストロングループ内でも日本法人だけは他拠点とちょっと違う動きをしています。 日本市場に対してどこまで我々が協力できるのかという意味では、当社はグループ内でもかなり重要な拠点になっていくと考えています。本日はお忙しい中、ありがとうございました。写真2 テクニカルセンター内に設けられ分析センター写真1 テクニカルセンター内に導入されている洗浄装置の一例写真4 分析センター内のFT-IR写真3 分析センター内のイオンクロマトグラフィ